- Amazon.co.jp ・本 (39ページ)
- / ISBN・EAN: 9784752005223
作品紹介・あらすじ
動物の気持ち、愛しむ言葉。北国からの動物記。
感想・レビュー・書評
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鹿って美しいですよね。
こちらの「北国からの動物記」シリーズは、獣医師の竹田津 実(たけたづ みのる)が北海道の家畜診療所に勤務していた時に綴った科学写真絵本です。
絵本分類だが文章はかなり多い。読んでみたら文章は面白くもわかりやすく、大人にも子供にもおすすめしたいんだが…、やはり文章量が多いので子供には難しいかなあ。
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季節による大移動で有名な動物は、北米大陸のカリブー、サバンナのヌー、そして北海道のエゾシカなのだそうだ。彼らは黙々と移動して食べ物を確保し種を維持する。
エゾシカは、夏はオホーツク海に面した地域(この絵本では竹田津さんの住まいの小清水町スタート)、冬は根室や釧路で過ごす。この移動距離は300キロメートルにも及ぶと推測される。
このエゾシカの移動に着いていき、写真と文章で記したのがこちらの本。
エゾシカの生態や群れの様子、子育てや成長の過程なども書かれる。
これだけの移動するだけの力はあるが、鹿にとって生きることはとても厳しい。雪に足を取られて動けなくなってしまうこともある。悪天候に見舞われれば全滅してしまう。
一時期は数が減って幻の動物と言われたこともあった。
近年は数も増えたが、大集団での移動により植物を食い尽くす面も出てしまった。
生き物は、生きることにより周りの環境を変えてしまうのだ。
面白かったのは、雄の鹿の性質が角の生え変わりに寄って変わっているようだという観察。
4月、雄の角の脱落が始まる。このときの喧嘩は<急に弱気になって、立ち上がって前足で相手を叩くだけといった、メスのような争い方をしています。体つきは立派なオスが、脱落の遅い若いオスに追いかけられたりしてるのを見て思わず笑ってしまいました。(P7)>
7月には生え変わった角が大きくなる。生え変わり中の角は袋角(ふくろづの)で覆われている。治療中の鹿の袋角の触り心地はこんな感じだそうです。<やわらかく、モグラの皮膚のようにビロード状で、手触りがよく、温かい部分です。そっとつかむと、ドクドクと血液の流れを感じることができます。きっと血管が集中して、短期間に栄養を送って大きくするという作業が続いているのだと思います。(P21)>(←自分の手のひらにも「ドクドク」が伝わってきますね!)
8月下旬になると、角の成長も終わり、雄は木に角をこすりつけて袋角を落とす。このころになると戦闘的になり、雄同士で角を打ち付け合って試し打ちのようなことをする。
こうして立派な角で発情期を迎え、雌を巡って雄の戦いが本格化する。
角の成長により雄ホルモンも分泌されるのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私にとって竹田津実さんといえば写真家なのですが、子供向けの本もありました。2歳10ヶ月児に分かるように端折るのは結構大変なのですが、ほっかいどうのばぁばの車にシカがぶつかったんだよ、これがそのエゾシカだよ、とかやってます。
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冬になると雪の少ない南へ大移動するエゾシカ
いつか生で見てみたい