[グラフィック版]アンネの日記

制作 : アリ・フォルマン 
  • あすなろ書房
4.11
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本棚登録 : 90
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751529638

作品紹介・あらすじ

隠れ家での2年間の雑居生活。異常な環境で思春期を迎えた13歳の少女の不安、恐れ、怒り、愛を書きつづった「アンネの日記」。500ページ近い大著を、アンネ・フランク財団監修のもと、150ページのグラフィック版で刊行。

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしながら『アンネの日記』を読んでいない。
    小学校低学年の時に簡略版を読み、その後絵本や、様々な著者によるアンネの本(ホロコーストの本も)は読んだので、一応知っているつもりになって、もともとの『アンネの日記』を読みたいという気持ちがなくなってしまったというのもあるし、結構厚いので、いくら歴史的な本とはいえ、少女の独白だけの本が正直言って面白いのか?と疑問も湧き、読まなかったのである。
    そしてまた、別の著者による『アンネの日記』に手を出してしまった。

    グラフィック版とあり、ぱっと見るとマンガ化かと思うが、ちょっと前読んだ『サブリナ』みたいに、かなりきちんと作り上げられており、安易なマンガ化では決してない。よく学習マンガで偉人の伝記なんかがあるが、そういうものとは全く違う。アンネの文章そのままの部分も多く、見開きでびっしりと原文のまま載せられているページもある。小さい字で横書きなのでかなり読みにくい。しかし、丁寧に読んでいくと、この文章は削ったり、絵で表したりすることはできない部分なんだな、『アンネの日記』の肝の部分だな、というのが分かる。つまり、読みやすさより、『アンネの日記』を正確に伝えることを重視しているのである。そこが大変良い。読みやすさを重視した本は山のように出ているのだから。
    さらに、文字を読むだけではイメージしづらい、当時の状況や隠れ家の様子が、絵のおかげでよくわかる。(クリスマスツリーとハヌキヤが並んで置いてあるフランク家の様子も描かれており、彼らがガチガチのユダヤ教徒ではなく、キリスト教も適度に取り入れて暮らしていたことがわかる。)登場人物の顔が、残っている写真そっくりな上に生き生きとした表情があるので、より人間的に感じられる。
    これを読んでから原典版を読むといいと思う。これを読めたら、とも言える。
    アンネの日記が後世に残ったのは、彼女の不幸がきっかけではあったが、単に可哀想な少女の日記なら、これ程までに読まれることはなかっただろう。彼女には確かな才能と類まれな感受性があったから、思春期の、特に少女を中心とした若者の心を捉えたのだ、と改めて実感した。
    これだけの才能のあった若者が(才能がなくても。というか、何が才能かは長く生きてみないとわからないことも多い。)、命を奪われる残酷は、本来あってはならないことだが、人間の歴史では、アンネ以降もたくさんの未来ある若者が戦争や紛争で命を奪われている。その理不尽さを今一度考えて欲しい。
    これだけの苦難の生活の中でも「どんな不幸の中にも、つねに美しいものが残っている」(P109)「どんな危険なときにもその中に滑稽な一面を見つけ、それを笑わずにいられない」(P131)という強さ。
    「なぜ人間は、ますます大きな飛行機、ますます強力な爆弾をつくりだしておきながら、一方では、復興のためのプレハブ住宅を作ろうとしたりするのでしょう?どうして、毎日何百万という戦費を費やしながら、医療施設のために使うお金がぜんぜんない、などということが起こりうるのでしょう?どうして、飢え死にしそうな人たちがいるのに、世界のどこかでは、食べ物がありあまって、くさらせているところさえあるのでしょう?」(P130)「このところ、ひとつの疑問が一度ならず頭をもたげてき、けっして心に安らぎを与えてくれません。どうしてこれほど多くの民族が過去において、そしてしばしば現在もなお、女性を男性よりも劣ったものとして扱ってきたのかということです。こういうおおいなる不法のまかりとおってきた、その根拠を知りたいんです。」世の中を見据える目。
    「(お父さんは)いつも私に語りかけるとき、むずかしい過渡期にある子供として語りかけた」「彼(ペーター)が私を征服したんじゃなく、私が彼を征服してしまったんだ」(P142)「私はせめて彼をそういう視野の狭さから引っぱりだしたい、彼の若さという限界をひろげさせたいと願った」(P143)この洞察力。

    もうひとつ、大人になって感じることは、この困難な状況で、アンネの両親が精一杯のことをしたことに対する敬意である。衣食住さえままならない中、子ども達の安全を第一にしながらも、より良い人間となるよう、本を読ませ、語り合い、抱きしめた。母親は隠れ家生活中はアンネに嫌われたけれど、これは思春期特有の身近な同性を嫌悪する心があったと思う。母エディートは、父オットーより、心配を表に出しすぎてうっとうしがられた感じがあるが、この極限生活の中で、この程度で居られたことは凄いと思う。私なら子どもを虐待してたかも。
    それから、姉マルゴーのこと。アンネはいつも姉と比較され、姉の方が褒められることに腹を立てているが、マルゴーだっていろいろ思うことはあっただろう。ペーターのことだって、彼は私にはものたりないみたいなことを言っていたが、本心かは分からない。感情を素直に表現し、なんと思われようが言いたいことを言う妹を羨む気持ちが絶対あったはず。爆撃に怯えて父の布団にもぐり込む妹を横目で見ながら、一人で震える夜もあっただろう。マルゴー、あなたにも生きていて欲しかった。あなたにも語るべき物語があっただろう。

  • 今週の本棚:『グラフィック版 アンネの日記』=アンネ・フランク著… - 毎日新聞
    https://mainichi.jp/articles/20200711/ddm/015/070/019000c

    あすなろ書房【[グラフィック版]アンネの日記】
    http://www.asunaroshobo.co.jp/home/search/info.php?isbn=9784751529638

  • 今まで何度か読書を試みて完読できなかったアンネの日記。
    新聞の広告でグラフィック版が出たと言う記事を見つけ、図書館で見つけと運を重ねて手に取ることができました。
    数日で読破出来るほどの面白さ。

    25ヶ月も隠れ家暮らしを強いられた13歳のアンネ、その後収容所にてチフスで亡くなってしまったなんて悲しすぎます。

  • 13歳の多感な少女アンネ・フランクが、ナチ占領下のアムステルダムで、彼女の家族四人のみならず同居を余儀なくされた人たちとの窮屈な《隠れ家》での二年余りの生活を綴った『グラフィック版・アンネの日記』です。深町眞理子訳の『アンネの日記 完全版』で記述された母エーディトやファン・ダ-ン夫人(同居人)との確執、思春期ならではの異性への関心など包み隠さず色彩豊かに表現されています。密告によって《隠れ家》で逮捕された八人のその後を知る今日に生きる者へ、アンネ・フランクの魂の叫びが響きわたります。

  • 隠れて暮らすのがこういうことだとしたら、今の完全自粛は、全然大したことがないように思える。

    目立って格差のある諸国と、
    目立った格差はないが、ジンワリと差別のある日本。

    どちらが幸せなのやら

  • アンネの日記は途中までしか読んでいなかったが、この本で日記が終わるまでに起こったことをよりわかりやすく知ることができた。
    グラフィックがあると、どんな生活を送っていてどういうことに想いを馳せていたかが、とてもイメージしやすく、出来事がうまくまとめられていた。
    それにしても、アンネ・フランクの信念や考えは、自分の心に刺さってくる。すばらしい自己考察だ。そして日記を書き始めてから、書き終わるまでの間のアンネフランク自身の成長や変化もすごい。
    鋭い洞察力と考察力と信念、勇気をもったアンネ・フランクは、強制収容所でいったいどんなことを思っていて、死を迎えたのかが気になってしかたないが、いまではもうわかることはない。
    人間の奥深さを感じた。

    以下は自分が印象的だったアンネの言葉
    ・だれかがふさいだ気分でいるとき、わたしの助言はこうです。「外へ出るのよ。野原へ出て、自然と、日光のめぐみとを楽しむのよ。じぶんじしんのなかにあるこうふくを、もういちどつかまえるようにつとめるのよ。あなたのなかと、あなたのしゅういとにまだのこっている、あらゆるうつくしいもののことをかんがえるのよ。そうすればしあわせになれるわ。」
    ・どんな不幸の中にも、常に美しいものが残っているということを発見しました。それを探す気になりさえすれば、それだけ多くの美しいもの、多くの幸福が見つかり、人は心の調和を取り戻せるでしょう。そして、幸福な人は誰でも、他の人をまで幸福にしてくれます。それだけの勇気と信念とを持つ人は、決して不幸に押しつぶされたりはしないのです。
    ・自然に対する、健康やその他の多くのものに対する喜びを感じている限り、そのようなものをずっと手放さずにいる限り、人はいつでも幸せを掴むことができるのです。どんな富も失われることがあります。けれども、心の幸福は、いっとき覆い隠されることはあっても、いつかはきっと蘇ってくるはずです。生きている限りは、きっと。孤独なとき、不幸なとき、悲しいとき、そんなときには、どうかお天気のいい日を選んで、屋根裏部屋から外を眺める努力をしてみてください。まちなみだの、いえいえのやねをみるのではなく、そのむこうのてんをなだめるのです。おそれることなく、てんをあおぐことができるかぎりは、じぶんのこころがきよらかであり、いつかはまたこうふくをみいだせるということがしんじられるでしょう。

  •  『アンネの日記』漫画(っぽい)バージョン。
    絵がアンネの心情をよく表しており、隠れ家の様子なども絵を見て理解できた。

  • 文字で読むのとはまた違った彼女の魅力がはじけます。

  • 第二次世界大戦中ドイツに占領されたオランダで迫害を逃れ潜んでいたアンネ・フランクの日記。13歳の誕生日に贈られた日記帳には短い物語や小説、学校や隠れ家での出来事が書かれていました。隠れ家での生活の中、この体験を本にしようと決めた彼女は、いつかこの生活が終わり、出版できるよう書き続けていました。しかしこの日記は、1944年8月4日に途切れることになります。1947年に唯一の生還者である彼女の父が出版した「アンネの日記」、本書はそのグラフィック版です。
    『アンネのこと、すべて』(ポプラ社)では、アンネの誕生から始まり彼女を取り巻く世界を、より詳しく知ることができます。

  • 原作は、想像力をかきたて、恐怖を感じさせ、思春期の揺れ動く様を感じさせた。本作は、想像力を奪うが、現実のオランダを映し出してくれるのかもしれない。原作の良さは、消え去るが、読み易さは、ある。

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