「JUNE(ジュネ)」の時代 BLの夜明け前

  • 亜紀書房 (2024年5月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784750518367

作品紹介・あらすじ

【推薦】三ツ矢雄二さん(声優/マルチクリエイター)

「BLのボイスドラマの元祖は、佐川さんと私だったのだ!

お耽美な世界を佐川さんと二人三脚で走り抜けた時代を、思い出しました。」



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伝説の「元祖BL雑誌」の企画・創刊者が語る、華麗なる、やおい、BL(ボーイズラブ)、おたく、サブカルチャー前史!



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1970年代後半、アニメ専門誌が次々と創刊され、第1回コミケが開催された、おたく文化の黎明期――。



同人文化、2次創作が盛り上がりをみせる中、密やかに、『JUNE』という妖しい花が開花しつつあった!



「美少年」「お耽美」からBLの誕生まで。

〈アルバイトの思い付きから始まって、手探りでつくった『JUNE』という雑誌は、今では「元祖BL雑誌」というありがたい称号までいただいています。これからお話しするのは、まだ「美少年って何じゃ?」というのが、僕にも、読者にも、もしかしたら作家さんにもよくわかっていなかった、すごくモヤモヤするけど、そのモヤモヤにどうしようもなく惹かれてしまった――そんな時代の出来事です〉(本書より)

感想・レビュー・書評

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  • 美少年、お耽美からBLの誕生まで……JUNE編集者がその歴史を振り返るエッセイ - コミックナタリー(2024年5月29日)
    https://natalie.mu/comic/news/575384

    <著者は語る>耽美な世界観広がれ 『「JUNE」の時代 BLの夜明け前』 編集者・ライター 佐川俊彦さん(70):東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/339893?rct=book

    亜紀書房 - 「JUNE(ジュネ)」の時代 BLの夜明け前
    https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=1170

  • 今どきの若い子はもう知らないかもしれない、かつて『JUNE』という女性むけの美少年お耽美雑誌があったことを。かくいう私も10代後半くらいに存在は知っていたものの、購入した記憶はありません。なんか禁断の匂いがぷんぷんしてたんですよね(笑)我が家は母親が子供の読む本を検閲するタイプ(学校行ってるあいだとかに部屋をガサいれする)だったので、これは読みたくても部屋に置いておけないから無理だなと思っていました。

    本書はそんな『JUNE』の生みの親である著者による、『JUNE』のみならず出版界のおたく・サブカル史、BL史となっており、なかなか読み応えがありました。公式に残されることのない歴史の生き証人的な面白さがあり。

    発端としては、著者の佐川俊彦が1970年代にサン出版でアルバイトしていた時に、何か企画を出すように言われ、当時少女マンガ界で24年組の登場によりじわじわと盛り上がりを見せていた男性同士の恋愛ものに注目、そのアイデアが採用されて1978年スタートしたのがJUNEの前身である『Comic JUN』。ところが同名のファッションブランドJUNからクレームが入ってJUNEに改名。

    サン出版はもともと官能系(笑)の出版社で、編集長の得意分野はSM、同性愛雑誌としては『さぶ』も出版しており、しかしこちらはあくまでガチのゲイの男性むけ。『JUNE』の新しさは、あくまでターゲットが女性だったというところ。

    著者の学生時代のサークルその他の人脈を駆使して、中島梓(栗本薫)や、24年組の漫画家たち(表紙は竹宮惠子、ささやななえは著者と結婚)が集まり、今思ってもなかなかの豪華執筆陣。しかしそれだけではページ数が埋まらないため、「ヴェニスに死す」などの美少年映画情報、デヴィッド・ボウイやJAPANなどの中性的アーティストの音楽情報なども。こういうのも、かえって他にない魅力だったのではという気がします。

    そして竹宮惠子による「ケーコタンのお絵描き教室」と中島梓による「中島梓の小説道場」の連載。これはどちらも、不足する執筆陣を補うためにじゃあ公募しちゃおうみたいな面もあったようで。「ケーコタンのお絵描き教室」第1回で取り上げられた投稿作品はなんと西炯子。どちらからも多くの作家・漫画家を輩出。『JUNE』は休刊→復刊を経て、姉妹誌『小説JUNE』へと事業拡大。小ジュネは本誌を超える部数を売り上げることも。

    しかし80年代後半になって、二次創作同人誌による「やおい」ブーム、そこから90年代にかけて今のBLへと繋がるムーブメントが起こるわけですが、皮肉にも、これがJUNEの息の根を止めることになるんですね…。

    JUNEを現す重要なワードであるところの「お耽美」これがJUNEの個性だったと思うのですが、そこに含まれる一種の様式美や悲劇性、美しくあること=ある意味「文学的」で高尚なものとして愛でられていた美少年・美青年の同性愛が、BLというお手軽で過激なエロにとってかわられてしまった。別物だからこそ共存できるのではと思いきや、実際は古き良きお耽美は駆逐されてしまったのですね。こうしてJUNEは1995年に休刊。(小説JUNEのほうがその後もしばらく長らえたのは、活字読者層は安易なエロより高尚なものを求める傾向が強かったということでしょうか)

    個人的に面白かった小ネタエピソードは、聖闘士星矢全盛期に、腐女子界隈がもりあがっていたため車田正美にダメ元でインタビュー申し込んだら受けてくれたという話。その後車田先生は、アンドロメダ瞬の修業時代の仲間としてカメレオン座の女性聖闘士ジュネを登場させてくれた(笑)

    あと今でこそBLのOVAやボイスドラマも珍しくはないですが、当時人気声優の三ツ矢雄二と鈴置洋孝のカップリングで本邦初の男同士のボイスドラマが作られた話も興味深かったです。

  • 唯一無二の存在であった JUNEは、ある人たちにとって避難地であり楽園であり、飛び立つ力を与えてくれたものだっただろう。
    作り手と読者が共に育て上げた存在。何とも幸せな気持ちに包まれた。
    オタク文化黎明期の記録としても必読の書。もっと知りたい。

  • 70年代末に雑誌「JUNE」を企画・創刊した編集者・ライターで現在は京都精華大学漫画学部で准教授も務める佐川俊彦さんの回想録。

    「JUNE」創刊以前、70年台の「おたく」な若者たちの活動や、「JUNE」の裏話や様々な漫画家などとの交流が書かれている。

    「JUNE」の読者ではなかったし竹宮恵子や中島梓(栗本薫)をほとんど通ってこなかった自分にも、「OUT」を意識して創刊された話や「やおい誕生秘話?」などいろいろ興味深い話が出てくる。
    とりあえず一番驚いたのは創刊当時のエディトリアル・デザインを秋山道男が手がけていたという事実。創刊当時の編集長であり「さぶ」の
    編集長でもあった櫻木徹郎さんの伝手だったとのこと。「JUNE」で秋山道男の名前が出てくるとは・・・

  • " 当時は「おたく」という言葉はまだなくて、ライターで作家の中森明夫氏が1983年に「おたくの研究」という文章(白夜書房の雑誌『漫画ブリッコ』に掲載)で、コミケに集まる人たちがお互いに「おたく」と呼び合うのを見て命名したと言われていますが、この「おたく」という呼び方は、本当に使っていたんですよ。
     その頃は、こういう趣味はまだマイナーだったので、イベントに行くとだいたい同じ顔ぶれがいたりするんですよね。そうすると、顔は知っていても、名前は知らないから、
    「おたくは?」
     って話しかけるんです。顔見知りだけど、友達までにはならない、イベント会場でしか話さない。そんな人にも、
    「おたくは次のアレ行く?」
     とか言って情報交換できるから、すごく便利な言葉だったんです。’" p.16

    " コミケ界隈でも女性の間で「男の子同士」というのが流行ってる" p.32


    JUNEというものを知るために読んだら、思いがけずサブカル史だった。
    本文中に「さぶ」やら「薔薇族」などの雑誌名が登場して、小学生とか中学生だった当時、書店で見かけていたことを思い出す。「JUNE」も見かけているはずだがあまり記憶にない。

    個人的にオタクという言葉を知った『三宅裕司のヤングパラダイス』は、調べてみたら1984年だった。

    JUNEという名前に意味はない。JUNという名前でスタートしたら、同名のアパレルメーカーからクレームが来てEをつけたとのこと。

    p.113 やおいは『夜追』という同人作品が発端。

    p.143 ライトノベルの前段として、ヤングアダルト、朝日ソノラマ、ジュニア小説という語は登場したが、ジュブナイルという語は登場しない。著者の観測位置には存在しなかったようだ。

    p.174 『エヴァJUNE読本』の「かおるxシンジ対談」ワロタ。新谷かおると和田慎二の対談というオチ。

    JUNEが供給してきたものと、カップリングや順番が重要になるらしいBLは別物に見えるという感想をひとまず得た。

  • まだBLという言葉どころか概念さえもなかった時代に、BLという文化を築き上げてきた筆者と作家たちの苦労と熱意の物語。

    BLの歴史を知りたいと拝読したのだが、歴史というよりも思い出話のような印象を受けた。
    とはいえ知らなかった最初期のBL界隈の話や、コミケ誕生の秘話まで語られており、最後まで面白く読ませてもらった。

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著者プロフィール

編集者、ライター。「元祖BL雑誌」とも言われる雑誌『JUNE』『小説JUNE』を企画・創刊。ドラマCD「富士見二丁目交響楽団シリーズ」、声優CD『塩沢兼人MEMORIAL』、アニメ『間の楔』、MOOK『新世紀エヴァンゲリオンJUNE 読本 残酷な天使のように』『MALICE MISER 耽美実験革命』『永井豪 けっこうランド』『映画写真集 櫻の園』などの編集・プロデュースに携わる。著書に『漫画力(まんがぢから)』。少女マンガ家ささやななえの夫。京都精華大学マンガ学部准教授。

「2024年 『「JUNE(ジュネ)」の時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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