賢い組織は「みんな」で決める

  • NTT出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784757123557

作品紹介・あらすじ

行動科学、集合知、マーケット理論、コンピュータ・サイエンスなど、最新の科学の発展は、人間の不合理な部分、無意識の部分を考慮したうえでの、直観に反する賢い意思決定のあり方を開発してきた。そうした知見を踏まえ、本書は、組織において人びとがより賢く決定するための条件を、ひいてはより賢い組織になるための方法を説く。

著者は、人びとを強制することなくゆるやかにある方向に動機付けるという「ナッジ」理論を説いて、行動経済学ブームに火をつけた憲法学者キャス・サンスティーンと、集団における意思決定を専門とする心理学者リード・ヘイスティ。

心理学、行動科学の豊富な事例に富み、読みやすく面白く、軽さと深さを兼ね備えており、チーム・組織で働く人、とくにリーダーとして組織をまとめる立場の人にとって目から鱗の内容になっている。

感想・レビュー・書評

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  • 集団というのは、うまく機能すれば個人で判断・分析するよりも良いパフォーマンスを発揮するものとされる。

    しかし、集団は情報の共有と意思決定がうまくいかないととんでもない失敗を犯すことになる。
    ・極に走りがち
    ・カスケード効果の犠牲
    ・情報が共有されず締め出される

  • タイトル以外は、よく分からなかった。
    アメリカの政権の話とか私にされてもな、
    という感想です。

  • 行動科学の本を読んでいると、日本だけでなく各国の人々が政府発表に対して脊髄反射的に訳分からん反応とか文句とか、諸々意味がわかってくる気がする。特にどこの国民が馬鹿であるとかはないのですね。

  • 3人寄れば文殊の知恵ではない、むしろ逆: Meet Up 大阪 @ blog
    http://www.meetuposaka.com/article/458296647.html

  • 行動科学の観点から、「集団はなぜ失敗するのか?」「どうすれば集団は成功するのか?」という2つのテーマについて書かれた本。
    著者は2名で、オバマ政権のスタッフも務めたハーバードの法学者と、シカゴ大学の心理学者。あとがきに「本書は長くないわりには完成までに長い年月を要した」とあり、オバマ政権入りの影響を受けたそうで。

    上記のとおり、長くない本なんですが…読了までやたら時間を要しました。語り口は軽いはずなんですが、書かれている言葉が妙に引っ掛かって頭に入ってこない感覚。なんだか妙に大変でした。。
    中身は集団が陥りがちな過ちや、集団で考えることにより避けられず発生してしまう傾向について触れたもの。それぞれのトピックも解決策もそこまで驚くようなものではないけれど、まぁ知っておくに越したことは無い話。
    例えば、解決策を公募する場合、公募の参加者が多いとモチベーションが下がってしまうものの、同時に複雑な問題の場合は参加者を増やした方が新しい解決策が見つかる可能性が高いのだとか。よって、解決策がすぐわかるような日常業務的な問題は参加者を限定して、難しい問題の場合は広く募集するようにした方が良い、とか。そんな感じの話でした。

    完全にこの内容を網羅できる訳ではないのですが、同じ読むならバウマイスターやアダム・グラントの方がオススメできる感じです。
    ちなみに、本著の中でやたらと「マネー・ボール」への言及があったので、今更ながら読むかー、と背中を押されました(笑

  • 興味深い。解決策についてはさらに踏み込むことが必要。

    ・政府内の他部署から情報を得る。
    情報・規制問題室OIRA

    【集団はなぜ失敗するのか?】
    ◯正しくなくても多数の圧力があれば人は支持する。
    「多数意見はどうだったか」

    ◯沈黙を守る理由
    ・情報シグナル 例 ピッグス湾事件
    ・評判プレッシャー

    ◯人が間違いを犯す理由
    ・利用可能性ヒューリスティック
    ・代表性ヒューリスティック
    ・フレーミング効果

    ◯カスケード効果による(正誤関係ない)増幅
    →最初にかなりの支持を取り付けることの重要性
    →会議では、自分と同意見を持つ他者に序盤にできるだけ多く発言してもらう

    ◯好意的な方向の評判プレッシャーは積み重なり、評価バブルの傾向を引き起こす。一方、否定的な方向の評価プレッシャーは集団的矯正が行われ、効力を失う。レヴ・ムチニク ヘブライ大教授

    ◯熟議による集団極化
    議論前の中間値的立場へのシフト
    集団内の多様性を押し潰し、意見の違う集団間の溝を深くする

    ◯共有知識効果
    一定の情報の影響力は、集団の討議と決断の前にその情報を共有していたメンバーの数に正比例する

    認知の中心にいる人よりも認知の周辺にいる人の意見を聞くべきだが、共有されていない情報は隠されたままになることが多い

    【どうすれば集団は成功するのか?】
    ◯多様な視点を必要とする拡散とコンセンサスを作り出す決断という二つの任務を達成するには、それぞれが必要なのはどの段階かを理解し、その目的を別々に達成できるよう集団のプロセスを計画する必要がある。

    ◯批判的思考
    ・異議を唱えることこそ義務と考える取締役会議
    ・集団の方向性とは異なる情報でも公開することを促す

    ◯人が集団の成功を自分の成功と同一視するようになれば、集団の方針に関係なく、自分が知っていることを公表するようになる。
    ・内部告発者を受け入れる。

    ◯役割分担をする
    ・事前に専門知識を公表しておく。
    ・リーダーは、人々が異なる任務や役割を与えられるよう、配慮しなければならない。

    ◯視点を変える
    ・「新しいリーダーを連れてきたらどうするだろうか」

    ◯わざと反対意見を述べる、敵対チームをつくる
    ・ただし本気で反対するものでなければ効果はない。

    ◯体系的評価分析
    規制の効果がその費用を上回らなかった場合、あるいは選択された方法が「全体として最大限の効果を生まなかった」場合、規制担当官庁はその規制を継続してはならない。
    ・致死率を10万分の1減らそうとするとするときに政府が拠出する金額が一人90ドル

    ◯陪審定理
    ・個人の正答率が51%を超えるときは平均値の正答率が個人の正答率を超える。

    ◯Challenge.gov、アメリカ競争促進法
    ・環境保護庁と保健福祉省は共同で16万ドルの賞金を出して、地域の大気の質を監視、報告するポータブルシステムの開発を課題

    ◯パブリックコメントによる散在する知識の集約
    パブリックコメントで、個人ではなく集団のための知識を提供する仕組みはどのようにしてできるのか

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著者プロフィール

ハーバード大学ロースクール教授。専門は憲法、法哲学、行動経済学など多岐におよぶ。1954年生まれ。ハーバード大学ロースクールを修了した後、アメリカ最高裁判所やアメリカ司法省に勤務。81 年よりシカゴ大学ロースクール教授を務め、2008 年より現職。オバマ政権では行政管理予算局の情報政策及び規制政策担当官を務めた。18 年にノルウェーの文化賞、ホルベア賞を受賞。著書に『ナッジで、人を動かす──行動経済学の時代に政策はどうあるべきか』(田総恵子訳、NTT出版)ほか多数、共著に『NOISE──組織はなぜ判断を誤るのか?』(ダニエル・カーネマン、オリヴィエ・シボニー共著、村井章子訳、早川書房)ほか多数がある。

「2022年 『NUDGE 実践 行動経済学 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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