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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784757123267
作品紹介・あらすじ
近年の世界的な富裕層と貧困層の格差拡大の根底には「経済のグローバル化」「テクノロジーの進化による生産性の向上」「停滞した産業と活力のある産業の二極化」という抗うことのできない変化がある。
本書では、飛躍的な進化を遂げるテクノロジー=機械の知能に注目し、技術革新が未来の雇用・所得・ワークスタイルに与える恐るべき影響を徹底検証する。
みんなの感想まとめ
テクノロジーの進化と経済のグローバル化がもたらす富の格差について深く掘り下げた本書は、特にチェスを題材にした議論を通じて、機械との競争の重要性を示しています。著者は、チェスプログラムを用いて人間の意思...
感想・レビュー・書評
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読む前は想像もしていなかったけれど、チェスの話がとても多かった。
では期待はずれかというとそんなことはなく、ケン・リーガンのチェスプログラムを用いた、指し手の質の評価に関する研究が紹介されていて非常に興味深かった。
チェスプログラム(既に人間よりずっと強い)を信頼性のある基準として、チェスの対局における人間の指し手の質(=人間の意思決定の質)を評価したところ、
・プレーヤーの犯すミスの数はレーティング(技術レベル)どおり
・チャンピオンクラスはチェスプログラムが好ましいと判断した手と同じ手を選択する確率が高い(といっても絶好調時でも55%程度だそうです…)
といった知見が得られたとのこと。
チェスプログラムから見たら(どんなに強いプレーヤーでも)人間なんてミスばかり犯すということですね…。
記録上の過去の指し手も同様に評価したところ1850年代の世界最高のプレーヤー ポール・モーフィーの実力はレーティングにして2300相当(現代では全米100位にも入れない程度)と推定されたそうです。人類のチェスのスキルは向上していっているんですね。
また、チェスプログラムが登場し人間がこれを利用して学ぶことによりチェスプレーヤーの実力はさらに向上しているそうだ。コンピュータ様々。
コンピュータとはうまく付き合って、機械にできることは機械にまかせ、人間は人間にしかできない分野についてのスキルを高めてうまくやっていこう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんだかずっとチェスの話だ。社会問題としての格差の話じゃなくて『機会との競争』(あの日経BPのやたら装丁が凝った黒と銀色の本)の内容に近いだろう、最後の章の都市の生活についてというのが一番おもしろかったが、いかんせんチェスの話が多すぎる。(やらないのでよく分かっていない、チェスができるひとならもっと大きな理解が得られるのか?)
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産業革命レベルの構造変化が現在進行中であるということ
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コンピューターチェスの話はしつこい。
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前著「大停滞」を読んだ直後に本書も読みましたが、それがよかったと思います。巻末に掲載されている早稲田大学の若田部教授の解説にも記載されていましたが、「大停滞」とは議論のトーンがかなり変わっています。若田部氏はこれこそコーエン氏の「コントラリアン(大多数とはあえて逆のことを言う、あまのじゃく)」である証であって、自分の前著に対してあまのじゃくてきな本を書いていると解釈されています。
前著と何が違うか。まず前著「大停滞」の主張を集約すると以下の2つになります。1)容易に収穫できる果実が少なくなってきた。その中にはイノベーションも含まれる。つまり現在起きている技術進歩は漸進的でたいしたものではない、2)イノベーションの公共財的特徴が薄くなり、特定少人数だけが恩恵を受ける私的財的な特徴を強めている、というものです。
この主張に対して、MITのブリニョルフソン、マカフィーは「機械との競争」という本で、1)について反論をしています。AIなどに代表される現在のテクノロジー進歩は等比級数的に進んでおり、漸進的とは全く逆である。つまり猛スピードで進化する技術に人間が追いつかず「技術失業」が起きていることが経済の停滞の主要因である、というものです。
そしてコーエン氏の本著について。若田部氏も指摘しているように、コーエン氏は本著の中でブリニョルフソン、マカフィーの主張を受け入れているように見えます。それをコンピューターチェスを例に述べていて、今後高所得を受けられるのは「機械と協働するとより高いアウトプットを産出できる人材」だと断言しています。経済学的に言えば、機械と「補完的」な人材です。そして機械と協働できない、あるいは協働してもプラスの付加価値を生み出せない人材を「限界生産力ゼロ」人材と酷評しています。この点については個人的には共感しました。しかし著者は述べていませんでしたが、機械と円滑に協働できても他の人間と円滑にコミュニケーションが取れない人間が大量生産されないだろうか、という懸念は頭をよぎりました。他の人間に何か発言する前に自分専用のAIに「彼になんて言えばいいの?」なんて聞く人間が大量に出てきたらイヤですね。 -
感想
機械を過大評価しているのでは?という疑問。産業革命の前から格差はあったが、機械の出現により拡大したのか縮小したのか。そこから問い直したい。 -
Original Title: Average IS OVER
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AIが進化すると人間の仕事がなくなる可能性があることを書いた本ですが、流石に日本で2014年に発刊では情報の古さは否めません。
最後の「3 新しい世界」は現代においても示唆に富む部分があるので、時間が無い人はそこだけ目を通せば良いです。 -
今後、AI等の技術が進展していけば、機械とうまく協働できる能力が求められるようになる。その分野でずば抜けた知識や能力は持たなくても、そこそこの知識や能力を持っていて機械に関する知識を持っている人。それで、機械と協働できる人とそうでない人との格差が拡がって、この本の原題の通りに、平均が終わることになるらしい。なるほど、と思った。
あと、チェスの話が多かった。著者はチェス好きなんかなと思った。
今後の技術の発展と求められる技能の変化を調べていきたい。 -
機械の知能は仕事と所得をどう変えるか
チェスの世界を例に、コンピュータと人間が共同作業していく
(&立場が逆転していく)だろう、という近未来予測 -
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巷で話題のピケティ本は読んでない(というか、ここまでブームになってしまうと逆に読む気もなくなる…)のだが、ベストセラー『大停滞』のタイラー・コーエンが「格差」について論じたこちらの著作を読んでみた。
ここで語られるのは、技術革新が労働、雇用、所得に影響を与えることで生じる格差社会。
コーエンがイメージする格差社会は以下のようなものである。
これまでの産業の歴史においても、技術の革新により、以前は人間がやっていた仕事がだんだんと機械に代替されてきた。
が、「機械の知能(人工知能)」が飛躍的に発展することにより、これまで人間にしかできないと思われていたインテリジェントな判断やノウハウを必要とする領域まで機械が進出するようになるという新しい潮流が現実化しつつある。
そのことによって、中程度のスキルを要する仕事が機械にシフトすることになり、これまでそれらの仕事を担ってきた「中流」の労働者たちが職と所得を失うことになる。
その一方で、機械と協働することで価値を生み出すことができる上位層の労働者は機械の能力を借りることでさらに自らの価値を高めることになる。
現在の米国では、上位1%の超富裕層が富を独占していることに批判が集まっているが、将来的には上位15%が超富裕層となりその他大勢の下位層と断絶した社会になることが予想される。
実質所得を減らした下位層の人々は、生活レベルや住む地域の質を落とすことで、多くを望まない身の丈にあった生活を送ることで新しい現実に適応していくことになる。
格差は固定したものではなく、機械と協働するスキルを磨くことができれば誰でも上位層に入るチャンスはある。
そのためのカギは、どのような教育を受けることを選択するか、労働や生活に勤勉に取り組む基本的な所作を身につけることができるか、といった要素にある。
コーエンが描く格差社会はけっしてディストピア的なものではなく、現在の流れの延長線上の姿を冷静に想像したもの。
それだけに現実味を感じてしまう。
また、米国の社会を題材に書かれているが、日本においてもそのまま当てはまりそうな話ばかりである(グローバル化ってそういうことなのだろうが)。
結局、格差ってまさに相対的な概念なので、こうした格差社会を受容できるかどうかの感覚は何を基準として拠って立つのかに依存するような気もする。
すなわち「総中流」が当たり前だった世代(およびその感覚を受け継いでいる世代)から見れば許し難い社会である一方、「総中流」が崩れた時代しか知らない世代にとってみれば案外すんなりと受け容れられるものなのかもしれない。
以上が本筋であるが、本書には「機械の知能」についての興味深い考察や見識が多く盛り込まれているので、以下メモとして残しておきたい。
・機械の知能に関わる産業にはほとんど規制がないので進歩のペースが極めて速い。たとえば、規制だらけの医薬製薬産業とは対照的である。ただし、将来的に機械の知能に関わる産業においても規制が強化されていくことは想定される。
・2009年の景気後退期、米国では失業率が上がるとともに労働生産性の数値が上昇した。生産性の低い人たちが選択的に解雇され、それきり呼び戻されなかったと想定される。
・現代の人々は、体調がすぐれない時、医者にかかる前にGoogleで情報を検索する。そういう意味では、すでにGoogleは「機械のドクター」と化している。
・人間と機械がチームとなって協働してくだした判断の是非を、人間が判定することは難しい。
・教育の世界で人工知能が進歩すると、人間の教授の役割は、モチベーションを刺激し、コーチすることに限られていくであろう。
・科学の世界ではその研究成果があまりに進展していくと、普通の人間が直感的に理解することが困難になる傾向にますます拍車がかかる。また、専門分化が進むことで、一人の人間が全体を把握しイノベーションを起こすことが難しくなり、平凡で官僚的な世界になる。今は開拓の余地が大きいSNSの世界も、やがてはそうなるだろう。だが、機械の知能を使いこなせば個人がイノベーションを生むことも可能になるかもしれない。 -
最近上司とよく話すことが多い機械の知能と仕事の関係について書かれた本だったので手に取ってみた。非常に面白かった。星新一が小説の中で描いた世界がすぐそこまで迫ってきているような気がしてしまった。
・機械から与えられる情報を迅速に理解できる人は,私生活でも職業生活でも非常に有利になるだろう。ただし,そのためにしばしば必要とされる資質は,誰もが持ち合わせているものではない。その資質とは,極度のストレスにさらされたとき,それに押しつぶされないこと。
・現実世界では,データや分析結果を迅速に活用できることが大きな強みになることがしばしばある。…人はあらかじめ処理しておいた情報を瞬時に引き出そうとする。これらのケースではことごとく,人がコンピュータから何を学び,コンピュータから得る情報とアドバイスをどれくらい覚えておけるかがますます重要になりつつある。
・専門職がレーティングの対象となり,患者や顧客から見下されるケースが増えればますます助言や指導が無視されるだろう。
・機械の判断責任をどう問うか
・科学の未来はどうなるか。研究者が科学研究で担う役割の専門分化が進む。遠くない将来,賢い機会が自立した優秀な研究者になる(ほんとかなあ)
・新しい社会的契約 -
【「教職員から本学学生に推薦する図書」による紹介】
風間俊治先生の推薦図書です。
<推薦理由>
「今,工学を学んでいる意味は?その将来は?」
図書館の所蔵状況はこちらから確認できます!
http://mcatalog.lib.muroran-it.ac.jp/webopac/TW00356093 -
“テクノロジー失業に陥らないために何をなすべきか?
近年の世界的な富裕層と貧困層の格差拡大の根底には「経済のグローバル化」「テクノロジーの進化による生産性の向上」「停滞した産業と活力のある産業の二極化」という抗うことのできない変化がある。
本書では、飛躍的な進化を遂げるテクノロジー=機械の知能に注目し、技術革新が未来の雇用・所得・ワークスタイルに与える恐るべき影響を徹底検証する。”
<http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002317>
【目次】
日本語版への序文(二〇一四年七月 タイラー・コーエン) [i-iii]
目次 [v-ix]
第1部──超実力社会の到来
第01章 iワールドの雇用と賃金 004
平均の終焉/機械の知能は何をもたらしたか/イノベーションはなぜiワールドで起きやすいのか
第02章 大いなる勝者と大いなる敗者 024
STEM――注目される四つの分野/マーケティングの重要性/マネジャーの報酬はなぜ高いのか/労働者に求められる素質/グーグル化する雇用世界/知的エリートはなぜ金融・法律・コンサルティングをめざすのか
第03章 なぜ多くの人が職に就けないのか? 055
賢い機械と労働参加率/アメリカの失業率が下がらない理由/大不況/宙ぶらりん世代のフリーランスたち
第2部──機械の知能
第04章 コンピュータチェスが教えてくれること 080
ゲーム化する仕事の世界/機械対機械の戦い/機械と人間の協働へ
第05章 人間と機械がチームを組む未来 092
フリースタイル・チェス──人間と機械の知の協働/機械の利用はもう当たり前/医療界では何が起きているか/フリースタイル・モデルの広がり
第06章 人間の直感はなぜ当てにならないのか? 113
恋人探しのアルゴリズム/意思決定の落とし穴/機械が人間を成長させる/直感的判断の限界
第07章 規格化・単純化される仕事の世界 134
規格化され、単純で、いらだたしい世界/機械の行動原理につき合わされる?/人間が機械に「採点」される時代/機械の判断責任をどう問うか
第08章 機械は人間に近づくのか? 161
極端な未来用僧都の現実味/チューリングテスト/人間を模倣できる機械/人間は非コンピュータ化する?/人間が機械を受け入れたくない領域
第3部──新しい世界
第09章 雇用の新しい地図 196
経済停滞はなぜ起きるのか/生産拠点の国外流出と移民の受け入れ/世界の経済地図はどう変わるか/新しい「北米の世紀」
第10章 「オンライン」が教育を変える 215
「生き延びる」ための教育/オンライン教育と大学の未来/ゲームの教育効果/平等な「超実力主義」の時代へ/対面教育が担う役割とは?/教師の役割が変わる
第11章 「みんなの科学」の終わり 246
科学の未来はどうなるか/専門分化が進む/問題が複雑化する/機械が「科学者」になる/経済学は理論退潮の時代へ
第12章 新しい社会的契約 274
一五%の超富裕層とその他大勢/財政難は社会をどう変えるか/実質賃金が減る/居住地が変わる/趣味や嗜好が変わる/未来の政治の姿──奇妙に平穏な時代
謝辞 [310]
注 [311-330]
解説──『大停滞』から『大格差』、そして先の未来へ(若田部昌澄) [331-342]
1 著者タイラー・コーエンについて
2 大不況後の経済論戦と『大格差』
3 『大格差』から未来へ
注
索引 [344-350] -
アメリカの話だけど日本にも通じるセオリー。オンライン教育と最終章の富裕層と低所得者層の話しが参考になった。
1割りの富裕層に入るためには、富裕層に対するサービス提供者(ロボットではできない)になるか、itと協力できるビジネスを生み出す者になるか。 -
331||Co
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新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:331//C89
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ITとうまく仕事ができる人間が高給となる、なるほど。
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先日、タイラー・コーエン 氏 による「大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか」を読み終えました。
コーエン氏の著作は、以前「大停滞」を読んでいるので、これで2冊目になります。前作に続いて、ちょっと話題になっている本ですね。
内容としては、テクノロジーの高度化・進化が近未来の雇用環境・労働現場へ及ぼす影響を論じているのですが、結果として、将来に向かっては社会の富の分布に変化をもたらし、社会は、「中流層の縮小・富裕層と貧困層の差の拡大」という方向に進んでいくと著者は指摘しています。
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