家族

  • 亜紀書房 (2022年1月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784750517223

作品紹介・あらすじ

何度も手痛く裏切られたけれど、それでも愛していた。





舞台は昭和40年代、港町にある、小さな古いアパート。

幸せに暮らせるはずの四人家族だったが、父は長男を、そして母を遠ざけるようになる。



一体何が起きたのか。

家族は、どうして壊れてしまったのか。



ただ独り残された「私」による、秘められた過去への旅が始まる。

謎を解き明かし、失われた家族をもう一度取り戻すために。





『兄の終い』『全員悪人』の著者が綴る、胸を打つ実話。

感想・レビュー・書評

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  • 読みたかった本。ほぼ同世代なので子供時代の暮らしの情景が鮮明に伝わる。緊張感や言い争いの絶えない中この家族はどんなに懸命に生きてきたのだろう。「変な家族」物としてサーバーの後に読んだけどチリチリと痛み感じる読書だった。

  • 自分の家族のことを本当にわかっているんだと思った。

    村井家は、みんなが全力で、それぞれがとても逞しくて、それぞれ愛情深くて、優しすぎるほど優しいのだろう。
    そして、少し不器用だからか、上手く誤魔化すことができないのか、すれ違いぶつかり合うこともあったのだろう。
    それこそ、本当の温かな家族なのではないだろうかと思った。

    家族のことを人に聞かれて、自分はきちんと答えられるだろうか⁇
    多分、無理だと思う。
    理解できていないかもしれない。

    いろいろなかたちの家族があるが、自分のことを冷静にはみられない。
    今だに理想の家族ってあるのか、と考えてしまう。

  • プロローグ 古ぼけたアパートで始まる 

    「川沿いの砂砂利を少しだけ港に向かって歩いた場所に、さくら荘はあった。」

    まるで自分の目の前で
    起きているかのように
    「家族」が壊れていく。
    胸が締めつけられて辛い、
    しかしズーンとした重たさはなく
    読み続けられてしまう。

    著者はこの本を書くことで
    「家族」を心の中に
    取り戻せたのかもしれないと
    エピローグを読んで思った。

    「琵琶湖のそばの田舎町に
    私は二人の息子と夫、
    そして愛犬とともに暮らしている。
    (中略)
    育った家とは
    正反対の穏やかな空気に
    満ちたこの家で、常に心の片隅に
    両親と兄の存在を感じながら、
    私は暮らしている」

  • 言葉が出ない。
    感想が書けない。
    でも、
    なんで村井さんの言葉は伝わるのか。
    それが感じてくる本だった。


    人の感情を読むことが苦手なお兄さん
    自分の気持を言葉にすることが苦手なお兄さん

    その分理子さんは、お兄さんの思いを、お兄さんが言ってほしいだろう言葉を探し選んで代わりに言ってあげていた。(時もあった。)

    そして、お兄さんの表情を見て、あっていたのかを確かめる。いつもちゃんと見てるから、なんだかんだ見てるから、寂しそうになったら、今は寂しくなったんだなってタイムリーに気づく。

    たぶん、本当はお母さんとかお父さんがすべきことなんだろうけど、それを理子さんはやっていたのかな。

    ひたすら観察と想像とそんな自分を俯瞰し続け、
    これだけの内容を淡々とまとめ上げる村井さんの筆致がすごい。

    「兄の終い」を読んだことがある人は、ぜひこの「家族」も読んでほしい。
    なんで良一くんの亀と魚にあんなに真摯になれたのか、それもわかると思う。

    エピローグの余韻が残る本だった。

  • ◆反発と思慮 二極の反復[評]寺尾紗穂(シンガー・ソングライター、エッセイスト)
    家族 村井理子著:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/169312?rct=book

    『家族』特設サイト|村井理子
    https://ka-zo-ku.com/

    亜紀書房 - 家族
    https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=1049

  • この前に読んだ『本を読んだら散歩に行こう』には
    こんなことが書かれていました。

    (小5担任の)青木先生は「たぶん、普通が一番幸せだと思うよ」と言った。
    理子さんは驚いた。
    なんてつまらない言葉なのだろう。
    普通に幸せだなんて、先生には夢がないなあと思った。
    当時の彼女は「私はなにか大きなことを成し遂げて有名になりたい」と思っていた。

    しかし立派なおばさんになった彼女の心に
    青木先生の言葉の重みが痛いほどわかる。
    普通に暮らせることのありがたさ。
    普通に生きられることの喜び。
    普通とはつまらないものではなく、
    なによりも貴重で、
    なによりも輝いている。

    この『家族』を読みながら、
    その部分を思い出していました。

    その前に理子さんの『義母と実母』『義父母の介護』を読んで、
    よくこんなお義母さんのいる人とやっていける
    私なら絶対結婚しない
    誤って結婚しても一週間もたない
    と思いました。

    でも結婚前の『家族』がこんな異常だったから。
    だから義父母のことも乗り越えていけるんですね。

    そのおかげで今は
    可愛い双子の男の子たちと
    穏やかなご主人と、犬と
    琵琶湖畔で幸せに暮らしていて
    作家としても成功しているのだから

    大変だったけど(いまでもだけど)
    良い人生なのかも、と思いました。

  • 自分と同世代なので自分や周りの友達、親戚などと重ねてしまうけれど、家族の形はそれぞれ全く違う。

    親ガチャという言葉もよく使われる中、自分の生活がうまくいかないことを、親や家族のせいだと思っている人に読んでほしいと思います。

  • 『兄の終い』を読む前にこれを読んでおけば良かった
    と思ったら
    『兄の終い』の方が早く出版されていた

    読みながら表紙の写真を何度も見た

    家族の関係性に共感する部分が多々あり
    一気読み

    エピローグに書かれている
    現在の穏やかな暮らしがわかり
    親で苦労した人は伴侶に恵まれる
    といつか新聞でみた人生相談の答えを思い出した






  • 感情の振り幅の大きな人が集まると、家庭は安心できるどころか、こんなにも危うい場所になってしまうのかと思う。
    母や兄の唐突で不可解な行動が非難されがちだが、二人に対する父や著者自身の拒絶にもベクトルは真逆だがかなり極端なものを感じてしまい、その意味で書き手や登場人物への感情移入は難しいのに、どういうわけか、一気に読み終わったあと、涙が溢れてしまった。

    「毒親の一言で母を、そして父を片付けようとは思わない」

    最後に登場するいま現在の著者自身の穏やかで平凡な家族の姿と、それを目指しても離れるばかりでどうにも辿り着けず苦しみ通した四人。でもそれがかけがえのない家族のあり方だったのだと、年月を経て噛みしめるような言葉に胸を打たれたのかもしれない。

  • かつて確かにこの世に存在していたとある家族の鎮魂歌。村井理子さん、トーマス・トウェイツの翻訳では読んでいたが、ご本人の文章では初めてだ。面白かった。

    人からは平凡といわれる人生でも、当事者にとってはそれぞれがドラマチックでかけがえのない人生なのだ。その事実に改めてはっとする。だから、理想的な家族であることも実はそんなに大事ではなくて、傷つけあいながら、背を向け合いながらでも、それぞれの形で共に同じ時空間を生きた事実の方がむしろ大事なんじゃないか。原家族という共同体を、そのままの形で肯定することで自分自身をも肯定しようとする作品のように感じた。カサヴェテス『ラブ・ストリーム』を思い出す内容だった。

    個人的に兄タカのめんどくさくも憎めない感じとその末路がどうにもこうにも刺さった。これだけでも読んだ甲斐があった。

    ところで、表紙の家族写真にひとつツッコミ入れてもいいですか。「いや、普通にそっくりじゃねーか(笑)」。鏡ないんかい。

  • 『兄の終い』を読んでる最中から、著者の書く家族の話を読みたいと思ったので、web連載で執筆中と知った時は嬉しかったしタイトルが『家族』と聞いて期待値はそれなりに高かったのだけれど、いやはや…
    予想をはるかに上回って凄いものを読ませていただきました。細かいエピソードはまったく違うのに、自分の家族も似た様な衝突や感情のすれ違い、大笑いした時の顔、忘れられない別れや出会いが有ったことが次々に思い出され、最後までページを捲る手が止まらない。
    現実では双子の息子さんが高校生になる2022年春…名犬ハリー号との穏やかで平凡な日々はまだまだ続く!

  • 何の気なしに読み始めたら重たい内容だった。
    子供のころ、若いころ、こんな人生を送ってきた人が、今穏やかに家族との生活を送り、本を出版してそれなりの収入も得て幸せに暮らしていることをうれしく思う。

  • 「兄の終い」を読んだので、気になって読んでみました。
    途中読むのが少し辛く感じるほどだったので、筆者自身が書くのは相当痛みを伴うものだったろうなと感じました。

  • いつか家族がみんな死んで、本当にひとりになる時がくることを忘れないでいよう。続けて『兄の終い』を再読したくなった。

  • 著者の家族4人の生きざまと、家族が壊れていくまでの過程が描かれたノンフィクション。

    緊張と争いの絶えない中、この家族はどんなに懸命に生きてきたのでしょうか。筆者にとって、一癖も二癖もある両親と兄との生活は、それは壮絶なものだったろうと思いますが、そこに確かに愛はあったのだろうと思います。それを感じられたから、あの最後のエピローグの言葉が出てきたのだろうと感じました。

    読み終えた後、表紙の家族写真を見ていると、悲しいような、慈しみのような、哀れむような、なんと表現すれば良いのか分からない、複雑な気持ちになりました。

    多くの人にぜひ読んで欲しい作品です。

  • 村井理子さんのご本・2冊目。「いらねえけどありがとう」では自身の生活について書かれており、時々村井さんご家族の話がちょろっと紛れていたので気になっていた。
    ご本人の言うとおり(書くとおり)、「どこにでもある平凡な町の、平凡な家族の話。」であるけれど、やはりこうして客観的に読んでみると壮絶だなと思う。それはたぶん村井さんだけでなく私も、みんなもそうなのかもしれないけれど。

    自身の家族を持ち、琵琶湖畔に住む現在まで、家族(実家)の話をいたって冷静に綴っている。ひどく感情的になることもなく淡々と。なんだかんだありつつ、裏切られつつ、傷つけられつつも受け入れている村井さんを、素直にとても優しい人なのだなと思った。

  • 家族って、どうにもならない。
    親は選べないし、どうしても性格が合わない親子、兄弟もいるだろう。
    なのに家族だから、全てが嫌いなわけじゃなく、でも迷惑はかけないで欲しくて、どうしようもない家族の後始末を全て終えた作者の重い気持ちがしんどかった。
    完璧な人間はいない。ただ自分の後始末の目処は立てないといけないし、なんとかなるだろうは結局何とかする人が我慢して背負ってるだけ、、

  • お、重たい…。『実母と義母』も壮絶だったが、こちらはもっと壮絶だ。でも振り返ればそこに愛はあったんだな…家族って不思議だし、会わない家族はそれなりに事情があるということを胸に刻んでおこう。

  • 読みながら何回も泣いた。。
    家族だから、のだからの部分に苦しめられる瞬間がたくさんある
    読み終わってからも自分の家族がバラバラになる日とか、ちょっとずつすれ違っていく日を考えて更に苦しくなって泣いてしまった

  • 著者と同じ年代を過ごしてきたこと以外に全然自分の家族と共通するところがないのに、何故か懐かしく切なく苦しくて愛おしかった。

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著者プロフィール

翻訳家・エッセイスト。静岡県生まれ。滋賀県在住。訳書に『ヘンテコピープルUSA』(中央公論新社)、『ゼロからトースターを作ってみた結果』『人間をお休みしてヤギになってみた結果』『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』(以上、新潮文庫)、『黄金州の殺人鬼』(亜紀書房)、『エデュケーション』(早川書房)、『PARIS TheMemoir』(双葉社)など。
著書に『ブッシュ妄言録』(二見文庫)、『家族』、『犬(きみ)がいるから』『犬ニモマケズ』『ハリー、大きな幸せ』(以上、亜紀書房)、『全員悪人』、『兄の終い』『いらねえけどありがとう』(以上、CCCメディアハウス)、『村井さんちの生活』(新潮社)、『更年期障害だと思ってたら重病だった話』(中央公論新社)、『本を読んだら散歩に行こう』(集英社)など多数。

「2025年 『ハリウッドのプロデューサー、英国の城をセルフリノベする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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