資本主義が嫌いな人のための経済学

制作 : 栗原 百代 
  • NTT出版
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レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757122819

感想・レビュー・書評

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  • 経済学と資本主義というものが同一視されることに対してきちんと説明をしている本。書いたのは政治哲学者で、資本主義に対して疑問を持っている人物であるところがポイント。元の立ち位置がネガティブだからこその丁寧な説明がそこにはある。

    ただ、資本主義が嫌いな人がこれを読んだら「ミイラ取りがミイラになった」と思うかもしれない。それは間違いで、感情を排した結果だということをわかってもらいたいし、仕組み上はそうだけれども現実は異なるということもわかってもらいたいと思う次第。

  • マクロ的視点で見ると、
    青信号が増えるということは、同時に赤信号が増えることでもある。
    消費を減らすことは同時に収入を減らすことでもある。
    一生の内に稼いだ金は、ほとんど全てを使いきる。つまりどんなに節税に苦心しても一生の内に払う消費税額は同じで、高い買い物を避けても、それは消費税支払いの猶予でしかない。

    人はインセンティブに反応する。

    アザラシは魚に対する食欲があるから訓練しやすい。

  • 世界には、温和な社会主義をとっている国もある。
    そういった国は、行政システムが緩くて汚職も多い、という感じもあるけれど、それなりに利点もあるようで。
    哲学者である著者だって、資本主義が絶対だとは思っていないはず。
    思考を自由にするには、なんでも「これじゃないきゃいけない」と思うのを
    やめる必要がある。
    だから、まず始めるのは批判から。そもそも、右派も左派も、自分のかっこいいところばかりを強調していて、論理に無理があったり、現実をみていないことが非常に多いということを再確認。
    そして本書で目指されているのは、やはり、読者が「覚めた」状態で資本主義を考えられるようになるレベルだと思う。

  • 第一部は「右派(保守・リバタリアン)の謬見」
    第二部は「左派(革新・リベラル)の誤信」

    どちらも、それぞれ間違いを犯しているという批判。
    公平ですね。

    じゃあ結局どっちなの?というときっとどっちでもなく
    その間のどこかに落としどころをもっていく議論が
    必要なんだけど、実際は両派ともそれを
    受け容れられないので平行線。
    議論の前提となる知識が共有されていないのです。
    左派は経済(統計的データ)を学ばず、
    右派は哲学(人間の不確実性)を軽んじる。

    なんだか日本の原発問題の議論にも共通していますね。

    筆者はおそらくその議論を成立させるための地ならしの役割を
    この本に課したのではないかと想像するのです。

    最終的にいいたいことは
    「どっちももっと勉強しないと議論にならんよ」
    ということだと思うのですが、
    各章の事象に関しては僕自身の知識不足で
    理解しきれないままでした。
    勉強しなくちゃ、ですね。

著者プロフィール

1967年カナダ生まれ。トロント大学教授(哲学・公共政策・ガバナンス)。著書に『ルールに従う』、『資本主義が嫌いな人のための経済学』などが、共著書に『反逆の神話』(すべてNTT出版)などがある。

「2014年 『啓蒙思想2.0』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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