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- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784751739303
感想・レビュー・書評
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歴史研究の今日的意義について、重ねられた思索の記録。
歴史の主体に「強い個人」を置くことに疑問を呈し、「つながり」「さまざまな自分」「記憶」「経験」によって歴史の主体を考えることに、歴史研究が今日直面している隘路を見出そうとする。その姿勢の一貫性には、感服するしかない。
「つながり」や「経験」を重視する本書では、そのことを生かそうとする歴史研究の多くの事例が挙げられている。確かに、歴史学を大学で学んでいないような人びとの記録や記憶を書き留めたものが、歴史研究の閉塞性を打破するという目論見はわかる。
でもそうだとしたら、大学で歴史学を勉強してきた僕らの役割や存在意義って、いったい何なんだろう?という気持ちになる。特に僕のような、いわゆる「民衆」とは違うレベルの人びと(政治家とか)を研究ししている人間は「お前らは歴史研究としてはもう存在意義が薄いぞ」と言われているような気がして、少し寂しい気持ちになってしまうのである。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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