快の錬金術―報酬系から見た心 (脳と心のライブラリー)

著者 :
  • 岩崎学術出版社
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本棚登録 : 25
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784753311248

作品紹介・あらすじ

本書は私がこれまでで一番書きたかったことをまとめたものである。それは次の疑問に答えるためのものだ。何が人を動かすか?What makes a human being tick ? (人間という時計の針を動かすものは何か?)これは私が物心ついて以来持ち続けている関心事である。人を見ながら、そして自分を見ながら「どうしてこんなことをするんだろう?」と素朴に思いをめぐらす。そんなことを私はごく幼少のころからいつも考えていたと思う。心を扱う仕事(精神科医)についてからもずっとそうである。私の治療者としての一言に相手が喜び、失望し、いらだつのを感じながら、そのことを問い続ける。ある薬を投与し始めてから顔色が急によくなり、話し方が違ってくるのを見て驚く。若者がある書を読んで突然発奮して夢を追い始めるのを見て考え込む。そしていつも行き着くのは、「快、不快」の問題である。私たちの脳の奥には、ある大事なセンターがある。それは「快感中枢」とも「報酬系」とも呼ばれている。そこがある意味では人の言動の「すべて」を決めている。心身の最終的な舵取りに携わるのが、このセンターだ。報酬系はもちろん人間にのみ存在するわけではない。おそらく生命体の最も基本的な形である単細胞生物にも、その原型はあるのだろう。しかしそれはおそらくドーパミンという物質が媒介となることにより始めてその正式な形を成す。たとえば原始的な生物である線虫の一種は、脳とはいえないほどシンプルな神経系を備えているが、そこにはすでに数十の神経細胞からなるドーパミンシステムが見られる。線虫(本書では第4章で「Cエレ君」という偽名で登場する)は快感を覚えてそれに向かって行動しているのだ!人を、あるいは生き物を、快、不快という観点から考えることはおそるべき単純化といわれかねない。しかしそれでこそ見えてくる問題もある。私たちが行う言語活動は、ことごとく快を求め、苦痛を避ける行動を正当化するための道具というニュアンスがあるのだ。そう考えることで私たちは私たち自身を一度は裸にすることができるのだ。その意味では本書が示す考えは、精神を扱うどのような理論に沿って考えていても、いったんその枠組みから離れ、より基本的な視点から捉えなおす助けとなると考える。(「はじめに」より)

感想・レビュー・書評

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  • 「報酬系」にとにかくフォーカスしている本。筆者と自分の考えに似ている部分が多くて面白かった。ただ、筆者の憶測が多いので学術的というより読み物的。

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著者プロフィール

1956年千葉県生まれ。1982年東京大学医学部卒業。東京大学精神科病棟および外来部門にて研修。1986年パリ、ネッケル病院にフランス政府給費留学生として研修。1987年渡米、オクラホマ大学精神科及びメニンガー・クリニック精神科レジデントを経て、1994年ショウニー郡精神衛生センター医長、カンザスシティー精神分析協会員。2004年4月帰国。国際医療福祉大学教授を経て、現在、京都大学大学院教育学研究科臨床心理実践学講座教授。医学博士。米国精神科専門認定医、国際精神分析協会、米国及び日本精神分析協会正会員、臨床心理士。
著書に『自然流精神療法の進め―精神療法、カウンセリングをめざす人のために』『気弱な精神科医のアメリカ奮闘記』『心理療法/カウンセリング30の心得』『恥と「自己愛トラウマ」―あいまいな加害者が生む病理』『自己愛的(ナル)な人たち』など多数。

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