認知行動療法と精神分析が出会ったら―こころの臨床達人対談

  • 岩崎学術出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784753311064

感想・レビュー・書評

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  • 両療法の達人の対談集で、両療法の共通点と相違点が非常によく分かる。最近の認知行動療法はマインドフルネスやスキーマ療法など、精神分析がもともと扱っていた分野に近づいているようで、心理療法は突き詰めると同じところに行き着くのかと思っていて、富士に登る道が少し違うだけに思っていたが、大きく違う点もあることがわかった。両著者とも講演もわかりやすいし、著書もわかりやすい人達なので、この対談集もわかりやすく楽しく読めた。初心者には初心者なりの、ベテランにはベテランなりの読み方ができる本?いあや対談集かと思う。

  • 潜りスキーマ

  • 自分は認知行動療法系のゼミに属していたので、伊藤先生に近い感想を覚えた。
    患者に役に立つものを提供したい、これはわかる。しかし夢を見るということは一体どういうことなんだろうか。
    転移や自己投影などは聞いたことはあり何となくわかるが、精神分析というものが難解でよくわからなかったのが正直なところ。

    精神分析側からの質問で認知行動療法が誤解されないように、伊藤先生がきちんと弁明してたのが心強かった。

  • CBTと精神分析それぞれの第一人者による対談本。
    具体性、実証性を重視する理系的なCBTと、曖昧さ、深い精神性を重視する文系的な精神分析は、その根底となる考え方がかなり異なるということがわかった。部分的には、相互に置き換えられる考え方もあるが(自動思考と自由連想法など)、結局お二人があまり理解し合えないままで終わっている印象。もう少し、「アプローチは異なるけど目指すところは同じ」ということを強調してほしかった。
    以前までは、パーソナリティ障害などの人格的な問題の変容は精神分析の方が向いていたが、現在ではそれもスキーマ療法や弁証法的行動療法に取って代わられつつあり、精神分析家の肩身が狭くなったと藤山先生が度々ぼやいていらっしゃるのが印象的だった。私はオリエンテーションがCBTなので具体的なことは言えないが、それでも精神分析のエッセンスは臨床家であれば押さえておくべきだと思う。今後は、精神分析のRCTにも期待。
    また、伊藤先生は認知寄りのCBTが専門とのことだが、個人的には行動寄りのCBTと精神分析の共通点に関しても検討したいと思った。書籍内で藤山先生が、「マインドフルネスは精神分析のドリーミングのパクリ」とおっしゃっているが、「治療ではなくクライエントの生活を豊かにすることが目的であり、その副産物として症状の改善が見られれば良い」という精神分析のスタンスは、第3世代のCBT、特にACTとも重なる部分があると思う。

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著者プロフィール

1953年、福岡県生まれ。山口県で育つ。東京大学医学部卒業。

日本女子大学人間社会学部教授、上智大学総合人間科学部心理学科教授を経て、上智大学名誉教授。個人開業。国際精神分析学会正会員・認定精神分析家、日本精神分析協会正会
員・訓練分析家、日本精神分析協会運営委員、日本精神分析学会運営委員、小寺記念精神分析研究財団理事長。

著書に
『精神分析という営み―生きた空間をもとめて』
『集中講義・精神分析 上/下』
『続・精神分析という営み―本物の時間をもとめて』
『精神分析という語らい』〔以上、岩崎学術出版社〕
『落語の国の精神分析』〔みすず書房〕 などがある。

共著に『転移/逆転移』『共感と解釈』〔人文書院〕
『精神分析の本質と方法』『夢、夢見ること』『愛と死』〔創元社〕 などがある。

訳書に
『こころのマトリックス: 対象関係論との対話』オグデン〔岩崎学術出版社〕などがある。

「2021年 『精神分析の再発見』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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