戦国史をみる目

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  • 校倉書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751724507

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  • 1995年刊。70~90年代にかけての著者の論考、講演録をテーマ毎に集積。久々の藤木節を堪能。テーマは、女性、一向一揆、刀狩などの武装解除、中世村落や城郭と民衆との関わり、戦国大名権力の実相、文禄・慶長の役。多くは既読した著者本のテーマと被っていたが、一向一揆関連、文禄・慶長の役の韓国内、あるいは日本内(東国・西国両面)への影響のそれは初見に近い。殊に、一向一揆関連は宗教的紐帯の影響力の程度、石山本願寺の戦国大名的支配構造や織田権力における畿内や長島は彼の支配の境界領域に位置し、不安定など興味深い。
    石山本願寺の支配構造や他国への影響の実相は、宗教という紐帯がどこまで貫徹されたのか、あるいは他の要素があるか、戦国期と織田権力期等時期による違いは何かなど、織田・石山10年戦争を考えるには良い刺激になった。また、織豊または幕藩制を強固な専制体制とみる立場からの、民衆の一定の力を容認する藤木説への批判とその応酬は論争として面白い。結局、幕藩制の内実をいかなる根拠から導出するかに係っているはずで、ステレオタイプ的な見方だけはすまいと思ったところ。著者は立教大学文学部教授。

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著者プロフィール

藤木 久志(ふじき ひさし)
1933年 新潟県に生まれる。新潟大学人文学部卒業。東北大学大学院文学研究科修了。群馬工業高等専門学校専任講師,聖心女子大学助教授,立教大学教授,帝京大学教授を歴任。現在,立教大学名誉教授。文学博士。日本中世史専攻。[主な著書]『豊臣平和令と戦国社会』(東京大学出版会,1985年)、『戦国の作法』(平凡社,1987年。1998年に平凡社ライブラリー,2008年に講談社学術文庫より増補版刊行)、『雑兵たちの戦場』(朝日新聞社,1995年。2005年に朝日選書より新版刊行)など多数

「2019年 『戦国民衆像の虚実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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