はじめての哲学

著者 :
  • あすなろ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751527641

作品紹介・あらすじ

哲学者14人の人生に生き方を学ぶ哲学入門書。古代ギリシア哲学の祖タレスに始まり、ソクラテス、カント、ニーチェ、サルトル・・・14人の人生と思想をこの1冊で!

感想・レビュー・書評

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  • 【目次】
    第1章 古代ギリシャの哲学
    タレス[哲学の祖]…「万物の根源は水だ」
    ソクラテス[無知の知]…「自分の無知を知っている」
    プラトン[イデア論]…「善悪ニ頭立ての馬車」
    アリストテレス[万学の祖]…「世界最初の動植物園」

    第2章 イギリス経験論と大陸合理論
    ベーコン[帰納法の哲学]…「学問はタカに似ている」
    デカルト[方法序説]…「我思う、故に我あり」
    カント[純粋理性批判]…「認識のコペルニクス的転回」

    第3章 ドイツ哲学の全盛期
    ヘーゲル[弁証法の哲学]…「否定なくして発展なし」
    ショーペンハウエル[意志の哲学]…「意志が全ての源泉だ」
    ニーチェ[超人哲学]…「小児の無垢の心」

    第4章 現代世界への挑戦
    ダーウィン[種の起源]…「自分の好きなことに没頭する」
    マルクス[史的唯物論]…「哲学は解釈でなく変革だ」
    デューイ[プラグマティズム]…「多様性こそ進歩の原因である」
    サルトル[実存主義]…「自らを未来に向かって投げよ」

  • 「考えて行動することが大切」
    という言葉を、人は何も考えずに発することができる。
    僕もそうだ。
    常に何も考えないで行動している。だから、後先のことも考えないし、相手とどんな話をするかも考えない。
    考えない方が、気持ちが楽だ。

    だけど、それは結局ただ楽な道を選んでいるだけでなんの解決も生み出さない。

    哲学者は偉大だ。
    常に頭の中には「なぜ?」「どうして?」が存在していて、それらを解決するために、自分が納得できるように、それについて追求し、探求している。

    この本では個性的な14人の哲学者が紹介されている。ニーチェや、ダーウィン、ソクラテス、デカルトなど不勉強な僕ですら知っている名前がたくさん載っている中、サルトル、タレス、ベーコンなど聞き馴染みのない人物もいた。
    そのどの人物もがどこか変わっていて、だけどそれに向かってだけ頭を働かせているような人物もいて思わず「かわいいな、こいつ」というような考えすら持ってしまうほどであった。

    哲学の始まりはタレスの「万物の根源は水だ」といった全ては何からできているのかということを何かを考えた。
    そこからデカルトの「我思うゆえに、我あり」のように絶対的なものは結局「自分」なんじゃね?それ以外絶対とかなくね?というようなことを考えた。

    その先は難しすぎる。
    多分これが現代の生きづらさの一つなのではないかなと思うくらいに、哲学は複雑になっている。
    しかし、だからこそ哲学するということが重要な世の中なのかもしれない。
    考えるよりも流されたり、決められた人生を歩む方が楽になってしまった現代で、自分の行動を全て計算したり、計画したりしている人間が何人いるだろうか。

    やりたくない仕事をしている人が多い世の中だからこそ、好きなことをずっと考え続けていた哲学者の発想を、少し参考にしてみてほしい。

    流されないために、何が必要か。

  • 哲学について書いてあるのかと思ったら哲学者の伝記をまとめたものだった。

  • 哲学者に興味を持つきっかけをくれた本でした。
    この本では簡単な言葉で大雑把に色々な哲学者を紹介しているので、とてもわかりやすかったです。
    ニーチェやダーウィンなど気になる哲学者を発見できたので、これからは著作や解説書を読んでみようと思います。

  • 【感想】
    久々に哲学の本が読みたいなと思って借りた本。結構借りられるようになるまで長かった。
    哲学は歴史のある学問なので、紀元前の人から現代の人までの流れを分かりやすく解説してくれていた。
    年代順にそれぞれの哲学者が掲載され、その哲学者がどういった思想に影響を受けていたのかもキチンと記されているので、哲学の歴史推移が伺えて本当に為になったと思う。
    しかし、筆者の想像で語る場面もいくつかあり、そこに影響を受けないように気を付けたいなと思った。
    これまで読んだことがあるのは、プラトンの国家、ホッブスのリヴァイアサン、カントの世界平和のために、マイケルサンデルのこれからの正義の話をしようだけ。
    今作と似たようなものとして、中山元の正義論の名著もある。
    やはり、読んだことのあるプラトン所は知っている嬉しさを覚えた。
    ニーチェとか余裕があれば読みたいなあと思う。

    【内容】
    ・タレス(紀元前624頃~前546頃)
    古代ギリシアの7賢人の一人、タレスの残した文献は殆どないらしいが、逸話は沢山ある。
    エジプトやメソポタミア(バビロニア)をしばしば訪れており、そこで測量学を学ぶ。
    ナイル川沿いではたびたび起こる川の氾濫により、神官が農民に畑をあてがう必要があり、その過程で面積を求める方法が生み出されている。
    また、ナイル川の氾濫をシリウスの位置から読み解いており、それが365日なので、これをもとに360度という尺度が定められたのも合点がいった。
    こういった知識にタレスは触れて、知識と思考する方法を学んでいる。
    ピラミットの高さを測るには、影が自分の背の高さと一緒になる時刻に影の長さを測ればよい、というのは天才だと思った。
    万物の根源は水だという。

    ・ソクラテス(紀元前470~前399)
    その存在はプラトンの記しているものによって残されている。
    自分の無知を知っており、「私は馬の尻に止まった虻」とまで言い切る程自己に対して厳しく、あくなき探求心と絶望に悩まされていたが、他者の知を拓く事を使命に感じており、他者との弁論にも進んで加わり、他者の無知を自覚させつつも、そこから昇華させることを重んじていたらしい。
    しかし、神を敬わない不敬罪により死刑となる。
    やろうと思えば逃げおおせる事も出来たが、悪法もまた法なり、という精神にて自ら死刑を進んで受けた。

    ・プラトン(前427~前347)
    イデア論を展開しており、例えば、目の前の美しいバラは絶対的な美のイデアから分けて貰っており、たとえそのバラが枯れたとしても、絶対的な美というのは不滅であるという。これは正義にも言える事で、このイデアの存在を哲人王に知覚させ、その哲人王の指導する国家こそが、真のあるべき姿であるという。
    洞窟の比喩や、2頭立ての馬車が最たる話であるようだ。
    また、ソクラテスがなぜ死刑になったのかを追い求めており、プラトンの哲学はソクラテスをルーツに持っている。後年はアカデメイア学園を開き、次の世代へつなぐ働きもしている。

    ・アリストテレス(前384~前322)
    プラトンのアカデメイア学園に入学していた読書家であり、生物が大好きで世界最古の動物園も有していた。なんと、アレクサンドロス大王の家庭教師でもあるのは驚きであった。
    動植物の正確な記録方法として、カテゴリーを生み出し、時間や大きさ、質、位置、関係といった、5W1Hのようなものを発明している。
    自らが学園リュケイオンを設立し、アカデメイアが数学や幾何学を取り扱うのに対し、生物学、自然学を彼の学園では取り扱っていた。

    ・ベーコン(1561-1626) [帰納法の哲学]…「学問はタカに似ている」
    物凄く頭がよく、弁論術に非常にたけており、言い回しや名句、名文を自らしたためており、聴衆は彼の弁論が終わってしまうことを心配している程とのこと。
    学問は鷹に似ているという言葉を残しており、上空から一気に目標にめがけて急降下する様を謳っている。
    また、ものごとを正しく認識するのを妨げている先入観をイドラと呼び、具体的な事実からのみ、物事を考える帰納法を生み出している。
    これは、経験、実験から得た事実を加工、変形させて一つの結論を導き、新たな真理を発見しようというものである。
    この帰納法によって正しい知識を得ることがイギリスの経験論者らしい。

    ・デカルト[方法序説]…「我思う、故に我あり」
    我思う故に我ありの人。
    この人も滅茶苦茶頭が良くて、数学と物理学を結びつけ、知を以てして解明する事を夢の中で神に告げられているらしい。

    ・カント[純粋理性批判]…「認識のコペルニクス的転回」
    旅行の本が大好きな大学の先生で、とてつもなく時間に対して几帳面なお人。
    純粋理性批判を書いている。また、世界平和の為にという本も出しており、人類が平和になるためには国際的な組織立てが必要と説いたりと、人柄が凄くよさそうな人。

    ・ヘーゲル[弁証法の哲学]…「否定なくして発展なし」
    ドイツの哲学者であり、弁証法という矛盾を肯定として捉える事にした人物。
    ナポレオンを目にしたことがあり、占領された側であるが歴史の中に新時代の魂を感じて感激していたらしい。
    ゲーテからも書簡が届けられており、青少年の思想に関して要請を遠回しに求められるほど影響力があった。

    ・ショーペンハウエル(ショーペンハウアー) [意志の哲学]…「意志が全ての源泉だ」
    ヘーゲルをライバル視していた厭世主義の人、その根底にはたらく盲目的な生存意志は絶えず満たされない欲望を追求するために人生は苦になると説き、この苦を免れるには意志否定によるほかはないと主張した。主著「意志と表象としての世界」がある。
    ↑のはネットから拾ってきた。
    ヘーゲル全盛期は不遇な扱いであったが、晩年は新聞での記事などから話題を呼び、もてはやされることで元気になっていった現金な奴。俺は憎めないから嫌いじゃない。
    カントやプラトンの観念的な思想が強いらしい。

    ・ニーチェ[超人哲学]…「小児の無垢の心」
    超人哲学を説いており、小児の無垢の心を述べている。
    人は赤ん坊から獅子、最後には小児に精神が移り変わるという話は有名で、
    更に詩的なセンスに溢れている。ツァラトゥストラはかく語りが超絶有名。

    ・ダーウィン
    種の起源により、生命という観点に科学の光を当てて、哲学と宗教をキッパリと断ち切った偉人。両親には生物学者になることを反対されていたが、叔父の協力を得て世界を廻る。そこで、様々な生態系を見聞きし、学ぶというよりも知ろうとする天才だと思う。
    アリストテレスの作品を面白いと言っていたりと、哲学者というりよりも学者であるが、哲学の歴史においての一つの区切りを与えた人物として、挙げられていても何らおかしくない偉人だと思う。

    ・マルクス[史的唯物論]…「哲学は解釈でなく変革だ」
    めちゃんこ厳しく、経済というものをこれでもかという程に調べ、学び、考え続けて社会主義を生み出した世界の一部から疎まれる天才。イギリスの図書館でひったすら学び続けたので、彼専用のスペースが今でもあるらしい。
    世の上層と下層での戦いを煽るあたり、要注意人物感は凄い。
    哲学はこれまで、解釈の手段でしかなく、それがこの世で実践できることなどなかった、本来は変革それ自身であるべきだと説いているので、過激になるのも分からなくもないし、行動を起こすのはいいことだと思う。

    ・デューイ[プラグマティズム]…「多様性こそ進歩の原因である」
    教育に非常に力を入れているひとであり、学校という存在での教育の在り方を説いている。
    このあたりから、過激さが大分抜けてきており、その思想を受け入れやすくなってきている。

    ・サルトル[実存主義]…「自らを未来に向かって投げよ」
    正直印象が凄く薄い。なぜだろう。
    しっかり読んどけばよかったので、ここはネットで調べた。
    実存主義では、他者と世界の存在には意味がなく、自分個人は自由であるらしい。
    なおかつ、その自由には責任が付きまとうため、自由の刑に処されていることと同じである。これから脱するには、自分を投企する必要があり、あらゆる物事に進んで参加して、自由を自らが拘束していくことが必要であると説いている。
    やばい、これは読もうと思う。

  • 他のレビューにもあるように、「哲学の本」というより「哲学者の人生の本」と言った感じでした。14人の哲学者が登場しますが、殆ど知らない人なので一読しただけでは忘れちゃうな…
    が、『SPY×FAMILY』でアーニャが「ちわわぢから」と聞き間違えた昔の偉い人がベーコンだったことを知ってちょっと満足しました(笑)
    しかし哲学って文系だと思っていたのですが、どうやらそれは勘違いだったようです。ある意味考えたり、調べた結果身に付いた持論のようなものなのかな…と思いました。でも言葉が難しいのでもっと簡単な言葉で表現すればいいのに!とも思いますがw(帰納法とか弁証法とか言われてもピンと来ない)
    ところで、まえがきに三十歳を「自立」と記述されていましたが、「而立」じゃないの?とちょっと混乱しました。どちらでも一緒なのかな…

  • タレスからサルトルまで、西洋哲学を俯瞰してみる。西洋哲学全体を素早く概観するにはいいかもしれないが、説明が深くないため、腹落ちせずに、もやもや感が残るため、結局他の書籍に当たることになる。そういった本であると、割り切ればいいのだろう。

  • 哲人たちの年齢でやったことが書かれてたのが
    良かった

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/
    図書館・請求記号 130/I75//

  • 読みやすく、とてもおもしろかった。

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著者プロフィール

北九州市小倉生まれ。九州大学教育学部(教育原理)卒業。小・中・高等学校で40年間教壇に立った後、西南学院大学・九州国際大学・福岡県立大学・健和看護学院講師を務め、現在、北九州森鷗外記念会理事。主著に『カントの生涯』(水曜社)、『中学生の勉強法』『日本の歴史Q&A』『森鷗外と「戦争論」』など。

「2024年 『森林太郎から文豪・鷗外へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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