アレクセイと泉のはなし

著者 :
  • アリス館
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784752002741

作品紹介・あらすじ

その日、チェルノブイリの原子力発電所が、爆発事故を起こしたのだ。ぼくの村は一八〇キロ離れていたけれど、見えない放射能で汚され、もうここに住んではいけない、と言われた。たくさんのひとが村を離れた。でも、五五人の年寄りとぼくは村に残った。父さんと母さんは、村を出るなんて思ってもいない。ぼくもこの村が大好きだから、三人で今までと同じように暮らしている。チェルノブイリ原子力発電所事故の被災地ベラルーシで、今も暮らす人々を撮影した映画『アレクセイと泉』の写真絵本。

感想・レビュー・書評

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  • やえがしなおこさん『ペチカはぼうぼう猫はまんまる』は、この作品にインスパイアされたとのことで、小学校図書館にあったので読んでみました。
    チェルノブイリ原発事故で被災した村。
    2011年以降は、我が国にも他人事じゃないテーマ。
    物質的に豊かな国より、心の豊かな国の民になりたい。
    目先の利益より、将来の子ども達にこれ以上負の遺産や課題を残したくない。
    本当に、誰のための政府なんだろうね。
    国って、なんなんだろうね。

  •  ベラルーシ。チェルノブイリの原子力発電所から180キロ離れた小さな村・ブジシチェ村に住むアレクセイ。事故後も村に残る村人たちがいた。村には、きれいな泉がある。村のすべての生きものがその泉の水をもらっている。

  • 「その日、チェルノブイリの原子力発電所が、爆発事故を起こしたのだ。ぼくの村は一八〇キロ離れていたけれど、見えない放射能で汚され、もうここに住んではいけない、と言われた。たくさんのひとが村を離れた。でも、五五人の年寄りとぼくは村に残った。父さんと母さんは、村を出るなんて思ってもいない。ぼくもこの村が大好きだから、三人で今までと同じように暮らしている。チェルノブイリ原子力発電所事故の被災地ベラルーシで、今も暮らす人々を撮影した映画『アレクセイと泉』の写真絵本。」

  •  子ども向けに、村の美しい面に多くのスポットが当たるよう編集されている。
     写真に惹かれて、この写真を手に取った子どもたちが、何年か経った後に、写真集や映画を見て、「そういえば、小さい時に絵本を見た覚えがあるな。あれはこういうことだったんだ」ってなったりするのかな。
     人間が作った放射能のために、完成された美しい命の営みが途絶えてしまった。この村は、もう命をつないでいくことができない。そんな悲しみに気づくのは、大きくなってからでいい。
     33億年の時をかけてつながってきた命。人間もその一部でしかない。環境を守るのは大事だ。でも、人間に地球を破壊したり守ったりする力があると思うなんて、ただのうぬぼれではないかな。どんなに人間が暴走しても、地球は大丈夫な気がする。人間は駄目かもしれんけど。
     人間はそろそろ生き方を変えないと、自分たちを滅ぼすかもしれないけど、いくらか他の動植物を道連れにするかもしれないけど(人間がいないと生きられなくなっている、犬とか家畜とか。人間の手入れが必要な植物とか)、地球はその後で、ゆっくり傷を癒すんじゃないの。

     1986年(昭和61年)4月26日 チェルノブイリ
     100年前の水だから、放射能に汚染されていない。
     それなら、100年後は?2086年4月26日からは、汚染された水が湧いてくるのか。
     その頃にはきっとアレクセイもいなくなっている。誰もいない、昔ブジシチェ村だったところに時々、放射能をはかりに保険局から人が来るのかな。
     この泉の水から放射能が検出される頃、きっとこの村の生活を愛する人はいなくなっている。それは慰めになるのだろうか。誰のための慰めだろう。チェルノブイリの聖母かな。

  • 素朴に自然とともに暮らしていた人々が原発事故にふりまわされる現実にせつなくなります。

  • 6分くらい。
    ベラルーシの小さな村に住む人々の暮らし。

  • 7分(後書きなし)

  • 写真がとても素敵。

    けれど、この村はチェルノブイリの事故で放射能に汚染されている。

    なんでもない日常を切り取った写真とアレクセイの言葉から、考えさせられるものがあった。

  • チェルノブイリ原子力発電所が爆発事故を起こして、180キロ離れた村の奇跡の泉のおはなし。

  • 命を育てて、命をいただく
    それを支えるのは、ずっと昔からここにあった大地、太陽、水

    チェルノブイリ事故のあと
    若い人のいなくなった、アレクセイの住む村
    残った人たちは、汚染されなかった水を飲み
    この土地から取れるものを食べて暮らしている

    放射能を測ることはできる
    けれど、人間の手で減らすことはできない

    どこに暮らし、何を食べるか
    どうやって、生活の糧を得るのか

    人ごとのように思っていた、チェルノブイリのことが
    福島の事故のあと、自分達のこととなった。

    ここで暮らすことを選んだ人がいるのなら
    それをすべて排除することはできないだろう

    全ての命はつながっている
    一つの土地に生き物が住めなくなるのなら
    他の土地に住む人間にだって影響がある

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著者プロフィール

東京生まれ。1968年「炭鉱〈ヤマ〉」で第5回太陽賞受賞。1995年 写真集「無限抱擁」で日本写真協会賞年度賞、写真の会賞を受賞。1998年「ナージャの村」で第17回土門拳賞受賞。同名の初監督ドキュメンタリー映画作品は文化庁優秀映画作品賞を受賞したのをはじめ、海外でも高い評価を受ける。2002年映画2作目の「アレクセイと泉」で第52回ベルリン国際映画祭ベルリナー新聞賞及び国際シネクラブ賞ほか受賞。2013年写真集「屠場〈とば〉」「上野駅の幕間(新装改訂版)」で日本写真協会賞年度賞を受賞。主な写真集に「サーカスの時間」(河出書房新社)、「上野駅の幕間」(平凡社)「無限抱擁」(リトル・モア)、「ナージャの村」(冬青社)、「アレクセイと泉」(小学館)、「バオバブの記憶」(平凡社)、「昭和藝能東西」(オフィスエム)、「屠場〈とば〉」(平凡社)などがある。

「2015年 『炭鉱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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