思想家ドラッカーを読む――リベラルと保守のあいだで

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  • エヌティティ出版
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757123694

作品紹介・あらすじ

「マネジメント」「リーダーシップ」「プロフェッショナル」といった言葉ともに、日本でもビジネスマン、組織人を中心に大人気の経営学者・思想家のピーター・ドラッカーであるが、多作であることに加え、日本では彼の経営的側面・自己啓発的側面をそれぞれの分野の人が我田引水的に取り上げることも多く、その全体像はかえって見えにくくなっている。本書では、ドラッカーのテキストを精読することによってその思想を整理し、さらには同時代の西洋思想史(ナチズム・全体主義、自由主義、保守主義、アナーキズム、ユダヤ思想、ポストモダン思想)のなかに置き直し、その源泉と価値を見極め、新たなドラッカー像を提示することを目指す。そのうえで、日本におけるドラッカー人気とは、いったいなにを意味しているのかを考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架  335.1A/N35s//K

  • 東2法経図・6F開架 335.1A/N35s//K

  • ”経営学の父”ピーター・ドラッカーは何を考え、どんな世界を夢見ていたのか? 思想史家・法哲学者の仲正昌樹氏が、ドラッカーを“思想"という観点から読み解いていく。

    まえがき 人文学者、ドラッカーを読む
    第1章 ウィーンのドラッカー
    第2章 守るべきものとは何か?--ドラッカーの保守主義
    第3章 なぜファシズムと闘うのか?--ドラッカーの自由主義
    第4章 思想としての「マネジメント」
    終章 弱き個人のための共同体としての企業

  • 文字通りドラッカーとその周辺の専門家の「傍観者」としての仲正昌樹が書いた本書は「意味深い」。
    これは「ちょっと売れた作家が、他の分野にちょっと足をいれてみたような軽いものではなく、「読解」という作業を通して見たドラッカー像というか、ドラッカーの思想を(少し哲学をかじってるような人にとって)わかりやすく伝えようとする試みが面白かった。

    面白いというか、すごいなと率直に思ったのは、
    「株式会社という・・「組織」が、諸個人の自由な取引の場である「市場」超えた秩序形成の役割を担っていることを強調し、その「前提」で組織の管理に重点をおく」(160ページ)
    とあって、ここを読んだ時に、文章が持つ伝える力というのを最大限に駆使できる人っていいよな、と思った。ほんとのところは、読解する能力がケタ違いに高いから書けるんだろうから、そもそもそこからなんだろうけどさ。

    客観的に他のドラッカー本と比べてしまうと、世間ではこの本は「異色のドラッカー本」という位置づけになるのだろうけど、自分としては、経営学に意図的に迷い込ん哲学者が「圧倒的な読解力と文章力」で描くドラッカーが「ビジネス系の本で描かれているドラッカー像」と比較して「異色」なのであって、そういう意味では異色だとは思うけど「異色のドラッカー本」というようには思えなかった。逆に『史上最強!明日から使えるドラッカー』とか、『自分を生かすドラッカー』とか、そういうのの方が違和感あるわ。というか異色すぎんだろ。
    そういうのが多いのでマヒしてるから異色だとあまり感じないだけで、本当はビジネス書のドラッカーってかなり異色なんじゃないのかなと自分は思うし、そういった現状から見て意味深いと思う。

    どっちにしろ、教養とか読解力とか、その辺のビジネス書の書き手と比べるとこんなに圧倒的な差があるのか、というのがよくわかった。

  • 昔は、なんだか偉そうで、ストイックで、説教くさい感じがして、嫌いだったドラッカー。

    が、初期の時点でのマネジメント論の総括とも言える「現代の経営」を読んで、人間性への深い洞察やどうしてこの時点でこんなことがわかっていたのという先見性に驚くことがたくさんあった。

    そういう訳で、色々な興味関心の本を読む間に、時々、思い起こしては、ドラッカーを少しづつ読んできた。

    そんな中、1年ちょっと前に、ドラッカーの若き日の思想的な自叙伝とも言える「傍観者の時代」に出会って、ドラッカーのマネジメントの深さの源泉に触れた気がして、一気、惹きつけられた。

    その勢いで、初期の「経済人の終わり」「産業人の未来」「企業とは何か?」を読み、その政治経済思想の深さと現実理解の深さに驚愕し、中期マネジメント論の総括「マネジメント」の完訳版を読み、さらに「断絶の時代」を読んで、現在に続くポスト資本主義の源泉にふれ、かなり、ドラッカー尊敬の度合いは上がっている。

    また、この2年くらい読んでいるハンナ・アーレントの全体主義論とか、政治哲学と色々なところでシンクロしているというところもあって、この2人の亡命ユダヤ人の思想の関係性も考えてみたいなと思っていた。

    という中で、アーレントにも詳しい(が、経営にはあまり詳しそうではない)仲正さんの思想家としてのドラッカー本が出たので、早速、読んだ。

    と、経緯を書くだけで、長くなった。

    最初の方は、「傍観者の時代」の話しの紹介みたいな感じで、ふむふむ、そうだよね、という感じだったのだが、ドラッカーが博士号をとった法学理論との関係になると全く知らない話しで目から鱗。

    そして、「経済人の終わり」「産業人の未来」の全体主義論になると、仲正さんの本領発揮という感じで、ドラッカーの著作を忠実に読みながらも、色々な角度から解釈が展開していって、スリリング。

    そして、著者にとっては苦手?なマネジメント論のところも、ケインズやシュンペーターとの関係などを踏まえながら、組織論を中心にすっきりとまとめている。一応、経営学系の本を相当数読んでいるつもりなのだが、なるほど感のあるまとめだったな。

    最後にドラッカーの思想家としてのポジショニングとか、ポスト資本主義社会におけるドラッカーの位置づけなどに言及して、本は終わる。

    改めて、ドラッカーの深さに触れることができたな〜。

    ちなみにドラッカーの一番面白い本は、全体主義とその後の世界を論じた1942年「産業人の未来」で、1970年代くらいまでのドラッカーのマネジメント論の基盤だと思っている。

    が、80年代以降、「産業資本主義」が終わって、ポスト資本主義、知識労働時代になると、ドラッカーの時代を見る目の確かさは変わらないものの、その先を切り開くインパクトはだんだん低下していったと思う。

    でも、その頃、本人は、もう80代、90代なんだからね。何か新しいものを期待するのも酷というもの。

    その先を考えるのは、私たちの責任なんだという著者のメッセージには、共感した。

  • 『思想家ドラッカーを読む―― リベラルと保守のあいだで』
    著者:仲正昌樹

    【版元】
    発売日:2018.02.26
    定価:1,944円
    サイズ:四六判
    ISBNコード:978-4-7571-2369-4

    ファシズムの時代を生き抜いたドラッカーは何と闘い、どんな世界を夢見ていたのか?
     「マネジメント」「リーダーシップ」「プロフェッショナル」といった言葉ともに、日本でも絶大な人気を誇る、経営学者・思想家のピーター・ドラッカー。あまたの本がビジネス分野ならびに自己啓発分野において出版されてきたが、彼の思想的な側面はこれまで十分に掘り下げてはこられなかった。
     本書は、ドイツ思想ならびに現代アメリカ思想、さらにはポストモダン思想にまで通暁している、思想史家・法哲学者の仲正昌樹氏が、ドラッカーを“思想"という観点から書いた、これまでにない入門書である。ドラッカーのテキストを精読することによって、その思想を整理し、さらには同時代の西洋思想史(自由主義、保守主義、ファシズム、社会主義、ユダヤ思想、ポストモダン思想等)のなかに置き直し、その真価を明らかにしたうえで、新たなドラッカー像を提示する。
    http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002441

    【目次】
    まえがき 人文学者、ドラッカーを読む 
    第1章 ウィーンのドラッカー 
    第2章 守るべきものとは何か?――ドラッカーの保守主義 
    第3章 なぜファシズムと闘うのか?――ドラッカーの自由主義 
    第4章 思想としての「マネジメント」 
    終章 弱き個人のための共同体としての企業 
    あとがき
    著者紹介

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著者プロフィール

1963年、広島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。文学や政治、法、歴史などの領域で、アクチュアリティの高い言論活動を展開している。著書に『「不自由」論』『お金に「正しさ」はあるのか』(以上、ちくま新書)、『日本とドイツ 二つの全体主義』(光文社新書)、『集中講義!アメリカの現代思想』(NHKブックス)、『カール・シュミット入門講義』(作品社)、『精神論ぬきの保守主義』(新潮選書)、『今こそアーレントを読み直す』(以上、講談社現代新書)、『いまこそハイエクに学べ』(春秋社)などがある。

「2018年 『思想家ドラッカーを読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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