資本主義が嫌いな人のための経済学

制作 : 栗原 百代 
  • NTT出版
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レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757122819

感想・レビュー・書評

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  • 好きとか嫌いとかそういうことじゃないんだってことを心で理解した。

  • カナダの哲学者が、経済的右派(リバタリアン)と左派(リベラル)の両方の陥りがちな間違いに対して言及し、右派は人の不勉強に漬け込むな、左派はもっと勉強しろ、と説得している(気がする)本。

    経済学に興味がある人ならおそらくとても面白いので必読。
    興味が無い人でも得るものは多いはず。

    プロローグとエピローグをさらっとでも見て、興味が沸いたなら読んでもらいたい。
    特にプロローグは、
    ・「ブレードランナーが衝撃的だったのは、近未来に広告が大量にある背景を描写する事で、もしかしたら資本主義は無くなったりせずずっと残ってるんじゃないのか?」という示唆をした事
    ・当時のSF作家が揃いも揃って予測し損ねたのは「情報技術の主役はロボットではなくITであった事と、市場が消滅せずに残っていたこと」
    なんて話で始まっていて、とっつきやすい。

    エッセンスとして、ここだけでも読む価値アリ。

  • 経済学と資本主義というものが同一視されることに対してきちんと説明をしている本。書いたのは政治哲学者で、資本主義に対して疑問を持っている人物であるところがポイント。元の立ち位置がネガティブだからこその丁寧な説明がそこにはある。

    ただ、資本主義が嫌いな人がこれを読んだら「ミイラ取りがミイラになった」と思うかもしれない。それは間違いで、感情を排した結果だということをわかってもらいたいし、仕組み上はそうだけれども現実は異なるということもわかってもらいたいと思う次第。

  • 著者はカナダの哲学者。「世界に不正や苦難があるのは、利己的なやつが自分の利害にかなうよう仕組んだせいなのだ(P346)」と若かりし頃は思っていた人物。

    経済学の正式な教育も受けてないが、本を読んで得た知見をカナダの身近な例(住宅政策やガス料金、保険と年金、先住民地区のことなど)とともに共有してくれる。

    「右派(保守、リバタリアン)の謬見」をまとめた前半第1~6章と「左派(革新、リベラル)の誤信」の後半第7~12章。

    特に左派向けに書かれた部分は「資本主義」や「市場経済」や「営利企業」が嫌いな人(いわゆるマルクス経済しか認めない経済オンチ)は読んでおくべきと思う(私もそうだった)。

    「貧乏人の経済学」とも通じる。

    「私たちの問題はたいがい問題を直す意志に欠けることではなく、直す方法を知らないことである。(P347)」

    <対右派>
    第1章 資本主義は自然――なぜ市場は実際には政府に依存しているか
    第2章 インセンティブは重要だ……そうでないとき以外は
    第3章 摩擦のない平面の誤謬――なぜ競争が激しいほどよいとは限らないのか?
    第4章 税は高すぎる――消費者としての政府という神話
    第5章 すべてにおいて競争力がない――なぜ国際競争力は重要ではないのか
    第6章 自己責任――右派はどのようにモラルハザードを誤解しているか
    <対左派>
    第7章 公正価格という誤謬――価格操作の誘惑と、なぜその誘惑に抗うべきか
    第8章 「サイコパス的」利潤追求――なぜ金儲けはそう悪くないことなのか
    第9章 資本主義は消えゆく運命――なぜ「体制」は崩壊しなさそうなのか(しそうに見えるのに)
    第10章 同一賃金――なぜあらゆる面で残念な仕事がなくてはいけないのか
    第11章 富の共有――なぜ資本主義はごく少数の資本家しか生みださないか
    第12章 レベリング・ダウン――平等の誤った促進法

  • マクロ的視点で見ると、
    青信号が増えるということは、同時に赤信号が増えることでもある。
    消費を減らすことは同時に収入を減らすことでもある。
    一生の内に稼いだ金は、ほとんど全てを使いきる。つまりどんなに節税に苦心しても一生の内に払う消費税額は同じで、高い買い物を避けても、それは消費税支払いの猶予でしかない。

    人はインセンティブに反応する。

    アザラシは魚に対する食欲があるから訓練しやすい。

  • 正直、入門書ではないけど、読み応えあり。因みに筆者のジョゼフ・ヒースさんはトロント大学の哲学の教員。

    http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002183

    資本主義が嫌いな人こそ経済学を学ぼう!というのが本書の主題。資本主義批判者は不勉強、その怠慢につけ込む保守派の議論をメッタ切り。情緒や義憤でも欺瞞でもない。資本主義をよりよいものに変えていくことが課題と示唆。

  • 左右両翼の経済観の謬見を解きほぐしていく「哲学者による」正統派的な解説書。
    ほとんど完全な競争は、そうでない不完全な競争よりも効率がよい、と信ずる根拠はない。完全な競争が完全な効率をもたらすというテーゼはそれを擁護しない。
    福祉の問題で、左派はモラルハザードが生じる可能性を否定すべきではない。それを認めたうえで、より広範なリスク共同管理の便益と費用をはかりにかけるべき。 などなど。

  • 経済はゼロサムゲームじゃないという人もいます。でもこの本では、明快に、「青信号は、誰かにとっての赤信号」として、誰にでも青信号なんてありえないぞ、という点からスタート。

    その信号は、数多くて単純なものではないし、さまざまな選択的行動からなっている。当たり前のことなんだろうけど、僕が理解できていない、ということがよくわかった。関係者全員が悪いなら、システムを壊すしかないって。そうかもね。

  • 経済学の本に取っつきにくかった僕にも読みやすい。
    というのも、自分の理論をただ押しつけることや、つまらないお金の流れなどを述べるのではなく、右派、左派の両方の観点から客観性を持たせつつ述べているからだと思う。
    経済としてだけではなく、人としてどういう手段で人を動かすかということにも通ずる気がする。
    とても面白かった。ただ、日本語訳がおかしいところや、堅苦しい表現が見られたので☆みっつ。

  • 哲学者の書いた経済学の本。経済学に関する様々な誤解を批判している。
    右派にも左派にも属さない立場と言っているが、どちらかといえば右派寄りなんだと思う。市場経済の効率性は否定しようがないようだった。
    総合的にみてバイアスがかかっておらず、身近な経済の問題に対処する際の参考になる。

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著者プロフィール

1967年カナダ生まれ。トロント大学教授(哲学・公共政策・ガバナンス)。著書に『ルールに従う』、『資本主義が嫌いな人のための経済学』などが、共著書に『反逆の神話』(すべてNTT出版)などがある。

「2014年 『啓蒙思想2.0』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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