ディープメディスン AIで思いやりのある医療を!

  • NTT出版
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本棚登録 : 62
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757183025

作品紹介・あらすじ

AIによる未来の医療ー〈思いやり〉に満ちた医師と患者の関係の復活

AIを本格的に活用すれば、医療現場は深い思いやりに満ちた患者治療への情熱を再び共有できる。医療崩壊に立ち向かうために、必要な医療改革メソッドと叡知とは―

世界的ゲノム研究の第一人者 米国スクリプト研究所副所長 エリック・トポル 著
米国AMAZON医療部門ロング・ベストセラー

東京大学名誉教授 シカゴ大学名誉教授 中村祐輔 監訳
訳者 柴田裕之

医療専門書分野を超え、患者さん個人に即した医療ケアの新しい在り方を提言

感想・レビュー・書評

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  • AIが出来ること、できないこと
    人間(医師)が出来ること、できないこと
    テクノロジー利用のメリット、デメリット
    それらの使い方
    それらが医療者に及ぼす影響
    患者との関わり方
    病院を管理する者、政治、医療関連企業など様々な利害関係者によって現場に生まれる力学

    など医療とAIに関する非常に多岐にわたる内容が詰まった本だった
    読みながら考えさせられることも多かった

  • AIによる未来の医療ー〈思いやり〉に満ちた医師と患者の関係の復活
    AIを本格的に活用すれば、医療現場は深い思いやりに満ちた患者治療への情熱を再び共有できる。医療崩壊に立ち向かうために、必要な医療改革メソッドと叡知とは―
    (出版社HPより)

    ★☆工学分館の所蔵はこちら→
    https://opac.library.tohoku.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=TT22156863

  • レビューはブログにて
    https://ameblo.jp/w92-3/entry-12624626738.html

  • 難しかった…けれど、将来この通りになるか楽しみ。

  • 本書は専門書としては異例の速さで翻訳出版されている。
    監修の方が昨年の2019年に本国で出版され話題になった本書に感銘を受け、ぜひ国内の医療従事者に読んでもらいたいと自ら出版社に持ち込み実現したらしい。
    訳者もコロナ禍にも関わらず、自身が体験した医療の不満も手伝ってか、並々ならぬ意欲で取り組み、もう翻訳を読むことができるのだから頭が下がる。

    印象的な挿話はいくつかあるが、第9章の著者の義父の話は心に残った。
    著者はこの経験を振り返るときに何度も、医療用のAIが進んでいれば義父を救えたかと自問を繰り返している。
    出した結論としては、それでも難しかったのではないかというものだが、そこには著者のAIに対するスタンスが滲み出ている。
    グーグルの顧問を務めるなど、ディープラーニングの限界やAIの問題点を最前線で実感しているだけに、その未来の到来を予想しつつも、手放しで礼賛するのではなく、どうせ必然ならば現状の医療を取り巻く問題を解決する方向で発展してほしいと、真摯に願って書かれている。
    その思いは最終章にとりわけよく出ていて、医療従事者は心して読むべきだろう。

    医療のためにAIには何ができて、そして何ができないかという著者の考察を見ていくと、まずは問題点から。
    「AIが不公平を助長する」。
    疾患や健康にかかわるゲノム特性は、どういう祖先を持つかに大きく影響されるのに、特定の集団(地域や人種)に偏ったデータをAIアルゴリズムへの入力に使っているため、診断や治療の際、すべての患者に当てはめてしまえば、問題を招くことは必至だ。
    さらに、保険や収入の状況に基づいて患者に進める治療を提示するような、非倫理的なアルゴリズムが意図的に開発される点も見過ごせない。

    「AIのブラックボックス的な性質」。
    すでに医療アルゴリズムは多くの現場で使われているが、医療用のAIに病変の診断をさせた時、悪性か良性か正確に分類するのだが、なぜ成功したのか説明ができないのだ。
    説明はつかなくても、結果が良ければ受け入れればいいじゃないかという議論もあるが、医療の分野で機械が下す決定は当然説明されるべきだろう。
    スキャン画像読影のアルゴリズムも同様で、どうやって読影しているのか実は説明できないらしい。

    人間が最終的にチェックしているから大丈夫だと言うが、もし再確認を怠ったらどうなるか?
    説明可能なAIを目指して、どう機能しているかの分析をAIにやらせようという研究もあるらしく、おかしな話だ。
    チェスの歴史的な対局でカスパロフが敗戦後にコメントしたように「少なくとも[ディープブルーは]私を負かして喜びはしなかった」というのが象徴的だが、AIは画像を読影したり、スライドを見ることはできるが、診断はできない。
    認識できることと理解できることは違うのだ。

    「AIは過去に得られたデータを比較参照することでしか、何をすべきか学習できない」。
    AIで個人の検査データを解釈させると、数値が正常範囲か否かが問われ、正常値内の数値の変化は問題視されない。
    ひょっとすると、疾患の徴候を示しているかもしれないのに無視される。
    これは「正常か異常か」という二者択一のデータ解釈の世界にはまり込んでいるためで、活用できるはずの、豊かで、細かい、連続的なデータは無視されてしまうのだ。

    ディープラーニングは徹底したラベル付けを拠り所とし、構造化データを扱うものだが、医療の現場の多くのデータは、ラベルも注釈もついておらず、クリーンでもなく、構造化もされていない。
    そもそもデータが少なく、不十分な入力からは不確かな出力しか得られない。
    電子カルテは不完全で、個人の健康・医療関連の全データの統合が必要だ。
    入力データ次第で真価が決まるのだ。
    質の低いデータは有意義な出力を行えない。
    しかしここから迷宮に踏み込み、厖大な数の入力情報の収集は、厖大な数の偽陽性も導きだす可能性がある。

    現在の電子カルテの情報は、個人の健康状態についての、狭くて不完全で誤りだらけの要約に過ぎない。
    包括的な情報の厳選を目的としたものではなく、医療費請求のために生み出されたものだからだ。
    データの完全さと正確さは、個人についてのディープラーニング用の精度の高い入力にかかっている。
    ただ、手間なく常時絶え間なく集めることは困難で、アップル・ウォッチや、座るだけでモニタリングする便座も開発されているが、まだまだなのだろう。

    逆にAIの可能性に目を向けると、心の健康を向上する上で、重要な役割を果たすことが期待されている。
    自分の健康管理の手助けとして、機械学習アルゴリズムを使って、血糖値変動の個別化したパターン(脂肪に敏感な人、食物繊維に反応しやすい人)と腸内細菌の複雑な関連を把握したり、モデル化したり、推定したりできる。
    病気の診断をリアルタイムでこれまでより的確に予測することも、AI利用の方向性の一つである。

    AIを使ったディープメディスンが、医師の働きを向上させ、患者と医師の間の、昔からの貴重なつながりと信頼、すなわち人間的な関わりを取り戻す機会を与えるかもしれない。
    たとえば、放射線科医にとって、画像診断の一部をAIに担わさせることができれば、退屈な仕事から解放され、患者ともじかに接することができる。
    彼らの視点は中立的で、何かと手術したがる外科医の視点とは異なり、患者にとって有用だ。
    ミスや経費削減のメリットもあり、将来、低線量でも十分な画質の解像度が得られれば、がんのリスクを下げ、機器の費用も更に下げられる。

  • 11月新着
    東京大学医学図書館の所蔵情報
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_search/?amode=2&kywd=4311486940

  • 請求記号 498/To 65

  • 遅ればせながらAIに期待を込めて読み始めましたが、思っていたよりも役立つことが難しい現実と、有用な分野はAI画像処理検査や、がんの治療情報と予後情報(★Tempus(シカゴ))、手術、脳卒中の診断の支援、眼科のスクリーニング、創薬など。この内容にしては、3600円+税なのは、とてもお値打ち価格と感じた。

  • AIが確立されればされるほど、もちろん医療での活躍も期待できるが、それはあくまでも医療行為を行う医師の手助けになるということ。AIの進化に伴い、より医師の存在が重要になる。

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著者プロフィール

1954年生まれ、医師、医学博士(ゲノム学)、作家。スクリプス研究所副社長(エグゼクティブ・ヴァイスプレジデント)、スクリプス臨床研究所・創設者兼所長、医学部門最高学術責任者(CAO)。2016年、米国国立衛生研究所助成による精密医療のプロジェクトPrecision Medicine Initiativeに参画。医学研究者の中で最も引用されているトップ10のひとりである。著書に本書の他、『今から患者が診せてくれます The Patient Will See You Now』『医療の創造的破壊 The Creative Destruction of Medicine』があり、いずれも全米ベストセラーとなった。カリフォルニア州ラホヤ在住。

「2020年 『ディープメディスン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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