負債論 貨幣と暴力の5000年

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制作 : 酒井 隆史  高祖 岩三郎  佐々木 夏子 
  • 以文社 (2016年11月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (848ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784753103348

作品紹介

『負債論』は21世紀の『資本論』か?
現代人の首をしめあげる負債の秘密を、貨幣と暴力の5000年史の壮大な展望のもとに解き明かす。資本主義と文明総体の危機を測定し、いまだ書かれざる未来の諸可能性に賭ける、21世紀の幕開けを告知する革命的書物。トマ・ピケティなど、欧米で絶賛!

人類にとって貨幣は、交換という利便性の反面、バブルなどの破局に向かう幻想の源泉でもある。人類史的な視座から、このような貨幣の本質からリーマン・ショックやギリシア・デフォルト問題などの国際的金融的危機を解明する壮大な構想を展開する。産業資本が衰退し、金融資本が質的、かつ量的に拡大する今日、現代資本主義を理解する上で必読の文献である。

負債論 貨幣と暴力の5000年の感想・レビュー・書評

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  • 「負債論」
    タイトルは負債論であるが人類とお金に関しての深い考察である。
    経済学者ではなく文化人類学者が書いているので、有史以前からはじめて貨幣について文化人類学的に考察している。
    元々貨幣はコミュニズム的社会を土台にした貸し借りから始まり、儀礼的通貨として原始的貨幣が生まれたらしい。そして、その中では人間の命は何物にも代えがたく、原始的貨幣に代えがたいものだったようだ。その感覚は現代の人間の中にもあるのかも知れない。
    時代が進むにつれ、奴隷制が人間関係の人間経済を作り出し人間の価値を決めるようになっていく。つまり、奴隷、もっと軽ければ取り巻き連中を周りに侍らせることが価値を持つことになる。そして、暴力(戦争)、奴隷、そして鋳造貨幣が経済を作り出していったようである。
    本書ではアダム・スミスの言う物々交換から貨幣が生まれたというのは全くのおとぎ話であると指摘している。アダム・スミスは経済の成り立ちから理想論を言ったに過ぎないと言うことである。
    紀元前の時代から貨幣の流通と共に金貸しの利息が大きな問題であり、高利貸しは罪悪と考えられるようで、しばしば権力者による借金棒引きの処置が執られている。
    中世には貨幣に対する抽象的な思考が発達し、貨幣の抽象性が進む一方、イスラムでは中世以前の金利についての悪い面を見直し、仲間内からは利息は取らないが、外部の人間は別だという考えになっていく。中国では永遠性という観点から元本には手を付けず貸し付けによる利子だけで寺院を運営する費用をまかない、西洋では教会から法人という考え方が生まれてきている。もっとも、西洋は後進地域で世界的には後れを取っていたのだが。
    しかし、大航海時代の欧州の帝国主義時代に戦争、奴隷、資本主義として地金中心の金本位制が発達し、ニクソンによる金とドルの交換停止から変動相場制になっている。
    そして、アメリカがドルの価値があると言えばドルの価値はそこにあり、それは戦争という暴力の裏打ちがあってこそであり、現代では奴隷は賃金労働者に変わっている。
    国家は既に借金を返す必要は感じていないようだし、この先、経済は一体どうなるのかが気がかりだ。
    著者に言わせれば今の経済が生まれたのはごく最近のことであり、アダム・スミスも当時の理想論からユートピア的な世界を考えていたらしい。その意味ではもともと資本主義は道徳的なものであり勤勉と言うことに価値を置いている。
    孔子が言うように足らざるを憂えるのではなく、等しからざるを憂い、足るを知るでなければならないように思うが、強欲資本主義という経済とは一体どうなっていくのだろうか。
    本書は800ページに及ぶ大著であり読むにはかなり時間がかかったが、最近読んだ本の中でもっとも刺激的で面白かった。

  • 人類学の立場から論じた貨幣論とでもいうべき内容。先日読み終えた『公共貨幣』や"The end of alchemy"と響き合うものがある。

    それにしても経済学と経済の間には大きな乖離があるといわざるを得ないのではないか?経済のことは経済学者に聞くのが世の常識といってよいと思うが、そんなことで経済がうまくいったためしはない。それは経済学者は経済学のことはよくわかっているが、経済のことは何もわからないからではないか?

  • ナサニエル・ホッパーのデジタル・ゴールドでも,ビットコイン技術者が知り合いに配ったという記述がある800ページを超える本。でも訳者あとがきの40ページを除けば本文は600ページほど。

    経済学では貨幣は交換の手段と説明されるけど,人類学のアフリカの部族の例を見ると,負債を数量化する手段で,貨幣の歴史は負債の歴史である。この負債の数量化には奴隷制のような暴力が結びついているという話から前半は概念の説明。後半は人類の5000年の歴史が,貨幣が仮想貨幣として利用された時代,金属貨幣として利用された時代を繰り返しているという分析という構成でしょうか。

    概念も経済学や哲学にも及びなかなか難しいので,私のようになるべく多くの本を読みまくろう,というスタンスではなくて,じっくり何度も読まないといけない本かもしれません。

    最後に出てくる,著者の指導教授による,宣教師とサモア人の会話はこの本で唯一笑った箇所でした。

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