- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757150324
感想・レビュー・書評
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もっと早く淀川長治さんのことを知っておきたかった…!黒柳さんが大好きで本書を手に取ったのだが、淀川さんは「ゆるふわソフトな話し方をするおじいちゃん」って印象しかなくて。(失礼)
『日曜洋画劇場』でお茶の間に洋画ブームをもたらした映画評論家・明治生まれ・4歳で(大人向けの)洋画デビュー・生涯独身であったことも本書で初めて知った。
穴があったら「さよなら…」を唱えながら入りたい。
黒柳さんと淀川さんによる計13回の対談だが、これらは全て『徹子の部屋』で放送された内容となっている。2002年の刊行で、1998年にお亡くなりになった淀川さんを大ファンであり親友だった徹子さんが偲んで編纂された。
始まりから終わりの挨拶まで書いてあるもんだから、あのテーマソングが自動的に脳内再生される。黒柳さんもあの独特の弁舌で立派に番組を回されているし、抜群の俯瞰力・質問力をお持ちなんだと改めて感じ入った。
ただ現在と違うのは、黒柳さんの言葉数が控えめなこと。「番組が始まって、まだホヤホヤ」な1976年から始まっているので黒柳さんがお若いのは承知だが、今よりも相槌が目立っているのが信じられない。それに時々圧倒されているのも笑(相手が話し続けたくなるほどの聞き上手と捉えることもできるけど)
ちなみにお2人は永六輔さんとも親交があり、(信じられない話だけど)街中や機内で3人揃ってばったり会うこともあったらしい。見たところ全員キャラが濃く、化学反応を確かめたいがために神様が面白がって3人を引き寄せているようにしか思えなかった。
「私はいろんな映画見て、ハートがあったかいこと、人情いうものをどんどん教えられました」
淀川さんはゆるふわソフトであると同時に、関西弁を交えた品のあるお話をされる方だった。
映画一つとっても、幼少期から一流のものに親しみ審美眼を養ってこられた。だからこそ、そうした美しさが言葉にも反映されてくるのかなって。
みんな淀川さんの上質なお話をもっと聞きたいだろうに『日曜洋画劇場』の解説を計2分半にするのはやっぱり酷だったんじゃないか?
物の見方に関してもそう。雨風で一斉に散っていく桜も、淀川スクリーンにかかれば「こんだけきれいなショーは、日劇でも見られんなー」と華麗に映し出される。今の季節にもマッチしていて、これは響いたなー!
黒柳さんも、文化教養溢れる淀川さんと渡り合えていて凄いのなんの…。
「私はいまだかつて嫌いな人に会ったことがない」
「デザインが素敵」「女優さんのタクシーの乗り方がうまい」etc…
どんな作品にも必ず良い点を見つけ出して、それを堂々と評価する。映画と同じく人との交流にもそれを適用されていると思った。
(今考えれば傍迷惑もいいところな)熱烈なファンとの会話も宝物のように大切にされ、『徹子の部屋』でも嬉しそうに披露されている。
良いものに触れ続けていれば、人に優しくなれる。
淀川さんだからこそ、真実味の出てくる論説である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白い。
丁寧できれいな日本語と豊かな好奇心たっぷりの二人の会話はとっても素敵。 -
おふたりの言葉の美しさと優しさ。
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好奇心旺盛の二人の対談、おもしろくないわけがないっ。