ビル・ゲイツ未来を語る

  • アスキー
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  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784756102317

感想・レビュー・書評

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  • 1995年の時点で、ビルゲイツが過去を振り返りつつ未来への展望を述べた本。当時の彼が思い描いている未来像は決して当てずっぽうなものではなく、テクノロジーの性質、人間の本質をもとに考察されたものが多い。本書に登場する内容の多くが現代社会で着実に実現されているのは不気味ですらある。
    本書に述べられている彼からのアドバイスで、今の時代でも色あせないと個人的に感じたのが以下の2点。
    ・今後登場するテクノロジーについて出来るだけ多くを学ぶこと(個人の生活面でもビジネス面でも)。
    ・教育は最良の投資。学び続け自らを作り変えることがますます重要になる。

  • いろいろあるけれども、並大抵の人ではないことをさらに確信した。

    少し前に、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の件で、世界的感染症の脅威について彼は5年前から話していたことを知った。
    しかしこの本を読むと、それは5年前に始まったことではなく、コロナの話だけではなく、今の世界のインフラとなっているもの、日常となっているもののほぼすべてについて先見の明を持っていた、ということが明らかになった。

    1995年に書かれた本、私はその当時のICTの状況を知らない。もしかしたら、専門的な知識人やビジネス人の間では、すでにいろいろと試みられていたのかもしれないけれど、本を読んだところによれば、まだパソコン自体が使われ始めたころで、まだ大衆化はしていないようで、ノートパソコンもあんまりなさそうで、スクリーンに映る画面はそこまで鮮やかで見やすくはなさそうで、今あるコンセプトや用語のいくつかが通用しない時代だということは分かる。

    彼が想像する未来の中で、今その通りに実現していること、だいぶ前に実現しててそれほど目新しくもないこと、ちょっと違う形で実現したこと、まだそこまではいってないかな、ってこと、そして、正直自分が現状を把握していないこと、など今の現状と照らし合わせて読んでいたりした。1995年にこのような想像をしていたら、その25年後の今、かなりとんがって発展していることとそうでないこと、下火になっていること、みたいに、一つのベースラインをもって技術の革新やビジネスの進展を見ることができて面白かった。
    今の状況について、今生きる自分よりも25年前のゲイツさんのほうがよく知っているのではないかと少し怖くもなるが。

    テレコミューターについて書いているところがあって、今コロナウイルスにより政府がテレワークしろと叫んでいるけれど、それはつまり実際にテレワークがそれほど普及していないこと、また、一定の労働者にとっては、やろうと思えばすでに技術的環境は整っているけれどもやっていなかったこと、そこには出勤するメリットがあるのか、ただ技術だけでは説明できない文化や心理の影響があるのか、と考えるようになった。実際自分がテレワークとなっている中で、働き方についてすでに疑問や考えを抱き始めていた中で、この過去からの視点が、かなり参考になるように思っている。コロナの件だけでなく、こうして強制的に迫られた働き方の変化についても予見されていたようでわりと怖い。当の本人は今、世界に対して助言をしているようだけれど、本当にその立場にある、と思った。

    あとは、特に初めのほうで触れられているコンピューターの仕組み、みたいなところ。個人的に今履修しているコンピュータサイエンスの基礎の授業があちらこちらに出てきてて、おもしろかった。機器がどんどんユーザーフレンドリーになり、実際のところどう動いているかなんて、全く知らずともパソコンやスマホを楽しめる今日。でもしくみを知っているのとないのとでは、思考の方法も違ってくるだろうし、目の前でエラーが出たり調子が悪くなった時とかだけじゃなくて、今後の発展やこれから起こりうる変化についてある程度想像し、課題やリスクについても認識することのために、とても重要で興味深いことだと改めて感じた。

    いろいろ偉大で書ききれません。本当は彼についてではなく、情報化社会の未来について書かれた本らしいけれども。語り手の人物像にただただ感心してしまった。

  • 本書が出てから30年弱。世界の大富豪ビル・ゲイツ氏はどれだけ未来を当てたのか。あるいは実現できたのか。1995年のゲイツ氏にとっては未来人であるこの自分が答え合わせをしてやろう、という意味不明な上から目線で本書を手に取った。

    がしかし、予想以上に内容がハードかつ大量で半分も読めなかった。パソコン・ビジネス・ナードなハーバード大学出身者らしい文章はつまらなすぎた。それでも出版当時はベストセラーだったのを覚えている。みんなこれを読んだのか。えらいもんだ。いや、30年前であれば、すべてが新鮮で面白かったかもしれない。

    読めた分だけでもだいたい実現していたので、改めて、ビル・ゲイツ氏恐るべしと感心した。それだけの読書だった。

  • Windows95の革命をもたらしたナラティブを辿る

  • ・冗長な情報の例:アルファベットのQのあとにはかならずUの文字が来るのだから、実際には文中のUは省略できる
    ・互換性が選択のカギになる。デファクトスタンダード
    ・Microsoftは当初IBMにとてつもなく有利な取引を持ち掛けた、一回限りの定額の料金を支払うだけで、マイクロソフト製のオペレーティングシステムをIBMが販売するすべてのコンピュータ上に搭載する権利を認めたのだ。目標はIBMから直接利益を上げることではなく、IBM-PCと多かれ少なかれ互換性のあるマシンを売り出そうとするほかのコンピュータ会社にMS-DOSをライセンスして稼ぐことだった
    ・ポジティブフィードバックサイクルを失ったときは、今までやってきたことを改めようとしてももう手遅れで、すでに悪循環のすべての要素が動き始めていることが多い。ビジネスが健康そのものに見える時に危機的状況にあることを認識して、それに対処することは難しい
    ・同期コミュニケーションを非同期な形に変換することは、人間本来の習性だといってもいい。自分のスケジュールを今まで以上に自分でコントロールできる
    ・これだけ大量な情報があふれているからこそ専門家が必要になるときもある
    ・摩擦ゼロの資本主義社会における市場機能の利用法の一つ:広告主はあなたの時間にいくらの値をつけるかを決め、あなたは自分の時間にいくらの値打ちがあるかを決める
    ・将来のいい教師というのは、ハイウェイ上のどこで情報を見つければいいのかを教えるだけの存在ではない、どんなタイミングで調べ、観察し、生徒を刺激し、関心を呼び起こせばいいかを理解していなければならない。文字や音声のコミュニケーションで生徒に能力をつけてやらなければならないし、テクノロジーを出発点として使うこともあれば助手として使うこともある。優れた教師というのは、コーチでありパートナーであるとともに、生徒の創造力の出口として、世界と意思を伝えあうための橋としての役割も果たす人のことである
    ・コンピュータ化されたシステムというものは、ごく単純な作りで、自然に使えなければならない。使う人が何度も考えたりするものではいけない。そういったシステムでは、あいまいな指示や要求でも受け付けてくれなくてはならない
    ・ビジネスはほんの限られた範囲の能力を核にした集中的な展開がベスト
    ・初めてコンピュータに触れる人は、たった一つのミスで機会を壊してしまうのではないか、データをそっくり消してしまうのではないかと心配する。わたしたちは、データを不用意に消す恐れがあまりなく、万一失敗しても簡単に修復できるようなソフトウェアを作ろうと心掛けてきた。ほとんどのプログラムにUndoコマンドがあって、いったんやった操作をすぐに取り消せるようになっている。失敗が破滅につながるわけではないとわかれば、ユーザーはもっと自信を持つだろう。そして実験を始める。
    ・電子化された世界の利点の一つは、教材の利用者が増えても、追加コストは基本的にゼロであること

  • 自伝

  • wired・ギークカルチャー・8位

    mmsn01-

    【要約】


    【ノート】
    (wired)
    世界一の金持ちとなった「ギーク」が、語る過去、現在、未来。天才的ギークの「妄想」がいかに実現され、されなかったか、検証しながら読むのが面白い。

    ◆ユーザーからのコメント
    今こそ不世出のギークの声に耳を傾けたい/今となっては古典

  • 108ビルゲイツ未来を語る1995
    ・予測が当たればわかりきったことだと言われ、外れれば物笑いの種になる
    ・ネットワーク経由のビデオ会議を法律業務で利用可能→何でも屋の地元の弁護士より、アメリカの反対側にいる優秀な不動産専門弁護士に相談する→汎用性より専門性?
    @cpa_1992
    ・何十年という単位で見れば、経済は常に上昇方向
    ・Microsoft社CEO

  • (1998.04.25読了)(1998.01.31購入)
    (「MARC」データベースより)amazon
    まだ大学2年生だった頃に「パーソナルコンピュータ」の登場にひどく興奮した男は、パソコンの世界をリードする大革命児となった。パソコンから情報ハイウェイへ、ビル・ゲイツが近未来のビジョンを語る。

  • Bill Gates The road ahead
    ビルゲイツは、現代の巨人である。
    そのかたる意味は、深く、時代をどこへすすめようとしているのかわかる。

    マイクロソフトが、このように大きく発展するとは思わなかった。
    だれも気がつかないときから、ソフトの重要性を感じ取りくみ、
    そしてその発展をつねに考えてきた。

    小さいときには、できる仕事も
    大きくなってからは、難しさがつきまとう。
    それをいかにのりこえようとするのかということが、
    大きな課題であり、それを今取り組もうとしている。

    この著作は、今何を考えているのかをまとめ上げて、方向を指し示している。
    このような本は、やはり驚くべきことである。

    20年前(1975年)に、「パーソナルなコンピュータ」と
    いうのに出会ってから、冒険が始まった。

    「今、さらに大きな旅が始まろうとしている。
    今回もまた、その行き先は定かではない。
    それでも、この革命がさらに多くの人々の生活に影響を与え、
    すべての人をはるか遠くに導くものになることは、はっきりしている。
    もっとも大きく変化するのは、コミュニケーションの方法だろう。
    これからおこるコミュニケーション革命がもたらす利益や問題は、
    かってのパソコン革命によるものより、はるかに大きなものになるはずだ。」

    「このコミュニケーション革命を前進させるのは、
    新たなアプリケーション-つまり現在では、
    予測もできないニーズに合うような新しいツール-となるだろう。」

    「情報ツールは、ユーザーの筋肉ではなく知性を強化するシンボリックな媒介物となる。」

    「この新しいコミュニケーション技術のもっとも特筆すべき点は、
    距離を無化することにある。」

     Information at your fingertips  指先に情報を

    無線サービスが、プライバシーとセキュリティ上の問題
    を引き起こすことは容易に想像できる。

    紙の洪水の中で、
    デジタルドキュメンテーションの本当のインパクトは、
    文書という概念そのものを根本から定義しなおすことにある。

    紙の本を1冊買った場合、代金の大部分は、作品の著者に対してではなく、
    製造コストと流通コストにあてられる。
    木材パルプを処理したものに情報を入れて運ぶという物理的な過程で、
    著作物の代金の大部分は消えてしまうのだ。
    私はこれを流通の摩擦係数と呼びたい。

    創造力・・想像力
    どんな新しいアプリケーションにとっても、想像力が鍵となる。
    現実世界を再創造するだけでは、じゅうぶんではない。
    才能と創造性は、昔から予測不可能なやり方で進歩をかたちづくってきた。

    コンピュータは決して魔法の万能薬ではない。
    企業のトップが「赤字が拡大している。コンピュータを導入した方がよさそうだ。」
    というのを聞いたら、私ならば、コンピュータに投資する前に
    経営戦略を練り直した方がいいとアドバイスするだろう。

     第1原則は、「効率的な事業に自動化を導入すれば、より効率がよくなる。」
     第2原則は、「非効率的な事業に自動化を導入すれば、より効率が悪くなる。」

    ビジネスが、コンピュータによってどう変わるか
    ビジネスが、コミュニケーション革命によって、どう変わるか
    同じように教育は、住居および建築は、どうかわるか

    ビジネスは、ほんの限られた範囲の能力を核にした集中的な展開がベストだと考えてきた。
    コンピュータ産業も人生も同じことで、
    あらゆることをうまくやってのけようとしても無理に決まっている。

    一般的な問題解決能力を伸ばす教育が、
    これまでまして重要になっていくだろう。

    激変する社会に投げ込まれる前に適応能力を身につけておくには、
    やはり教育が欠かせない。

    経済状況のめまぐるしい変化をうまくくぐり抜けていけるのは、
    適切な教育をうけた人と集団なのだ。

    製造コストに関して通常のルールを適用できない知的財産の場合、
    需要と供給の経済学は混乱をきたしてしまう。

    通常の場合、知的財産を開発するには巨大なコストを先行投資しなければならない。
    その作品の複製が一つしか売れなくても、
    百万部うれても、この固定費は変わらない。

    パソコン期とハイウエイ期の境界の時期がやってくる。
    私は、その境界を越える初めての例になりたいと思っている。
    成功した企業がイノベーションに失敗しがちなのは、
    まさにこの点に関係していると思う。
    自分たちの現在のビジネスに固執しすぎていると、
    新生面を開くことに力を集中できなくなってしまうからだ。

    ・・・・・
    ふーむ。
    コミュニケーションが、大きく変化したことは確かだ。
    個人が情報発信できるという大きな変化は、いままでにない変化だ。
    また、そのために、じつに沢山の情報をどう受け取っていくのか?
    この選択もきわめて重要な個人のパーソナリティの問題でもある。

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著者プロフィール

1955年、シアトル生まれ。13歳のときにプログラミングを始める。1973年、ハーバード大学に入学。在学中にポール・アレンと共にマイクロソフト社を創業。MS-DOS、Windows の開発により、同社は世界的ソフトウェアメーカーに。2008年以降は慈善事業に専念するため同社の仕事から徐々に離れる。『フォーブス』の2015年世界長者番付1位。

「2015年 『[生声CD&電子書籍版付き]対訳 セレブたちの卒業式スピーチ ――次世代に贈る言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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