スノーグース

制作 : アンジェラ バレット  Paul Gallico  Angela Barrett  片岡 しのぶ 
  • あすなろ書房
4.11
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本棚登録 : 95
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (46ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751525036

感想・レビュー・書評

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  • フランス北部の、ドーバー海峡を臨むところにある「ダンケルク」という
    都市では、かつて「奇跡」と呼ばれた出来事がありました。
    第二次世界大戦の初期、ヒトラーの集中砲火を浴びていたヨーロッパ。
    フランスの自由を守るため、イギリスとフランスの連合軍約40万人が
    戦場に配置されていました。
    しかしドイツ軍は強大で、ダンケルクまでイギリス兵を追いつめました。
    その猛烈な攻撃を浴びる中で、民間の漁船やヨットまで動員してイギリ
    ス兵を救助したひとたちがいたのです。
    船の数はおよそ何千隻ともいわれ、救助された兵士の数は33万8千人
    もいたそうです。

    このお話の登場人物である、画家のラヤダーも、救助活動にあたった
    ひとりでした。身体に障害をもった孤独な画家に、何故そんな決死の
    勇気が出たのか。
    それは、スノーグースとの出会いに始まり、スノーグースを通して知った
    ある少女との出会いがあったからです。

    「猫語の教科書」「ジェニー」でお馴染みのポール・ギャリコの
    作品。
    その名前が目に飛び込んできたことと、表紙の少女の孤独な瞳に吸い寄せられるように
    借りて、その晩泣きながら読みました。

    およそ生きとし生けるものは、どんなに否定してもそれを求めず
    にはいられない。
    失ったときの痛みを越えてもなお。

    ラヤダーがやって来たのは、イギリス南東部の水辺の地。
    無人となっていた灯台に、背中にコブを持つ彼がひとり住むことになる
    ところから、この話は始まります。
    自然を愛し、水鳥の保護区をつくり、ひたすら絵を描いて暮らす彼の元
    にある日、傷ついたスノーグースを抱いた少女・フリスが現れます。
       (スノーグーズは、白雁のこと。
        日本では冬季まれに、北海道や東北に飛来するそうです)
    お互いを恐れながら、少しずつ心を通わせていくふたり。
    傷が癒えて飛び立った後、再び舞い戻り灯台に住み着くスノーグース。
    一羽とふたりの、静かな交流。
    フリスが愛を自覚するかしないかのうちに、ラヤダーの旅立ちの日が
    来てしまいました。それが、ラヤダーとの最後になるとは、フリスも知らな
    いうちに。

    「ダンケルクの奇跡」という実話が巧みに織り込まれていますが,
    これは上質のファンタジーと言えるかもしれません。
    ラヤダーとフリスの恋愛物と受け取るにはあまりにもはかなく、
    ラヤダーに影のように寄り添うスノーグースの存在を打ち消すことにもなりそうです。

    1940年に発表された本作品は翌年O・ヘンリー賞を受賞し、世
    界的ベストセラーとなりました。
    これは、その絵本化です。

    画家アンジェラ・パレットの、色調を抑えた挿絵も美しく、生きるとは
    何か、愛するとは。。様々な問いかけをしてみたくなる作品です。
    ここにいらっしゃるすべての方にお薦めです。

    • nejidonさん
      九月猫さん、丁寧なお返事とコメントをくださってありがとうございます。
      「九月猫」さんというネーミングセンスに脱帽です。
      わたしもそれにすれば...
      九月猫さん、丁寧なお返事とコメントをくださってありがとうございます。
      「九月猫」さんというネーミングセンスに脱帽です。
      わたしもそれにすれば良かったわ(笑)

      絵本は、本選びの参考になれば良いなぁと思いながら感想を載せています。
      九月猫さんのお役に立てたら嬉しいです。
      しかし「世界最速の・・」を知らないひとが多いとは、なんて残念なんでしょう。
      あの映画のホプキンスはキュートで憧れますよ。
      「ビッグ・フィッシュ」も、またまた観たくなってしまって困りましたわ。
      おお、三味線も弾いていらしたのですね!!なんと不思議なご縁でしょう。
      笑われるかもしれませんが、ワタクシの夢は子どもの頃からずっと「吟遊詩人になること」でした。
      三線のおかげで一歩ずつ近づけている気がしています。気がしてるだけかもしれないけど・・

      ところで、ギャリコのこの本は挿絵が素敵ですよね。
      アンジェラ・パレットさんの挿絵ばかり探していた頃もありました。
      また楽しいお話が出来たら幸せです。
      こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
      2013/03/08
    • 九月猫さん
      nejidonさん、こんにちは。

      ブクログネーム、褒めてくださってありがとうございますっ!
      最初はヘンかなーとちょっと不安だったので...
      nejidonさん、こんにちは。

      ブクログネーム、褒めてくださってありがとうございますっ!
      最初はヘンかなーとちょっと不安だったのですが、
      「三月うさぎ」という有名なキャラもいるし、いいかっ♪と(笑)
      当然「三月うさぎ」とは由来もなにも違うのですが。
      (わたしの場合は誕生月に一番好きな動物であるにゃんこをくっつけました)

      そうなんですよー、「世界最速のインディアン」観てる方いないんですよー。
      もっといろんな人に観てもらいたいです。
      ホプキンズ、キュートでしたねぇ。
      ちょっとしたワンナイトラブがあったりもして(^m^)

      >ワタクシの夢は子どもの頃からずっと「吟遊詩人になること」
      笑うなんて、とんでもない!!
      わたしは卒業時に友達と交換するサイン帳の「将来の夢」欄に
      「スナフキンになること♪」って書いてました!
      これまたステキな共通点ではないですか(* ̄∇ ̄*)

      >ギャリコのこの本
      残念ながら、わたしは文庫でしか持っていないのですー(悲)
      この表紙絵、とてもステキです。
      アンジェラ・パレットさんという方なのですね。
      機会があったらぜひ絵本版も読みたいと思います。

      >アンジェラ・パレットさんの挿絵ばかり探していた頃もありました
      わかります、わかります!
      わたしは一時、佐竹美保さんのイラストの本ばかり買ってました。
      イラストや装丁が好きな方の本だと、それだけで嬉しくなっちゃいますよね♪

      楽しくて長々と書いてしまいました(汗)
      また遊びに来ますね(´▽`)ノ
      2013/03/08
    • nejidonさん
      九月猫さん、楽しいコメントありがとうございます!
      ははは、「三月うさぎ」さんまで登場してきましたね。
      普通の頭で考えると「八月蝉」だの「五月...
      九月猫さん、楽しいコメントありがとうございます!
      ははは、「三月うさぎ」さんまで登場してきましたね。
      普通の頭で考えると「八月蝉」だの「五月蝿」だの(爆)ですが、「九月」と「猫」との隙間に、なにやら意味を感じてしまってそこが素敵なのです。
      誕生月に、好きな動物を付けたとはいえ、白眉です!!

      あの映画のホプキンズさんは、ドクターレクターよりもずっと好きです。
      レクターが怖すぎるというのもありますが(笑)
      単純に、すごく元気の出る映画なので、もっとたくさんのひとに観てもらえるよう宣伝しようかな。

      おお、ムーミンシリーズに話が行きましたね!
      トーベ・ヤンソンさんの昔の恋人がモデルだそうですが、上手くいかなくて別れたといいます。
      上手くいかないでしょうねぇ。スナフキンは根っからのボヘミアンですから。
      原作で読むと日本のアニメとはまた違ってて面白いですよ。
      スナフキンもかなり生々しいキャラだったりします。それもまた良いんですけどね。
      あ、「佐竹美保さん」はわたしも好きです。
      顔を近づけて、じっくりと観てしまう絵ですよね。
      チラッと観て、それからまたじっくり。。あれが楽しいのです。
      ああ、お話ししていたら、だんだん原画展に行きたくなってきました(笑)
      2013/03/09
  • 絵本の形態ですが短編です。
    叙情的と言うのでしょうか、美しい自然の描写に
    あっという間に物語に引き込まれました。
    表紙からもう不穏な気配でしたが、悲しいだけでなく、
    心に残るお話でした。

  • このタイトル、初めて知ったのはミュージック。
    Mike Oldfieldだと思い込んでいましたが、Camelの曲でしたか~!
    20年以上前に耳にしてから、ずっと原作も読んでみたいと思っていました。
    戦争を扱った物語だったのですね。
    ポール・ギャリコ作品は『雪のひとひら』があまり肌に合わなくて苦手意識を感じていたので、絵本の体裁のものを。
    内容はぎっしりですが、絵も素晴らしくて楽しめました。
    ヨットの上空を旋回するスノーグースの描写に感動。
    とても味わい深い作品ですね。物語を読んで音楽を聴くと、相乗効果抜群でした♪
    【追記】後日、文庫本で購入しました(*^-゚)b 他の収録作も読まなくちゃ☆

  • 手に障害を持ち、背中に大きなコブを持つ画家ラヤダーは、その容姿ゆえに人との関わりを避け、灯台小屋でひっそりと生活していた。彼の友だちは毎年やってくる渡り鳥たちだけだった。そんなある日傷ついたスノーグースを治してもらいに少女がやって来た。彼女の名前はフリス。治療をきっかけに交流が生まれ、フリスがやってくるのは毎年治療したスノーグースが戻ってくる時だけだったが、二人の交流は深まっていく。心あたたまるせつないおはなし。2009/04/13

  • 語るには長い。
    でも、私好みのストーリー。
    ポール・ギャリコは好きな作家です。
    手を入れて語れるようならやってみたい。

  • 読み終わった後に表紙を見てください。

  • 絵も物語も美しい。

  • すばらしい恋愛ものがたり…なんとも言えない…

  • 資料番号:020175972
    請求記号:933ギ

  • 『スノー・グース』自体は昔読んだことがあったが、新訳で絵本化、というので読んでみた。
    絵は、とてもいい。訳もいい。
    絵本と思って簡単に読めると思っちゃだめだけど。
    これがきちんと読めて心に響くのは、小学生じゃ無理で、中学生でも人を選ぶから、やっぱり大人向けの本だと思う。

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ポール・ギャリコの作品

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