市場を創る―バザールからネット取引まで (叢書“制度を考える") (叢書〈制度を考える〉)

  • NTT出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757121270

作品紹介・あらすじ

「市場」はどのように「設計」されてきたか、あなたの側にある、その成功と失敗。教科書が教えない「市場」の原理。新しい時代の経済学入門。

感想・レビュー・書評

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  • 市場は規制や支援によっていくらでも変化する性質のものでもある。だから、制度設計次第で市場参加者の行動は変わるし、その結果実現する効用の程度も変化する。じゃあ、市場がもっとも効率的に駆動するための制度はどんなものなのか、どんな条件をそろえたら市場の効用が高まるのかを追求するのがメカニズム・デザイン論。現実にも、周波数オークションや学校選択制度などに応用されています。

    メカニズム・デザイン論自体は、情報の経済学やゲーム理論などの応用ミクロの分野を行動に応用した理論なので極めてテクニカルで抽象的なものなのですが、本書では数式は一切出てきませんし、イメージしやすい例題をもとにやさしく解説しているので経済学の素地のない人にも楽しめます。とはいえ、メカニズム・デザインの大御所の著書なので内容はとても充実。

    効率的な市場を実現する要素はいろいろあるのですが、やはり情報の流通が重要な概念になるのだと思います。あらゆる業界が専門化、細分化されればされるほど、特定の情報は特定の参加者に偏在し、情報の非対称性は増幅される。そんな状況がプリンシパル?エージェント問題や逆選択が起こりやすくする、やがては市場取引自体を収縮させていく。

    一方で、合理的な意思決定が行えるだけの情報が適切に流通されるのであれば、価格は適正な水準に調整され、より効率的な取引が実現される可能正が高い。もちろん、これだけでそのまま効率的な市場が実現されるわけではないけれど、情報の非対称性が効率的な取引を阻害しているよりは、望ましい状況が実現されることが考えられる。

    制度設計と言えば大げさですが、たとえば人事制度をよりよい職務・待遇を求める従業員と有能な人材を求める各部門とが参加する市場と捉えれば、メカニズム・デザインを応用することが可能かもしれません。メカニズム・デザイン論自体まだ歴史が浅く、日本語で読める文献はごくわずかですが、これから新しい理論がどんどん生み出されて、どんどん現実に応用されていきそうな分野ですから、基本的な理論くらいはおさえておきたいところですね。

  • 色々な企業のケースがいっぱい出てきて
    主に市場設計の工程を見ているものだったのだけれど
    あまりピンと来るものが無かった。


  • p20
    神は細部に存在すると、建築家ルートヴィヒミース、ファンデアローエは宣言した。もともとは「悪魔を細部に存在する」と不平をこぼしていたものを逆手に取ったもの

  • ・市場をうまく機能させるプラットフォーム(5要素)
     -情報が円滑に流れること
     -財産権が保護されていること
     -人々が約束を守ると信頼して差し支えないこと
     -第三者に対する副次的影響が抑えられていること
     -競争が促進されていること

  • 一通り勉強して読むと目から鱗
    ・エビデンスがどこから出てるかが明記されてる

  • 【書誌情報】
    原題:Reinventing the Bazaar: A Natural History of Markets (New York, W. W. Norton, 2002)
    著者:John McMillan(1951-2007)
    訳者:瀧澤弘和
    訳者:木村友二
    発売日:2007.03.29
    定価:3,740円
    サイズ:A5判
    ISBN:978-4-7571-2127-0

    市場を上手な設計することによって最大の利益を引き出せることを、膨大な研究をベースに、豊富な事例を用いて平易に語る。市場経済を深く考えるためにヒントを与えてくれる一冊。
    http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100001751

    【簡易目次】
    献辞 [\]
    序 [i-ii]
    目次 [iii]

    第1章 唯一の自然な経済 003
    第2章 知性の勝利 021
    第3章 地獄の沙汰も金次第 037
    第4章 情報は自由を求めている 057
    第5章 正直は最善の策 075
    第6章 最高札の値付け人へ 093
    第7章 サァ、いくらで買う! 109
    第8章 自分のために働くときには 129
    第9章 特許という困惑 147
    第10章 なんびとも孤島にあらず 171
    第11章 公衆に対する陰謀 195
    第12章 草の根の努力 211
    第13章 他人のお金を管理する人々 239
    第14章 競争の新時代 261
    第15章 空気を求めて 281
    第16章 貧困撲滅の戦士たち 303
    第17章 市場の命令 321

    謝辞 [331]
    訳者あとがき(2007年2月 訳者を代表して 瀧澤弘和) [333-341]
    参考文献 [342-358]
    索引 [359-378]

  • <a href="http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20071115/1195139109">今年の10冊 - ラスカルの備忘録</a>より

  • 2014.04.21 EGMフォーラムビブリオバトルで紹介いただく。

  • 3

  • 市場は神ではない。
    事例集だが、根拠の裏付けがなされている。
    散文的で何か明確なゴールを持って書いている結末ではなかったが、
    一つ一つにそうなのかと関心する内容。

    難しい内容ではないのだが、
    この手のつくりの本は少々苦手で読むのにパワーがいる。

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著者プロフィール

1971年カンタベリー大学(ニュージーランド)数学科卒業,ニュー・サウス・ウェールズ大学経済学博士,ウエスタン・オンタリオ大学助教授,カリフォルニア大学サンディエゴ校教授等を経て,1999年よりスタンフォード大学経営大学院教授.2007年3月に逝去.ゲーム理論の応用,市場のデザイン,移行経済の改革に関して多数の論文を持つ.FCCによる最初の電波周波数帯オークションのアドバイザー.オーストラリア,カナダ等の電波周波数帯オークションの設計にも参加.著書に『経営戦略のゲーム理論――交渉・契約・入札の戦略分析』(伊藤秀史・林田修訳,有斐閣)がある.

「2021年 『新版 市場を創る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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