アナザーユートピア: 「オープンスペース」から都市を考える

  • NTT出版
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本棚登録 : 61
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757160774

作品紹介・あらすじ

建築家・槇文彦はエッセイ「アナザーユートピア」で、建物からではなく、「オープンスペース」――広場、路地、道、原っぱ――から、都市の未来をいまいちど考えなおそうと問題提起をした。本書では、槇の問題提起を受け、さまざまなジャンルで活躍する若手からベテランまでが寄稿し、これからの都市のあり方に一石を投じる。
執筆者 青木淳、塚本由晴、手塚貴晴、田中元子、伊藤亜紗、広井良典、ほか全16名。

感想・レビュー・書評

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    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/522946

  • 都市をオープンスペースという視点から考え直してみようという槇文彦の投げかけに対して、建築家だけではなくランドスケープデザイン、アート、社会福祉、法律といった様々な領域の専門家が応答した文章を集めた本。

    都市をオープンスペースから考える必要性は、都市というものがあらゆる種類の人々を包摂する必要があるものであり、また社会の流動化、多様化に伴って、これまで以上に柔らかくしなやかな受け止めが必要な時代になってきたということがあるのだと思う。

    これまでの「建築」という行為やその成果物が、目的を明確にしたうえで合理的に機能と空間を構築していくというやり方で作られてきたため、建築のみで構成される都市をイメージすると、しなやかさや曖昧であるが故の柔軟性といったものは、不足することになってしまう。

    「オープンスペース」という概念はそれを補ううえで重要なものになっていくのだろう。

    したがって、「オープンスペース」といっても、いわゆる敷地内の公開空地を対象とするより、路地であったり公園であったり、空家であったりと、その対象としては様々なものが取り上げられている。

    そのような物理的なスペースのみならず、法の「余白」としての規定や解釈のすきまを都市づくりにいかに活用していくかといったことも、本書の中で取り上げられている。

    また、物理的空間であっても、その作り方だけでなく、同じ場所でも管理(ルール)のあり方によって全く使われ方が変わっていく様子、また身体障碍者の空間把握の方法や移動の方法を参照することで、空間自体が新たな見え方をするといったことまで取り上げられており、視野が広がった。

    大正時代の「街路構造令」には、現在でもある「道路」という概念とは別に、沿道の建物や街路樹なども含んだ「街路」という概念があり、沿道の経済活動に寄与することが目的とされていたという事実も、この本で初めて知ることができた。

    オープンスペースというものは、空間の形状や与えられた機能だけで規定されるものではなく、使われ方やその意図、使い手のコミュニティのあり方といったものによって形成されてくるものであるために、このような幅の広い視点からの議論を積み重ねていくことが必要なのだと思う。

  • 東2法経図・6F開架:518.8A/Ma34a//K

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著者プロフィール

槇文彦(まき・ふみひこ)
1928年東京生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、ハーバード大学大学院修士課程修了。ワシントン大学、ハーバード大学准教授、東京大学工学部建築学科教授を経て、槇総合計画事務所設立。プリツカー賞、高松宮殿下記念世界文化賞、日本建築学会賞、日本芸術大賞、日本建築学会大賞、文化功労者など多数受賞。主な著・訳書に『コミュニタス』(共訳)彰国社、『都市空間の原点』(共著)筑摩書房、『ヒルサイドテラス+ウエストの世界』(編著)鹿島出版会、『漂うモダニズム』左右社、『槇文彦+槇総合計画事務所2015』(編著)鹿島出版会、『Recent Work Fumihiko Maki』(編著)鹿島出版会、『アナザーユートピア』(共編著)NTT出版、他。

「2020年 『アーバニズムのいま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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