空にうかんだエレベーター (安房直子絵ぶんこ 3)

  • あすなろ書房 (2024年5月8日発売)
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本棚登録 : 89
感想 : 4
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  • 本 ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751532034

作品紹介・あらすじ

心がぽっとあたたかくなる。安房直子絵ぶんこシリーズ第3弾!



「満月の晩にまた会いましょう」

子ども服のお店のショーウインドーにかざられているぬいぐるみのうさぎさんは言いました。そして……。

満月の夜だけの、だれも知らないすてきなおはなし。

感想・レビュー・書評

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  • 子ども服のお店のショーウインドーは、いつもおしゃれに飾られていて、季節ごとにとりかえられていて、みんなの目を楽しませている。

    秋になると大きなぬいぐるみのうさぎが、子ども用の服を着てピアノをひいているのが見れる。
    ピアノの周りは、いちめんの落ち葉というのもとても素敵に見えた。

    うさぎは、毎日朝も昼もみんなが寝静まった夜更けまでピアノをひいていた。
    このうさぎを毎日見に来る女の子は、息をとめて、じっと見つめて耳をすましてピアノの音を聞こうとすると…ほんとうに聞こえてくるようで。
    だけどピカピカに磨いているガラスに触らないでと店の人に怒られてしまい…、うさぎはこっそりと満月の晩に会いましょうと。

    満月の晩に会った女の子とうさぎは、いっしょに楽しみ冒険するが、月がしずむまでに帰らないといけなくて、女の子を送ったあとにうさぎはショーウインドーのなかには入れなくなり…。


    閉じ込められて自由に動けないうさぎと裕福そうには見えない女の子が、心を通わせて楽しい夢を見るのがなんとも言えず、少し切なくもある。
    苦難を乗り越えれば明るい未来があるよと最後には女の子がぎゅっとうさぎを抱きしめて、微笑んでる姿を見て嬉しくなった。





  • 安房直子さんの文に、えがらしみちこさんの優しく可愛らしい絵がマッチして、この上なく愛らしい一冊だった。
    途中、ファンタジーが苦手な私は、少し冷めそうになったが、ラストの方はもう心を鷲掴みにされた。
    お話自体も良かったし、えがらしみちこさんの絵でなければ、ここまでグッと来なかったかもしれないと思うほど、絵も良かった。

  • 安房直子的世界
    https://nemuridoh.hatenablog.com/

    安房 直子 - Webcat Plus
    https://webcatplus.jp/creator/4123

    あすなろ書房【安房直子絵ぶんこ】
    http://www.asunaroshobo.co.jp/home/search/series.php?isbn=D9784751532010

    テンキアメ -絵本作家 えがしらみちこ公式サイト-
    https://tenkiame.com/ws/

    あすなろ書房【③空にうかんだエレベーター】
    http://www.asunaroshobo.co.jp/home/search/info.php?isbn=9784751532034

  • 安房直子さんと、えがしらみちこさん
    以前もこのお二人の絵本を読んだのですが、その時の感想がまたよみがえる読書になりました
    美しく愛らしい挿画に、独特の語り口の情の深い物語
    そして語られる内容に込められた、隠せぬ不穏さ
    読んでいる間中、じわじわと不吉な予感が迫る、登場する女の子と仲良しのうさぎのぬいぐるみが辛いことやしんどい目に遭うのではないかと気が気でない読書になりました
    お話の筋書きは、おそらくあまり恵まれた環境にいない女の子が、子供服のショーウィンドーに飾られたうさぎのぬいぐるみと満月の夜におさんぽに出かけて、夢を語り合うという物語で、星空の中で月の光を縒って編んで空を翔べる月のマントを仕立てるという、ものつくりへの楽しさや憧れをかきたてる場面もあります
    しかしやはり不穏だった 女の子が親御さんに放置されている含みや、うさぎが飾られたお店の人からあからさまに邪険に扱われる場面など堪えるしんどさがある
    その後やってきた楽しい場面も、終わりにはうさぎがマントを無くして空から落ちてしまう
    世の中には楽しいことよりも悲しいことや辛いことの方が多いのだと突き放されたような心地におちいる
    でも、女の子とうさぎのぬいぐるみは、これからも一緒にいられるようだから…きっと、大丈夫…多分…

    ところで、安房直子さんの作品に共通する印象として、登場人物の無力さやみじめさを描写するのがとても巧みだなと感じます
    悲しいことや怖いこと、困った状況に対して対処が出来ない歯がゆさ、でもそれに悲観にくれたり捨て鉢になる性質の子はいない、そんな健気さや儚さから醸し出される雰囲気が、きっと独特で魅力なのではないだろうか

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著者プロフィール

安房直子(あわ・なおこ)
1943年、東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっ子』第3回日本児童文学者協会新人賞、『北風のわすれたハンカチ』第19回サンケイ児童出版文化賞推薦、『風と木の歌』第22回小学館文学賞、『遠い野ばらの村』第20回野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』第3回新見南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』赤い鳥文学賞特別賞、受賞作多数。1993年永眠。

「2022年 『春の窓 安房直子ファンタジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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