- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784753310487
作品紹介・あらすじ
米国精神分析界の第一人者による精神力動的精神療法の基本テキスト。精神力動的精神療法の基本概念、実際に患者と出会うところから治療を終結するまでの治療手順、精神力動的精神療法の訓練および評価についての留意点に至るまで、臨床実践としての精神力動的精神療法の要点が実にコンパクトにまとめられている。
感想・レビュー・書評
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はじめに読むべき本ということだが、そういった印象を受けた。神経科学の知見やエビデンス研究を織り交ぜ、精神力動的心理療法の心理療法の流れの中での位置付けを目論んでいるのだと思う。同盟や逆転移は勿論、空想や夢の治療的活用を示している部分は興味深かった。ただともすれば、マニュアル的であるのでこれを枠組みの一つとし、換骨奪胎を目指していく必要はある。
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事例が豊富で理解しやすい。DVD映像も精神分析の領域では珍しいが,これもとてもわかり易く作られている。
タイトルのとおり,精神力動的精神療法のまさに入門として読むには良い本だと思う。フロイディアン的精神分析にこだわらず,対象関係論,自己心理学の要素を取り入れているので,精神力動的精神療法のキホンのキホンを学ぶことができると思う。ただし,これはあくまでも入門書なので,これが全てではないし,これが正しいやり方というわけでもない。
また,本書は,精神分析の最新の知見の一つであるFonagyのメンタライゼーション理論が当然のように組み込まれているが,これに馴染みのない人が読んでも,ちょっとよくわからないかもしれない。Fonagyの訳書もいくつか出ているので,この本を読んでから,Fonagyの本を読んで,さらにもう一度こちらに戻ってくると,ぐっと内容の理解は進むと思う。
とはいえ,Fonagyの訳書にしろ,本書にしろ,原著がそもそも硬いからなのか,お医者さんが訳しているからなのかはわからないけれども,文章が硬くて読みにくい。それに加えて,心理系の訳語とちょいちょい違っていたり(e.g. 宣言的記憶⇔叙述的記憶,無秩序/無方向型愛着⇔解体/失見当型)する。ここらへんが,ちょっとした難点。