たかがバロウズ本。

著者 :
  • 大村書店
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784756330161

作品紹介・あらすじ

ジャンキーでおかまで妻殺し。カットアップで文学史上に金字塔を打ち立て、アングラの帝王にして、画家、俳優、CMタレント…。どこまでも自由を追求したその先にあったものは?「真実などない。何もかも許されている」バロウズ研究の決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 2021年の終わりに、初めてこの本を手にとって読んだ。
    ということは、オレにとって、バロウズは、そこまで重要な人物では無かった、ということなんだろう。

    オレにとって重要だったのは、バロウズでもケルアックでもなく、アレン・ギンズバーグだった。どうしてもギンズバーグに会いたくて、イーストヴィレッジのあたりをぐるぐるぐるぐる歩き回って彼の行きつけのお店を探してたくらいだから。

    68
    えええええ?

    ギンズバーグが
    「ノーベル文学賞も受賞した大詩人」だってええ?
    そんなこと、聞いたことないよ。。。。
    これ、間違ってるよね。。。。。?

    そもそも、ギンズバーグが大詩人だ、というイメージさえない。
    ワイセツな詩を書いて物議を醸した人、くらいの認識しかない。

    こんな、初歩的なミス、ってある?
    山形浩生は、いろんな知識人の間違いやミスを執拗にあげつらって、ケチョンケチョンにケナしてバカにしてるんだけど、こういうミスって、ありなの?

    75
    ジェネシス・P・オーリッジは、ブライオン・ガイシンの大ファンだった

    ガイシンがバロウズにカットアップメソッドを教えた。

    79
    バロウズに息子がいたんだ。
    バロウズは中絶反対論者だったんだって。なんで?

    しかも、バロウズが射殺した母親の子供だって。
    メチャクチャすぎる。。。。

    79
    ジェイムズ・グラウアーホルツ
    バロウズの恋人で、秘書だって。
    ギンズバーグに迫られて断ったんだけど、バロウズに迫られたときは断りきれなかったみたい。
    当時バロウズは60歳で、グラウアーホルツは年寄りは趣味ではなかったけど、なぜか、拒まなかった。
    秘書としては有能だった。

    81
    バロウズの恋人たちは、次々に事故や自殺で死んでしまう。




    366
    武邑 光裕(たけむら みつひろ)をコテンパンにやっつけてるのはおかしかった。

    オレも、武邑光裕の名前は、チラッと目にしたことはあったけど、その当時も、まったく興味をひかなかった。まず、名前が読めなかったし、読み方を知ったのは、さきほどネットで調べた、3秒前だ。

    とにかくオカルトっぽいウサン臭い野郎だった。
    山形は彼を「えせテクノかぶれのオカルト屋」と、一言で的確に表現してる。
    ああ、当時、ローリー・アンダーソンが出まくっていたから、彼女が好きだったバロウズのことに、武邑が「ナウいかも」と思って絡んだきたんじゃないかって推測してる。
    「武邑の文章は、情報密度がまったくない」
    でしょーね。

    ああ、でも、ティモシー・リアリーの本かDVDで彼の目をチラっと目にしたのは覚えてる。そんときも、ウサンクサーって思ったんだよね。

    伊藤俊治と一緒に訳したのかな?
    伊藤俊治に対しては悪いイメージはない。

    武邑って野郎はNYのクラブシーンについてもなに書いてたんだって。
    その頃は、オレもNYのクラブにいたけどなー。信じられないくらい巨大でデブな黒人が入り口に立ってて、身体検査された。中に入ってみたら、右も左もドラッグやっててサイコーに盛り上がってた。夜中の3時か4時くらいに踊り疲れたから帰るよ、って行ったら、どうやって帰るの?って聞くから、歩いて帰るよ、って言ったら、笑われたんだよね。オマエ、バカか?一発で殺されるぞ、って。
    オノボリさんでナニも知らなかったオレは、そーだったんだーって思って、大人しくタクシーに乗って帰った。楽しかったなー。でも、あの時、殺されていたのかもしれないな。心のどこかで投げやりになってたんだと思う。やることなすこと、自傷行為みたいになってた。あああ。あの頃も今もオレはバカなことばっかりやって生きてるなあああ。

    374
    「彼の仕事をバックアップする大手デパートの資金がなかったら」
    当時、まだ生きてた、堤清二のセゾングループの企業メセナのことだよね。
    懐かしいなあ。そういう時代だった。

    377
    えええ、武邑ってイカサマ野郎、その後、東京大学大学院新領域創成科学研究科メディア環境学分野ってとこの助教授になったの?
    中沢新一はダメで、武邑は良いって、東大の目も節穴だなー。ビックリしたー。
    武邑を助教授にするくらいなら、中沢新一のほうが、まだマシだよー、つーか、どっちもダメだよー。オカルトがかった詐欺師なんだから。

    浅田彰が、バロウズをプッシュするのに貢献した、ってのは、事実だろう。

    山形浩生という人物がどういう人なのか、オレはまったく分からないんだけど、浅田彰には、性的にも、バロウズのことを書く権利がある。
    でも、浅田彰のバロウズについて述べた文章は読んだことがないな。
    北村昌士のバロウズの雑談の翻訳がマチガイだらけだ、というのは、これを読んで、今、はじめて納得した。
    その頃はオレもノイバウテンとか聞いてたからねー。
    昌士さんの文章はよく読んでたし、オレは瞳にお星さまを浮かべて、キラキラさせながら、昌士さまステキ!とか、思ってたわけだよ。恥ずかしいけど、彼の文章には救われたよ。死にそうになってたオレを生かしてくれた。

    410
    ああ、WAVEとかGSとか、読んでたなー。
    思い出すと、恥ずかしいなあ。

  • 正直バロウズの作品よりこの本のほうが面白かったしためになった。ハッシュ関数を使って文章の経済的価値算出したりとか、スプリクトによる機械文学の世界を考えてみたりとか。文系のぼんやりした観念の世界へ物理を武器に切り込んで行くのはカッコイイ。
    小説を数字で測るのは、文学というロマンを壊すようでうっとおしがられるやり方かもしれないけど、でも納得するデータを出してもくれるんだよな。そして対費用効果の計算ずくめで出来た小説があったら、それはやっぱり大ベストセラーになるのか? しかし、バロウズは非経済的な小説だけど面白いし、人間の感傷みたいなのがないと小説って味気ないのかも? ・・・と何かとたくさん考えられて楽しかった。

  • かのウィリアム・バロウズについてこれでもかというくらいがっつり調べて、考察した本です。
    単純にバロウズ本人に関する情報も多い上、当時の経済情勢を考慮したり、カットアップの効用を計算して測定しようとするなど相当の本気が伺えます。
    そしてバロウズが自由を求め、それに失敗したという結論は面白い。
    面白いというより、ビートニクに対して持っていた「作家本人のキャラはたってるが、作品は読んでもよく分からないし何がすごいのか説明出来ない。」という状態を打破してくれます。

    終盤で語られる「自由」の部分で話が逸れて行っているような印象がありますが、それほど抵抗なく一応の理解は出来ます。
    おそらくそれは「自由」という言葉の意味が明確ではないからでしょうがバロウズ自身が言葉の制約からの「自由」と権力構造からの「自由」を強引につなげてるのでよしと出来るでしょう。
    ただ、他の人に対してボロクソ言うのはちょっと・・・。もちろんそうする資格はあるだろうけど。

  • ビートニクが好きな人は
    この本を読んで、
    そのカラクリに気づいてください。

  • 山形浩生 の明晰な思考に基く時に熱く、時に冷たい視線が良い。
    いつしか
     
    バロウズも実は頑張ってたんだよ。
     
    という同人誌を読んでいるような印象を抱き、
     
    バロウズも実は失敗したんだよ。
     
    という印象を抱き、異様なもの哀しさを感じる。
     
     
    ---
    余談だが、やおい っぽいな、おれの文。そう感じるのはおれだけだろうけど。

  • 読みたい

  • 持ってたのになあ。どこ行っちゃったんだろうオロローン。また読みたいなあ。

  • 積読中。<br><br>
    その他バロウズ関連(文庫は未確認)<br>
    「<a href="http://www.bk1.co.jp/product/981511" target="_blank">おぼえていないときもある</a>」「<a href="http://www.bk1.co.jp/product/582879" target="_blank">おかま</a>」

  • 敬愛する山形浩生氏によるウィリアム・バロウズの解説書。未来芸術に迫るための足がかりとなる一冊。バロウズなんて一冊も読んだことないし、興味も無いけどこれで全部抑えられる。下に引用するテキスト感やサンプリング文化に興味がある人は絶対に読むべし。

    “ここにはもはや録音以外何もない その全てを即座に遮断しろ
    静寂 今度はゆっくりもっとゆっくり 止 シャットオフ これっきり 
    まあ わたしとしてはきみらにお伝えするのにこれが精一杯ってところで神が都市の机上でカサカサト”

    ノヴァ急報より

    #オンラインカットアップ
    http://ux01.so-net.ne.jp/~ev-net/autotext/autocutup.html

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著者プロフィール

評論家、翻訳家。東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修士課程およびMIT不動産センター修士課程修了。開発援助関連調査のかたわら、小説、経済、建築からネット文化まで、広範な分野での翻訳と執筆活動を行う。
著書に『新教養主義宣言』『要するに』(共に河出文庫)、『訳者解説』(バジリコ)、『断言』『断言2』(共にPヴァイン)など。訳書にピケティ『21世紀の資本』(みすず書房)、クルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』(ちくま学芸文庫)、ケインズ『雇用、利子、お金の一般理論』(講談社学術文庫)ほか多数。

「2021年 『経済のトリセツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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