紙の砦―自衛隊文学論 [定価2000円+税 版元在庫有]

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  • インパクト出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784755402517

作品紹介・あらすじ

自衛隊は文学・映画にどのように描かれてきたか?世界初の自衛隊文学論!

感想・レビュー・書評

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  • 思索

  • 柄谷行人さんの書評から読んでみました。

    なかなか良かった。

    川村湊さんの他の本も読んでみたい。幸いなことに図書館に結構ある。

    個人的な興味は総合判断である。批判を欠きまたは自己を省察せず判断することは総合判断に非ず。総合判断でないものは蒙昧主義であり、反知性となる。総合判断は帰納でありそういった帰納の学問は人間の認識を問いつつ又はその限界を問いつつありえる。人間の認識を省察することで総合判断はありえる。人間の認識を問わずその批判を欠いて総合判断はありえない。字のごとく総合に成りえないからである。

    川村湊さんなどは総合判断の人であろう。帰納の学問としてあると思う。柳田国男などの系譜である。他の本も読んでみたい。

  • 憲法記念日付近に朝日新聞で「憲法という経典」という島田雅彦先生の寄稿を読み、並行して川村湊先生の本書を読んでいました。個人的には、「現行憲法は単にユートピア的理想を謳ったものでも、時代の要請に応えられなくなった過去の遺物でもなく、日本が歩むべき未来に即した極めて現実的な指針たり得ている」という島田先生の発言に共感を覚えますが、川村先生は、憲法9条に第3項を設けて、自衛隊の活動範囲を限定し、非軍隊であること明確に示すべきであるという具体的提案を書かれていました。何に位置づけられた自衛隊であるのかあいまいなままの存在に対し、小説、映画ではどう描かれてきたのか、最近までの多くの作品を取り上げて考察していくという面白い本でした。自衛隊協力映画と自衛隊の協力なしの自衛隊映画という区分けと鑑賞の仕方も意識するとますます映画を楽しめそうです。

  • <自衛隊小説>とは、その時代時代の”自衛隊”の真の姿(法制上の定義、国民感情を含めた)を書きあらわした小説といったところか。60、70年代ではまだ、日陰者、”税金泥棒”などと陰口をたたかれる姿が描かれていたようである。しかし、湾岸戦争、阪神淡路大震災、そして東日本大震災の活躍経て、国民の親自衛隊感情が大きくなったことで、現在ではその実力以上の(真実を隠蔽された)姿に描かれることが多い。そこには、政治家と自衛隊自身によるプロバカンダが影響しているようだ。左翼の人のせいか、東日本大震災時の行動・活動に対する評価は少し厳しすぎる気がする。

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著者プロフィール

1951年2月、網走市に生まれる。文芸評論家。1981年「異様なるものをめぐって──徒然草論」で群像新人文学賞(評論部門)優秀作受賞。1993年から2009年まで、17年間にわたり毎日新聞で文芸時評を担当。木山捷平文学賞はじめ多くの文学賞の選考委員を務める。2017年から法政大学名誉教授。
『川村湊自撰集』全五巻(作品社、2015‒16年。第1巻 古典・近世文学編、第2巻 近代文学編、第3巻 現代文学編、第4巻 アジア・植民地文学編、第5巻 民俗・信仰・紀行編)。

「2022年 『架橋としての文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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