300年まえから伝わるとびきりおいしいデザート

  • あすなろ書房
4.15
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本棚登録 : 398
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (37ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751528150

作品紹介・あらすじ

おかあさんも、おばあちゃんも、そのまたおばあちゃんも食べていた、とびきりおいしいデザートの作り方とは?イギリスで生まれたブラックベリーフールをめぐる4世代の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ブラックベリーの収穫時期に合わせて。
    西欧文明における最古のデザートである「ブラック・ベリー・フール」の300年間の歴史を、100年単位で描いて語ってくれる。
    作る人、材料の入手方、使用する道具、食卓に供されるときの様子、保冷方法、それらがどれほど変化してもこのデザートは作られていく。
    じっくり絵を見ながら読んだあとは、実際にデザートを作るという楽しみも待っている。

    はじめは1710年イングランドのライムという田舎町での作り方。
    次は1810年のアメリカ南部・チャールストンでの作り方。
    1910年はアメリカ東湾北部ボストンで。
    最後は2010年カリフォルニア南部・サンディエゴで。

    テキストで語られるものももちろんあるが、本の最大の魅力は挿絵。
    文字だけ読んでいてはとても理解がつかないだろう。
    登場人物たちの衣装、表情、風景、家具調度品、家族構成、食卓の風景、一見美しい絵が実は歴史を雄弁に物語っている。

    アメリカ南部の農場では、黒人奴隷の親子が登場する。
    小さな女の子がシャカシャカと、腕が痛くなってもホイップクリームを泡立てる。
    出来上がったデザートを食べる白人家族には、奴隷の女の子と同い年くらいの少女がいる。横目で奴隷の子を見つめている。
    2010年にこのデザートを作るのは、父親と息子のふたりだ。
    100年前にはとうてい考えられない光景だろう。
    父親はネットで作り方を調べ、息子は電動ミキサーで泡立てる。
    食卓には様々な国籍の子たち。アジア系もアフリカ系も同席している。
    300年の時の流れは、モノだけでなく人も変えたのだ。

    では、変わらないものは何?
    デザートの作り方と、それから・・ここはぜひ読んでみてね。思わずニコッとしちゃうから。

    後書きはふたつ。作者さんと挿絵画家さんからの素敵なメッセージが載せてある。
    幸せなデザートづくりの話だけでなく、深い読み応えのある絵本だ。
    この夏お子たちとともに読んで、読後は一緒に作ってみることをお薦め。
    レシピも載っているけど、他のベリーでも(冷凍でも)OKらしい。
    泡立てた生クリームとグラニュー糖、裏ごししたベリーとを混ぜて冷やすだけ。
    よそった後は、ボールに付いているブラック・ベリー・フールを舐めるのを、忘れずにね!

    • りまのさん
      素敵。(子どもいないけど)
      素敵。(子どもいないけど)
      2020/08/04
    • nejidonさん
      りまのさん、こんにちは(^^♪
      これは夏休み中のおうちにむけて書きました。
      でもそれは名目上の話。
      年齢・性別を超えて楽しめる本です。...
      りまのさん、こんにちは(^^♪
      これは夏休み中のおうちにむけて書きました。
      でもそれは名目上の話。
      年齢・性別を超えて楽しめる本です。どうぞご覧ください!
      2020/08/04
  • 同じ物を作っているんだけど、その過程がどんどん近代化していく様子が興味深い。
    その家族構成も。
    文明の進化って凄いんだなと思いながら、ブラックベリーフールという食べ物を食べてみたくてたまらなくなった。

  • ブラックベリー・フール作りを1710年、1810年、1910年、2010年と長いスパンで紹介されている。今ではハンドミキサーであっという間にできるホイップクリームは、300年前の時代には、小枝を束ねたものを使い泡立て、丘の穴倉に藁を敷き、冬にできた氷で冷やして保存していたらしい。
    今では滅多に作らなくなったケーキですが、子供が小さい頃に泡立て器で生クリームをホイップするのが面倒な作業だったのを思い出しました。そのうちに電動ハンドミキサーが登場し、わずかな間にホイップした生クリームが売り出され、ケーキ作りは簡単にできるようになった。でも、その頃には子供も成長し、最近は甘いものが敬遠される時代。
    どの時代にも共通しているのは、食べた子供たちが「わぁ、おいしい!」と喜んでいる姿が描かれている。それが作り手にとって最強の原動力となるんですよねぇ~。

  • 日本ではあまり馴染みのないデザート、ブラックベリー・フール。現代のキッチンツールを使えば簡単に出来そうですね。でも、300年前から見てみると、大変な労力が掛かっていました。この絵本の深いのは、その大変さを担う人(女性、主婦、奴隷)と、労せず当然のように食べる人とが、はっきり分かるように描かれていることです。アメリカ合衆国の歴史を知ると、さらに明らかに見えてきます。大きい子や大人に読んでほしい本です。

  • 300年前 200年前 100年前、現代、と4組の親子がブラックベリーフールというデザートを作る。
    ベリーと生クリームを用意するところから、食事のシーンまでの繰り返しなんだけど、時代が新しくなるごとに道具やシチュエーションが少しずつ変化しているのが絵で丁寧に描写されていて面白い。
    大人には最後のあとがきも面白いんだけど、子どもには手元に置いて繰り返し絵を眺めて欲しい絵本。

  • ブラックベリー・フールというデザートがあります。300年も昔から作られているデザートですが、昔の人たちは今の人たちと同じように作っていたのでしょうか……?

    タイトルからおいしそうなにおいをかぎとって、読んでみたいと思ったのだけれど、そんな食いしん坊が吹き飛ぶくらい素敵な作品だった!!(いや、ブラックベリー・フールは食べたいけど)
    300年前、200年前、100年前、現在、それぞれの時代の作り方が描かれている。材料の揃えかたも違えば、作るための道具も違う。作ったお母さんと娘が男たちと一緒に食べることはない時代。奴隷が作っている時代。家族みんなで一緒に食べる時代。作るのが女性陣ではない現代。なんて面白い描きかただろう。そして、史実に忠実にするために、ソフィー・ブラッコールさんのかけた時間、努力がすごい。
    どの家にもかざられているものがあって、気になっちゃう。それから、奴隷の男の子が引っ張ってるものはなんだろう?
    時代は移り変わるけれど、変わらないのは、作った人の味見の特権!!

  • 欧米で愛されているつめたいデザート、ブラックベリー・フールの作り方を4世代にわたって追っていった絵本。泡だて器、こし器や冷やし方。年代を追って変わっていきますが、変わらないのは作っていく途中でクリームをなめたり、後片付けの時にボウルをなめたりする時の特別なおいしさ。
    『わぁ、おいしい』『なんて、すてきな、あとかたづけ!』が、毎回繰り返されていきます。
    時代の移り変わりとともに、食事の様子や家族の様子、食事の作り手の移り変わりも描かれていて、面白い。

  •  300年前、冷蔵庫も電動あわだてきもない時代、つめたいデザートはどうやって作っていた?200年前、100年前、そして現代、4つの時代のデザートづくり。

  • 2016年に出版された絵本の勉強のため、借りてよんだ。

    300年まえから伝わる、ブラックベリー・フールについて。
    1710年、1810年、1910年、2010年、時代ごとに、作り方と食事の周辺が丁寧に描かれている。

    いい絵本だなぁ、と思う!
    絵とレタリングが美しくて、表紙をみるだけでわくわくしたのは、久しぶりだった。
    中身も、100年進むごとに、変わったものと変わらないものがわかるのが、おもしろい。
    材料調達の手段、料理方法とその周辺、食事風景などは変わるけれど、ブラックベリー・フールを食べたときの おいしさ は、変わらない。
    絵にもしっかりした世界観があって、もっとみていたくなる。
    最後の作者と画家からの説明がくどい気もするけれど、個人的には好きです!

  • 同じデザートを異なる時代に作ることで、変わる道具や変わらない気持ちなどが、上手く描かれている。絵もお話と合っています。レシピも付いていて手軽に作れそう。作者と画家のあとがきも良い。

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