歴史への問い/現在への問い

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  • 校倉書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751739303

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  • 歴史研究の今日的意義について、重ねられた思索の記録。

    歴史の主体に「強い個人」を置くことに疑問を呈し、「つながり」「さまざまな自分」「記憶」「経験」によって歴史の主体を考えることに、歴史研究が今日直面している隘路を見出そうとする。その姿勢の一貫性には、感服するしかない。

    「つながり」や「経験」を重視する本書では、そのことを生かそうとする歴史研究の多くの事例が挙げられている。確かに、歴史学を大学で学んでいないような人びとの記録や記憶を書き留めたものが、歴史研究の閉塞性を打破するという目論見はわかる。

    でもそうだとしたら、大学で歴史学を勉強してきた僕らの役割や存在意義って、いったい何なんだろう?という気持ちになる。特に僕のような、いわゆる「民衆」とは違うレベルの人びと(政治家とか)を研究ししている人間は「お前らは歴史研究としてはもう存在意義が薄いぞ」と言われているような気がして、少し寂しい気持ちになってしまうのである。

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著者プロフィール

早稲田大学教育・総合科学学術院特任教授。日本近現代史。『戦争と戦後を生きる 1930年代から1955年』(日本の歴史15・小学館)、『語る歴史、聞く歴史』、『増補版 民衆の教育経験』(以上、岩波書店)、『「生存」の東北史』、『「生存」の歴史と復興の現在』(以上、共編著、大月書店)他。

「2021年 『戦争と性 34号 特集:性暴力のない社会へ──「自分ごと」として考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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