緊縮策という病:「危険な思想」の歴史

制作 : 若田部 昌澄  若田部 昌澄  田村 勝省 
  • エヌティティ出版
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757123410

作品紹介・あらすじ

金融危機のあと、ケインズ政策が復活した。それまでの緊縮政策(財政健全化など)は、不況から脱出するためには最悪の処方箋だった。しかし緊縮の発想には長い歴史があり、何度でも復活する。
本書は、緊縮を生み出した経済思想史から、大恐慌での失敗、現在の緊縮策まで幅広くカバーする。ギリシャ債務問題を考える上で必読の書。

感想・レビュー・書評

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  • 原題:Austerity: the History of a Dangerous Idea (New York: Oxford University Press 2013)
    著者:Mark Blyth(1967-)

    【NTT出版の紹介文】
     ギリシャは緊縮策で復活できるのか?!
      金融危機のあと、ケインズ政策が復活した。それまでの緊縮政策(財政健全化など)は、不況から脱出するためには最悪の処方箋だった。しかし緊縮の発想には長い歴史があり、何度でも復活する。
      本書は、緊縮を生み出した経済思想史から、大恐慌での失敗、現在の緊縮策まで幅広くカバーする。ギリシャ債務問題を考える上で必読の書。
    http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002357

    【目次】
    目次/凡例 [/]

    序文 緊縮――個人的な体験 003

    第1章 緊縮・債務・教訓劇の初歩 010
    なぜ緊縮なのか?
    本当は公的債務危機ではない
    ビル・ゲイツ、債務に関する2つの真実、そしてゾンビ
    それでは「あのすべての債務」は重要ではないのか?
    債務とデレバレッジの分布?
    本書の要約

    第I部 われわれはなぜみんな緊縮しなければならないのか?
    第2章 米国:大きすぎて潰せない?――銀行家・救済・国家批判 036
    発生源:レポ市場と銀行取り付け
    付帯損害(コラテラルダメージ):米国スタイル
    増幅器:金融派生商品(デリヴァティヴ)
    相関と流動性
    第1の目隠し テール・リスク
    タレブの黒鳥(ブラック・スワン)とファット・テール型の世界
    弾を数える
    第2の目隠し 金融思想の政治力
    古い指示書を引き裂く
    新しい指示書の問題
    金融の決算:総コスト
    大きすぎて潰せない?

    第3章 欧州:大きすぎて救済できない――永続的緊縮の政治学 076
    危機が欧州を襲う
    12カ月間だけのケインジアン
    ドイツ・イデオロギー
    歪んだ政治
    トロントへの道
    欧州PIIGS諸国の公的債務の問題:ギリシャ
    アイルランドとスペイン:不動産バブル問題
    ポルトガルとイタリア:低成長の危機
    混乱した相関関係と因果関係の混乱:緊縮が注目を浴びる瞬間
    近代史上最大のおとり商法
    EUとユーロ:遠すぎた橋
    ドイツに遅れずについて行く
    ユーロはなぜ通貨面での破滅装置になったのか
    すべてのモラル・ハザード取引の生みの親
    王様が小さくみえる
    付帯的損害――欧州スタイル
    民主主義下でも(ただし一時的になら)金本位制を運営できる
    しかし、なぜそうしているかについて真相を語ることはできない
    結論:ユーロの破壊とハイエクの悪夢


    第II部 緊縮策に関するもう一つの歴史
    第4章・5章・6章に対する序論――緊縮策に関する思想史と自然史 134
    「他に選択肢はない」(TINA)では不十分
    緊縮に欠けている歴史と征服された過去
    緊縮政策の現在にかかわる異議申し立て

    第4章 「危険な思想」の歴史(1692-1942年) 143
    パート1 緊縮の古典的起源
    ジョン・ロック:「人類は地球の不平等な所有に合意している」
    ジョン・ロックが想像した市場
    ジョン・ロックが想像した国家
    デービッド・ヒューム:「公的信用は国家を破壊させるだろう」
    デービッド・ヒュームは債務に絶望する
    アダム・スミス:「債務の慣行がそれを採用したすべての国を次第に衰弱させてきている」
    アダム・スミスの生産的吝嗇
    スミスは(不本意ながら)国家を持ち込む…
    ロック、ヒューム、スミス:デフォルトで緊縮をもたらす
    パート2 緊縮の台頭
    痛みの増大:緊縮と近代国家との出会い
    新自由主義とネオリベラリズム
    米国スタイルの緊縮:清算主義
    英国色を帯びた緊縮:大蔵省見解
    1930年代英米式緊縮の終焉:ケインズとシュンペーター
    ケインズの反緊縮論
    シュンペーターの退却

    第5章 危険思想の精神史(1942-2012年) 180
    パート1 緊縮は欧州に故郷を、米国に足がかりを見出す
    ようこそドイツへ:まずは貯蓄、買い物はその後! 
    後発であることの重要性
    オルド自由主義の起源
    消費ではなく競争が成長につながる
    秩序(オルド)の構築
    ドイツではケインズがクラウディング・アウトされる
    オルド自由主義の欧州
    緊縮政策の米国における足場:オーストリア学派
    オーストリア学派の好景気・不景気入門書
    信用の逼迫と破綻に関するハイエク/ミーゼスのモデル
    介入の(想定される)愚かさ
    米国のオーストリア式への傾倒:オーストリア式であることの賛否両論
    パート2 緊縮の実践者
    世界的にケインズを押しやる(クラウディング・アウト):マネタリズム・公共選択・民主主義の危険性
    ネオリベラリズム:リードマンのマネタリズム
    ネオリベラリズム:民主主義が問題だ
    中央銀行の独立性が解決策
    緊縮策とネオリベラリズム:政策余地を広げる
    海外で緊縮政策を性能実験する:ワシントン・コンセンサスとIMFの金融モデル
    ブレトンウッズ機関の刷新
    IMFの隠れた「(英国)大蔵省意見」
    パート3 緊縮の実施
    夕食を飛ばしても無料の昼食がある:拡張的緊縮はイタリアが起源
    民主主義は、インフレだけでなく債務も生み出す
    削減して繁栄に至る――再び
    緊縮の増幅:支出や税金に関するボッコーニ学派の意見
    TINAの復帰
    ケインズの棺桶を釘付けにする
    ようこそ緊縮へ:貯金がないなら買うな!

    第6章 緊縮の自然史(1914-2012年) 241
    はじめに:歴史の教訓・1980年代・REBLL同盟 
    パート1:なぜわれわれは緊縮を危険思想と考えたか?
    輝くものの魅力:金本位制と緊縮策
    ユーロ圏にとって金本位制から2つの教訓
    1920年代-30年代における緊縮策と世界経済
    米国における政策としての緊縮(1921-37年)
    ポンドと大蔵省見解を擁護する:英国の緊縮(1921-39年)
    緊縮策を放棄する:スウェーデンの教訓(1921-38年)
    政策や政党イデオロギーとしての緊縮:ドイツ(1923-33年)
    『真珠湾攻撃を敢行したあの素晴らしい民族』:日本の緊縮策と軍事拡張(1921-37年)
    フラン――フランスではない――を防衛する:フランスの緊縮政策(1919-39年)
    緊縮の危険な教訓
    パート2:緊縮の新しい事例:1980年代の拡張的財政収縮がREBLL同盟に遭遇する 
    拡張的緊縮策の再検討(と再修正)
    1980年代の事例にみる期待・拡張・緊縮
    「緊縮神話」の正体を暴く
    REBLL同盟とデット・スター:緊縮というSFにおける冒険
    REBLLの成長モデル
    にもかかわらず別の銀行危機
    REBLL同盟からの人生教訓

    第III部 結論
    第7章 銀行業の終焉、新しい物語、多難な先行き 306
    結論に代わる臆測
    銀行業の終焉
    戻ってきた財政調整の物語:アイルランド・アイスランド・緊縮の代替策
    先行き多難な時期

    あとがき(二〇一四年):地獄を通るなら、出口を探しなさい。(マーク・ブライス マサチューセッツ州南ボストン 二〇一四年八月) [328-366]
    解説 緊縮策と「緊縮の物語」に抗して(二〇一五年八月一七日 若田部昌澄) [367-378]
    注 [374-434]
    人名索引 [435-438]
    事項索引 [439-443]

  • 20151224~20160126
    著者はおそらくケインジアン、そしてSW世代。『新自由主義(ネオ・リベラリズム』≒緊縮策に対して、理論的思想的歴史的な検証を行いつつ批判、論破している。ではどうすればよいのか?TBTFな銀行はつぶしてしまうべきなのか?規制を強化すべき?
    将来への提言、という観点からはちょっと弱いかと思う。
    それでも、最新の経済思想の潮流が緊縮一辺倒ではなくなっている事情をきちんと追っているのは素晴らしい。

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