- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784756246028
作品紹介・あらすじ
美しい風景、としての廃墟写真
どこの国にも、いつの時代にも存在する廃墟。本書は、アメリカのホテル、イタリアの城、フランスの工場、日本の旅館、旧ソ連時代の建造物など、世界各国の廃墟と、そこに漂う時間の流れと静寂を捉えたトマ・ジョリオン氏の写真を1冊にまとめました。廃墟好きもそうでない人も、その写真の美しさに魅了されることでしょう。
感想・レビュー・書評
-
タイトルのとおり、世界中の廃墟の写真集。
漫然とめくっていると全部似たものに見えるが、何度も繰り返し見ているうちに、違いが見えてくる。さらに、写真家トマ・ジョリオンの意図も見えてくる。
廃墟の写真ってそれだけでもさまになりそうなものだけれど、彼はテーマを設定して廃墟を撮る。あるいは直感で撮ったものを後で何かに見立て、タイトルをつける。
その点ちょっと赤瀬川原平に通じるところもあるけれどユーモアはなく、わりとシリアス。ともあれ、壮大な廃墟での視点の切り取り方や見立てを楽しめる。
国別でいえばイタリアの廃墟がマイベスト。建物の意匠は色あせているがその優美な枠は残されてあり、しかもまだ使用されていた頃の色彩のあざやかさの名残りもかすかにあり、そこへ光が射すとつかのまに命を吹き込まれよみがえったかのように感じられハッとさせられる。
そして国に関係なく好きな廃墟は「植物」がアクセントを添えているもの。巨大な肥料工場、ホテル、テーマパーク、浴場、発電所などなど。廃墟はほんとに緑が映える。また人間の不在感を癒す。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
廃墟と「美」対極にありそうな言葉だけれど、まさしく美しい廃墟でした。
-
著者紹介に「新しいものとして建設されながらいつしか放置されるにいたったこれらの場所」と書かれているように、廃虚の美しさを切り取った写真集。
歴史的背景などの説明は一切ないです。 -
場所によって「美しいと思うものもある」って感じ。
美しいより「気配のあと」が先に感じられると不気味でゾワゾワしてしまう。
廃墟の味わい方、まだまだ甘いのかな? -
美しい廃墟。
タイトルと撮影場所しか記載がなかったので個人的にはすこーし廃墟の説明があってもよかったなかなぁ。 -
図書館にて借りる。
たまに見たくなる、廃墟の本。
朽ちていくモノの、
まだ栄華を残しつつあるモノたちを
撮影している。
ちょっとだけ日本のもある。 -
・共産主義はとかく規模が大きい。
・アメリカの廃墟もやけに大きい。
・日本の廃墟も出てくる。 -
図書館で偶然目について、気になったので借りてみた。私は廃墟にも写真にも詳しくないが、載っている廃墟の写真はどれも美しく、時折その光景に吸い込まれそうになった。
欧米で撮られたものが多いが、軍艦島など、日本で撮られたものもいくらかある。知識がなくても「歴史の名残」を思わせる光景も多かった。
神奈川のボウリング場(タイトル『トーヨー』)の写真が個人的に印象に残った。ボウリング場らしいレーンは残っておらず、細かい木材のようなものが広い場に散らばっていた。そこに、同じ大きさの暗くて丸い球が至る所に広がっていて、その異様な雰囲気が印象的だった。 -
一人のフォトグラファーによる写真集。
アメリカ、日本の廃墟から、ソビエトの残滓、工場系など軽いジャンル分けがされている。
軍艦島に入れた頃とかもあるのが良かった。
人々の生活がなくなってどのくらいで荒廃が始まるのかとか気になるところもあるけど。 -
世界各地の廃墟の写真集。退廃的でどの写真も素敵でした。「忘れられた宮殿」がテーマの連作が幻想的で特に好きです。