都市は人類最高の発明である

  • NTT出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (484ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757142794

感想・レビュー・書評

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  • ザッポス→石塚しのぶの最新刊から。
    トニー・シェイは今ラスベガスに自社の街を作ろうとしているところだそうです。

    ・都市は、多くの小企業と高技能市民がたくさんいると栄える。デトロイトはかつて、小規模の相互に関連した発明家たちがひしめく蜂の巣のような都市だった。―ヘンリー・フォードは、数多い有能な起業家の一人でしかなかった。でもフォードの大名案のとんでもない成功で、そのかつてのもっとイノベーションに満ちた都市が破壊されてしまった。デトロイトの20世紀の成長は、何十万人もの低技能低教育労働者たちを巨大工場に連れてきて、その工場は都市や世界とは無縁の一大要塞となった。産業の多様性、起業家精神と教育はイノベーションをもたらすが、デトロイトモデルは都市衰退につながった。

    ・統計的な証拠を見ると、電子的な交流と対面交流は相補的だということもわかる。経済学の用語でいうと、それは代替物ではなく相補物なのだ。電話の通話は、圧倒的に地理的に近い人々の間で交わされている。おそらくは、対面の人間関係は電話でしゃべる需要をかえって増やすからだろう。そして国がもっと都市的になると、電子コミュニケーションもかえって増える。

    ・ほとんどの世界では、金持ちは飾り立てた壁のでかいオフィスにとじこもるのだが、トレーディングフロアでは、世界で最高の金持ちの一部は顔をつきあわせて仕事をしている。金持ちトレーダーは、他人との近接性からくる知識のためにプライバシーを捨てているのだ。

  • 人間を人間たらしめているすべてのものは、としへの人口集中で生まれている。都市のスラムは悲惨だが田舎にもスラムはあり、そこはもっと悲惨だ。

    人が自然との共生と思っている生き方の多くは、実は人の居場所を作るために自然を破壊し、エネルギー効率も低い。

    今後多くの人が田舎の貧困から逃れて都市部を目指す。そうした人々を高密でコンパクトに収容し、都市で産まれるアイディアをさらなる都市発見に貢献させる仕組みを作ることこそが今後の人類発展の鍵となる。

    都市の発展にはアイデアの生産が必要不可欠だ。相互作用によってイノベーションは起こるので都市には多様性が欠かせない。

    デトロイトの自動車やピッツバーグの制鉄は単一産業に依存した都市はその産業の衰退の運命を共にするしかない。皮肉なことにフォードがデトロイトで自動車大量生産を開発できたのは、かつてのデトロイトが多様なエンジニアリング要素を合わせ持った多様性のある都市だったということだ。

    自分は何度かデトロイトを訪れたことがある。そこで感じたのはデトロイトは人類が生み出した都市の最終モデルで、資本主義の要請によって完璧に計画された都市だということだ。

    1987年に作られたピープルムーバーは全米で最も馬鹿げた公共交通投資だというのは笑った。そもそもあの区間は交通量の少ないしバスが充分通行できる(実際、地元の人はバスにしか乗らない)。

  • 【由来】
    ・分かんないけど、確かamazon。訳者でかな?

    【期待したもの】
    ・多分、タイトルに惹かれたんだろうな。でも、都市なんてのは、人類の活動の結果なんじゃね?「発明」と言うのであれば、そういう、成り行きの結果、というよりももう少し能動的なニュアンスがこめられていると思う。

    【要約】


    【ノート】
    ・面白そうなコンセプトだし、訳も読みやすいがボリュームも多いため、いつか時間的余裕ができたら挑戦する。

    ・コトラーの「都市の競争」でも言及されていた。

    【目次】

  • 都市は人々の生活を所得の面で豊かにするし、安全、環境、文化といった外部性のある面においても高い効率・成果を生む。

    経済学の知見と世界各国の都市(歴史的にも古代から現在にわたって幅広く)の豊かな事例を基に、そのことを解き明かしてくれている。

    読んでいるだけでも非常に面白い本だが、経済学のフレームを使うことで、固定観念やイメージに囚われない、目からうろこの指摘がいくつも盛り込まれている点が非常に貴重な本だと感じた。

    例えば、都市には貧困層が見られる(目につく)が、が人々を貧しくしているわけではない。都市は上の社会階層に上がる機会を与えてくれるからこそ貧しい人々を集め、実際に都市では農村よりも社会階層の移転が多く起こっている。スラムの抱えるさまざまな人権上の問題を放置してよいわけではないが、都市はスラムを産むから農村よりも劣っているといった理解は誤りである。

    また、容積率や高さ規制による過剰な建築制限は、都市の住宅価格を上方に推移させ、結果として郊外へのスプロールや都市の多様性の減少といった効果を生じさせている。都市には保全すべき地区や環境があることは間違いないが、過剰な現状維持は都市の活力を削ぐだけでなく、二酸化炭素排出による環境破壊や住宅供給不足による人権侵害を産む可能性もあることに留意しなければいけない。

    多くの都市は、18世紀、19世紀の交通・輸送の中心地としての性格から、20世紀の工業都市を経て、21世紀には消費者都市へと変容してきている。この過程は、ニューヨーク市の歴史を見ると明らかである。しかし、例えばデトロイト市のように、工業都市としての成功があまりに単一の産業に依存しすぎていた場合、そこからの脱却・転換には、非常に大きなリスクが伴うし、おそらくは一度は衰退を経験することが避け難い。

    この本で指摘されているようなこれらの観点は、(経済学の多くの知見と同様に)一元的に現実に適用することは避けなければならないにしても、非常に示唆に富んでいると感じた。

  • すごくわかりやすい都市礼賛。いらんことはちゃっちゃと切り捨てて、機能的な暮らしをしようよと非常に合理主義的に進んでいくのはある意味気持ちが良い。基本的にはアメリカ大都市の話なので、どこまで自分の身の回りに当てはまるかは横においておくとしても、挙げられる都市の利点やデータに関してはなるほど、となる。
    そして、曖昧な点に関して結構的確なツッコミを入れている訳者あとがきがまた良い。

  • 読書は格闘技から

  • こういう本を読んでからなんリベは議論した方がいい。1/3しか読んでないけど。

  • 県立図書館

  • 内容は面白かったが、誤字が異常に多かったのには興ざめした。

  • テーマは好きなんだが議論が四角い。単線系評価な感じがアメリカのポジティビズムという感じで読んでいて苦しくなる。

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