- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757143197
作品紹介・あらすじ
いまや西洋世界は〈右翼と左翼〉ではなく、〈狂気と正気〉に分断されている。民主主義や市場経済といった近代社会の礎が危うくなってきている。状況を打開するためには、〈啓蒙思想〉の再起動が必要だ――旧来の啓蒙思想の行き詰まりを保守主義の再評価や認知科学・行動経済学などへの参照を通して反省し、理性と直感、知と情を束ねる新たな世界観を提示する。気鋭の哲学者の渾身の1冊。
感想・レビュー・書評
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第8回アワヒニビブリオバトル「二十」で紹介された本です。
チャンプ本
2016.01.12詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
象使いは、象の背中から降りて、その行く道を整備し、行き先を変えることが出来る。それこそが人間である。
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なかなか重い読後感が残る。啓蒙思想1.0が人間の心理や感情といったものをおろそかにしたのはそのとおりだが、ヒューリスティックやクルージといった人間に内在する機構への知識が獲得された現代においても、社会が合理的思考によって「正気を取り戻す」のは絶望的な困難を伴う。この大著が「スロー・ポリティクス宣言」なる呼びかけで結ばれていることからも、著者のため息が聞こえてきそうだ。
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「独学大全」およびジョナサン・ハイトの著作の注にあったので読んでみたが、予想していたより面白かった。
大作だが行動経済学、特にダニエル・カーネマン好きな人なら読めると思う。 -
◆3/7オンライン企画「その相談、あの本なら、こう言うね。F/哲学の劇場」で紹介されています。
https://www.youtube.com/watch?v=1K0qT4_6lEk
本の詳細
https://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002324.html -
以前に読んだが内容が難しかった記憶。時間がある時に再度読み直そう。
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スローポリティクス
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認知バイアスのある人間たちがどうしたら理性的になれるのだろうか?という本。
けっこうボリュームあるけど、現代社会について考えたいならとりあえず読んで損はないはずです。 -
ポピュリズムをどう乗り越えるのかについて、さまざまな本が出ているが、その中でも最良の部類ではないか。行動心理学や哲学、経済学をダイナミックに援用しながら、政治や経済、生活の場でなぜ理性が効きにくくなったのかを解いていく様は、ジャンルはちがうが「銃・病原菌・鉄」や「道徳感情はなぜ人を誤らせるのか」を思い起こさせる。
感心したのは、ジョセフ・ヒースのバランス感覚。「理性」が保守とリベラルの間でどう受け取られてきたかの歴史に関する記述や、ある種の社会改造を批判しつつバークの保守主義を評価するくだりにそれが現れている。このバランス感覚こそが彼の言う「理性」の真骨頂なんだろうな。行動心理学の知見である「理性は怠け者で、認知バイアスは克服できない」という前提が最後までブレず、安易な結論に飛びついていないのも誠実。