おとぎ話の幻想挿絵

著者 :
  • パイインターナショナル
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本棚登録 : 546
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784756241337

作品紹介・あらすじ

想像力の翼を羽ばたかせて現実ではないどこかへ…。夢見る子どもだったあなたに贈る珠玉のファンタジーイラスト傑作撰。

感想・レビュー・書評

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  • おとぎ話につけられた挿絵の系譜や印刷技術の進歩、時代的変遷を、簡略で明瞭な解説と、数々の挿絵画家(イラストレーター)たちの個性と技巧に満ちた美しい作品で視覚的にたっぷり楽しむことができる、フルカラー作品集。

    「子どもの時代」が到来したヨーロッパの19世紀後半から20世紀前半の第二次世界大戦以前を中心に取り上げられています。

    「挿絵時代の黄金期」を享受することが許された、薄茶色ベースの少しくすんだ色彩と細かく書き込まれた背景が印象的な、アーサー・ラッカム(1867-1939、代表作「不思議の国のアリス」)。

    ラッカムと同じく、挿絵時代の黄金期を享受し、エキゾチックかつ俯瞰的な視点を取り入れた作品を得意とした、コバルト・ブルーの色彩がとりわけ印象的な、エドマンド・デュラック(1882-1953、代表作「アラビアン・ナイト」)。

    先の二人よりも少し遅れて登場したため、「黄金期時代」を充分に享受できなかったけれど、平面的かつ様式的なのに緻密で、まるで舞台装置を客席から眺めるような面白さのある、カイ・ニールセン(1886-1957、代表作「太陽の東、月の西」)。

    上記3名の他、子ども向けのおとぎ話世界を初めて確立させた素朴な作風のウォルター・クレイン(1845-1915)、ホラーと怪奇色が強いのにユーモアを感じさせるハリー・クラーク(1889-1931)、エロティックで退廃的な香りの強いアラステア(1887-1969)、様々な画風を書き分けたモダンなジョン・オースティン(1886-1948)の、計7名の作品が経歴とともに存分に楽しめます。

    驚くべきなのは、多くの作家が、25歳の若さで亡くなった19世紀末の異端児オーブリー・ビアズリー(1872-1898、代表作「サロメ」)の影響を少なからず受けていたということ。
    10年にも満たない活動期間しか持てなかったビアズリーの、 退廃的でエロテックかつグロテスクですらあるのに、前衛的で革新的な美しさと強烈な印象を残した作風は、同時代および次世代の多くの作家にも強烈だったようです。

    著者の海野さんは、絵本の挿絵等に関する書籍をシリーズとしてたくさん出されていますが、この本も、他のシリーズ同様、相変わらず、B5大フルカラーで多くの作品が楽しめ、なおかつ分かりやすい解説がとても見事な作品です。
    個人的には、デュラックのエキゾチックな美しさは本当に素敵。

    今これらの豪華な絵本が手に入るなら絶対買うのに、19世紀〜20世紀初頭のヨーロッパの本なので、なかなか入手困難なのが本当に惜しまれます。(各画家の寄せ集め的な作品集なら手に入らないこともないのですが、やはり完結した作品として欲しいですね…)

    とはいえ、本作は、色々な画家の作品が一度にたくさん楽しめるので、個人所有としても、ギフトとしてもおすすめです。

  • 初めて訪れた図書館にて、
    背表紙眺めながらぽ~~~っと歩いていたら、目に飛び込んできた本。

    手にとってみると、
    まるで新生児を抱いたときの様な甘い感覚が…。
    (良い本の予感!)

    ページを捲る音が心地良い。

    時間が無かったので、
    パラパラと遠くから眺めるようなアバウト読みにて全ページを読破。

    …にも関わらず、
    まるで
    見知らぬ森の深部へと目的を持って導かれている様な
    心踊る楽しさに陶酔していた。

    この本、いつか欲しいなぁ。

  • この世界観、なかなか魅力的ですね!美しい本です。
    絵ごとに、おとぎ話も載ってて、面白かったです。
    あと、表紙がとても凝っていて美しい。
    でも、以前に購入した大判の本、シシリー メアリー パーカーの、花の妖精たち(英語版)より美しい本は、まだないなぁ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      若かりし頃買った「妖精画廊―挿絵黄金期の絵師たち」は、多分頁数は半分くらいで、金額は殆ど変わらなかったと思う(私の記憶なので怪しいですが)。...
      若かりし頃買った「妖精画廊―挿絵黄金期の絵師たち」は、多分頁数は半分くらいで、金額は殆ど変わらなかったと思う(私の記憶なので怪しいですが)。それを考えると安価だと思って買ってしまう。莫迦です。
      2013/04/02
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「花の妖精たち(英語版)」
      印刷技術が優れているのかな?
      昔シシリー・メアリー・バーカーの妖精画は、チョコのオマケとしてカードが付いていて、...
      「花の妖精たち(英語版)」
      印刷技術が優れているのかな?
      昔シシリー・メアリー・バーカーの妖精画は、チョコのオマケとしてカードが付いていて、集めたコトが(大昔なのでご存知ないでしょうね)、、、
      2013/05/07
  • いつか手元にほしいシリーズ!欲をいえばジョン・エヴァレット・ミレー特集をどこかでしてほしいです、せっかくシェイクスピア関連をのせてるのでやっていただきたい。読みごたえ見ごたえのある本に久々に出逢えました

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「エヴァレット・ミレー特集」
      ミレイ(と書かせてください)は、ラファエル前派で探すか、図録しかないかなぁ(観逃しているから、ちゃんとした展覧...
      「エヴァレット・ミレー特集」
      ミレイ(と書かせてください)は、ラファエル前派で探すか、図録しかないかなぁ(観逃しているから、ちゃんとした展覧会名が思い出せない)、、、
      2013/06/17
  • おもに、1900年代前半の、西洋の挿絵画家ごとに掲載されている作品集。
    その絵が添えられた童話(や物語)の一部も一緒に掲載され、解説がさらに加えてある。
    挿絵と呼ぶにはもったいないぐらいの、すさまじい筆致の数々。
    黄金時代と呼ばれるだけあるなぁ……という印象。

    全体を見渡した時、天野喜孝さんの画風が重なったものもいくつか。
    天野さんはこういう挿絵の影響を受けたのだろうか、とふと思う。

    掲載されている中で私が一番好きだったのは、アーサー・ラッカムの画。
    緻密に描かれた風景、少しくすんだセピアの色調がとても美しく、眺めているとなぜか落ち着く。

  • 妖しくも美しい・・・。ペン画の魅力にやられます。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      海野弘だけじゃなく、鹿島茂や荒俣宏も同様の気になるイラスト集を出すので、お金が幾ら有っても足りません。。。
      海野弘だけじゃなく、鹿島茂や荒俣宏も同様の気になるイラスト集を出すので、お金が幾ら有っても足りません。。。
      2012/08/21
  • ラッカム デュラック ニールセン クレイン クラーク アラステア オースティン
    なんともぜいたくな1冊。
    うっとり。
    19世紀末から20世紀初頭にかけてのイラストが好きな方には
    鼻息も荒くお勧め。

    ぶっちゃけ
    ちょっと色が荒い気がするけどどんまい。
    やたらニールセンがクローズアップされてるけどどんまい。

  • イマジネーションの世界。
    不気味で、美しい。

    物語を読みながら、皆が違う顔、違う服、違う色を想像しているはずなのに。添えられた一枚の絵を見た瞬間、確かにこれも正解だ、と気づき、自分に見えていなかった色を知る。
    文字が絵になる快感と、視点が断定されてしまう危うさ。
    挿絵は、面白い。

  • 豪華。大人向けのファンタジーイラスト集。

    ビアズリー以降の、美しく妖艶で、どこか狂気でエロティックな雰囲気漂う挿絵の数々。

    ストーリーの一瞬をを絵として表現することで、魅力が凝縮されていて隅から隅までとても贅沢だなと感じました。宗教画を見てるような気分。うっとり。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「魅力が凝縮されていて」
      細かさと色遣いの贅沢さにウットリしますよね。
      同じ編者による「夢みる挿絵の黄金時代フランスのファッション・イラスト...
      「魅力が凝縮されていて」
      細かさと色遣いの贅沢さにウットリしますよね。
      同じ編者による「夢みる挿絵の黄金時代フランスのファッション・イラスト」もお薦めですよ。。。
      2012/07/09
  • すごくたんくさんの挿絵があって見ごたえ十分です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「見ごたえ十分」
      エキゾチックな感じが素敵です。
      最近コノ手の本を買い過ぎて、生活苦に喘いでいます。でも反省せずに買ってしまうのでした。
      「見ごたえ十分」
      エキゾチックな感じが素敵です。
      最近コノ手の本を買い過ぎて、生活苦に喘いでいます。でも反省せずに買ってしまうのでした。
      2012/12/27
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著者プロフィール

1939年、東京都生まれ。早稲田大学文学部ロシア文学科卒業。出版社勤務を経て、現在、美術、映画、音楽、都市論、華道、小説など幅広い分野で執筆活動をつづける。
 『アール・ヌーボーの世界』『モダン都市東京 日本の一九二〇年代』『ココ・シャネルの星座』(以上、中公文庫)、『二十世紀』(文藝春秋)、『おじさん・おばさん論』(幻戯書房)、『魔女の世界史 女神信仰からアニメまで』(朝日新書)、『世界陰謀全史』『海賊の文化史』(朝日新聞出版)、『ロシア・アヴァンギャルドのデザイン 未来を夢見るアート』(パイインターナショナル)など著書は膨大。

「2018年 『映画は千の目をもつ 私の幻想シネマ館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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