ヒトラーのはじめたゲーム

  • あすなろ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751522042

感想・レビュー・書評

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  • アメリカ市民となったユダヤ人の証言をもとに、ホロコ-ストの歴史的事実をヤングアダルト向けに語られた衝撃の書。 著者(米国の女性ノンフィクション作家)曰く〝生還者の話を聞くことは、とても辛いことです。しかし、それを語る彼らの方はもっと辛いのです。語ることによって、自分たちが味わった悪夢のような、野蛮で非人間的な体験を、もう一度味わわなければならないからです。しかし、彼らには判っているのです。警鐘を鳴らさなくなくてはならないと云うことが・・・〟

  • ヒトラー政権下のポーランド、ユダヤ人の少年ジャックが、家族とも引き離されて過酷な収容所に収用され、どのように生き抜いたか。ユダヤ人を迫害することは「ヒトラーが始めたゲーム」。くよくよと考えるのではなく、この中で、どう勝ち抜くか、生き抜くことができるのか、とジャックは考え続ける。
    「憎しみは、なにも生み出さず、何の役にも立たない。自分のエネルギーを消耗させるだけなのだ。」
    その思いに達するのは、究極の状況だったからこそだ。

    民族浄化、ジェノサイドは、実は今も起こっている。次が「自分」とならないように、過去のこと、特殊なことと思わず、この事例から学び続けなければならない。

  • ポーランドのユダヤ人収容所を経験したジャックの手記(インタビュー?)と、ジャーナリストである著者が、ジャックの手記を解説するように情景や時代背景など描写するパート。この2つのパートが交互に書かれます。
    という説明はどこにもないのですが、多分そうなんだと思います。

    当時子供だったジャックは、ホロコーストに入ったことも「ヒトラーのはじめたゲーム」、生き延びて家族に会うというゴールのために懸命に生きる姿が描かれます。一歩間違えば、この手記が残ることはなかったのだと思うと心が痛い。

  • ・ホロコーストでの体験を書き記したもの


    ・文章から描かれる現場の詳細さから、
    囚人になった主人公の姿や、出てくる食事、
    ガス室で死を待つ親子の様子が想像できてしまう。

    ・体調がなかなか回復しない患者に、注射を打つ医者。特効薬や、鎮痛剤などではなく…という場面の臨場感に、思わず呼吸が浅くなった。

    ・「毎朝、目がさめると、すでに飢えていた。」
    どんな状態にされた、だとか、労働が鬼畜すぎるという内容よりも、衝撃的な一文だった。

    続く、「わたしたちは食べ物のこと以外なにも考えることも、話すこともできなくなっていました」
    人間の生存欲求というものが、身体を支配している。野生の姿に変わったような、獣が喋っているみたいな文章だった。

    ・身近な人や、ものに対する尊さに気づくいい本だった。世界平和の為に、とか規模の大きいことは出来ないが、いつも食べるご飯の味とか、大事な人との連絡の頻度、インターネットに費やす時間とかに疑問を持つようになった。

  • 中学生くらいのころ読んで衝撃を受けた。生々しい凄惨な環境を、機転と運と考え方で生き延びた彼の一生から学ぶことは沢山。2度と繰り返してはいけない負の遺産を読みやすい形で伝えてくれた。

  • ナチスによるユダヤ人迫害を生き抜き、アメリカへ移住したジャック・マンデルバウム、極限状態に追い込まれても「憎まない」という戦い方をしたジャックはすごい。

  • 子供が読書感想文に選びました

  • 「いいか、ジャック。
    ここで起こることは、すべてゲームだと思え。
    どんな目にあっても、くよくよしてはいけない。
    うまくゲームをするんだ。
    そうすれば、ナチより長く生きることができるかもしれない。」

    「憎しみは、なにも生み出さず、何の役にも立たない。自分のエネルギーを消耗させるだけなのだ。」

    「もしも耳をかたむけないなら、待っているのはつぎの犠牲者です。ナチスが行ったような「民族浄化」のつぎのターゲットになるのは、いったいだれでしょう。
    それがあなたでないと、だれが断言できるでしょうか?」

  • 当時のユダヤ人迫害や、収容所の本をいろいろ読んでいますが、生き残れるのは生きたいという強い意志、体力、精神力、仲間、運、すべてを持っていた人だなとおもいます。
    引き込まれて一気に読みました。

  • 第二次世界大戦の引き鉄になった、ナチスドイツ軍のポーランド侵攻。ひと月足らずでポーランドを占領したドイツは、本国の政策に従って、ポーランドでもホロコーストを開始しました。この本の主人公・ジャックも、たった14歳の時に家族と引き離され、強制収容所に収容されてしまいました。
    劣悪な環境と強制労働に耐えるジャックを支えていたのは、ヒトラーが始めたこのゲームを生き抜き、ヒトラーに勝利したいという希望でした。それはとても儚い、夢のような願いでしたが、ジャックは晴れて解放の日を迎えます。
    ホロコーストのおそろしさは、国を挙げての政策だったのはもちろんですが、協力していたのが軍人だけでなく一般の市民だったという点です。だれもが被害者にも加害者にもなり得る、そんなおそろしい事態は二度と招いてはならないと強く感じました。

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