少女と魔法 ガールヒーローはいかに受容されたのか

  • NTT出版
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757143098

感想・レビュー・書評

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  • 他者による規範からの逸脱は、他者であるがゆえ許容される。
    ※魔法は規範からの逸脱ができ、許容される。

    子供を守ると言う大義名分はヘゲモニックなフェミニ二ティと抵触しない。したがって社会政治的運動における「母親としての心配事」を持つ非活動家の一般女性たちの参加は強い批判の対象にならなかったのである。p40

    林真理子や小山田ノンに象徴される80年代の女の本音が〇〇したいだったとするならば上野千鶴子らが主張した中身では何〇〇したくないだったと言えるだろう。最終的には自分自身の努力や裁量によってどうにかなる考え方でもあった。その結果〇〇したいの方がより広範な支持を集めたのだと言えるのである。p43

    女の子たちれの影響力が大きかったのはウーマンリブより『anan』『non-no』である。アンノンが女性解放に果たした役割はおそらく電気洗濯機と同じ位おおきい。なぜってそれはすべてを趣味=ファッションに変えてしまったからだ。アンノンのファッション革命によってかつて家事や花嫁修行の領域にあったものはことごとくカジュアルな趣味消費の対象に変わった今まで女の義務だったものが女の子の趣味に変わる若い娘たちの気分をこれがどれほど解放したことかわからない。p44

  • 学術的な魔女っ子論 須川亜紀子『少女と魔法』 サリーからプリキュアまで:Book News
    http://www.n11books.com/archives/27370855.html
    視聴者による番組受容の変化(関西学院大学教授 難波功士) :日本経済新聞
    http://www.nikkei.com/article/DGXDZO55991310Y3A600C1MZC001/

    NTT出版のPR
    「なぜ女の子たちは「魔法少女」に魅了されるのか?

    少女が魔法を駆使して大活躍する「魔法少女」アニメというジャンルが日本では40年以上続いている。本書は、それらのアニメを女性性やジェンダーイメージの観点からとらえ、日本の女の子たちがどのように理解し、共鳴し、消費し、利用してきたのかを、社会文化的文脈をふまえた詳細な作品分析と視聴者へのインタビューにより明らかにする。」

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00194718

  • TV
    ジェンダー

  • タイトルはキャッチーだが中身は非常にかっちりした学術論文。読むのは大変だがとても興味深い。あるコミュ二ティに受け入れられるために、マザーリングとケア、自己犠牲を無意識に用いる、セクシュアリティに対する無関心を装うというメンタリティは自分にも確かに思い当たる。そのくらい我々の世代は魔法少女ものに強く影響を受け、意識に刷り込まれているのだな。

    [more]<blockquote>少女は性化されるにも関わらず、セクシュアリティに対する無関心を期待される

    「西洋」表象の機能は、1960年代後半から1970年代前半における「想像された他者」から、1970年代後半から1980年代初期以降の「内面化された他者」または「土着化した西洋」へとシフトしたと考えられる。この他者(または異質)という認識を通じて、少女たちは西洋的なものと日本的なものの間に「適切に」自分を配置させながら、「自己」を認識していた。特に「カワイイ」は「西洋」の洗練されたファッショナブルさと、日本の子供らしいかわいさがうまくブレンドしたものとして機能していた。</blockquote>

  • セーラームーンにはまったため、読んでみました。
    その時代の少女達が、どのように魔法少女を受容してきたか。

    サリーちゃんアッコちゃんも見てたのは、再放送だったのかなぁ。あと魔法少女じゃないかもですが、日曜朝にやっていた竜宮城からきたお姫様?の実写子供向けドラマ?が好きだったことも思い出しました。

    メグ・マミ見たことがないので、大変見たくなり。何よりノンが気になる。
    プリキュアは、何だか現実的で夢がないなぁ、とか思っていたのですが、それはそれで人気なんだ。

  • おもろかった。と言っても、思い入れのあるおジャ魔女どれみ、プリキュアの項の比重が大きいんやけど。

    この手の本にありがちな、結論ありきのレトリック駆使した強引さは少なくて、視聴者を対象にヒアリングとかやってて好感が持てた。

  • (市×/県×)

  • 魔法少女アニメをジェンダー論から分析し、当時見ていた女性たちにどのように受け取られていたのかを調査・分析している。時にステレオタイプと批判されているこれらのアニメが、女性たちにそのまま解釈されているわけではないというのは興味深い。また、2000年代にはいり、なのはやまど☆マギなどのアニメで今までのジェンダー規範に当てはまらないものも出てきているという指摘もされている。
    女性だけでなくて、男性やそれ以外の人たちからはどう見られているのか分析するのも面白そうだ。魔法少女アニメ史としても楽しめた。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、2階開架 請求記号:778.77//Su27

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著者プロフィール

横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院教授。ポピュラー文化論、ファン研究、2.5次元文化研究。
『2.5次元文化論──舞台・キャラクター・ファンダム』(青弓社、2021年)、『少女と魔法──ガールヒーローはいかに受容されたのか』(NTT出版、2013年)

「2022年 『ジブリ・アニメーションの文化学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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