男一代菩薩道: インド仏教の頂点に立つ日本人、佐々井秀嶺

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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757214330

感想・レビュー・書評

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  • 以前にアンベードカルの物語を読んで、人はどんなに不可能に見えることも可能にできると驚いたことがある。
    そのアンベードカルの物語がまだ続いていると思わなかった。しかも物語を受け継いだのは日本人の落ちこぼれ僧侶。何かの物語のようにさえ思える。
    アンベードカルの強い思いがまだインドにあると感じた。

  • インド仏教の頂点に立つ日本人に密着したドキュメンタリー。カースト最下層の不可触民をカースト制度外(ヒンドゥー教外)の仏教に集団改宗させる改宗式において「大伝道師」を務める様子に迫ります。インド仏教の頂点が日本人だって知っていましたか?

  • インド仏教の祖アンベートカル氏の意志を継ぎ、遠いインドの地で戦う元日本人佐々井氏。彼の生きざまには、感服。

  • 仏教は紀元前5世紀頃インド北部に誕生したが、ヒンドゥー教やイスラム教に負け、インド国内では撲滅同然だった。その仏教の復興運動がいま始まっている。インドの人口の8割を占めるヒンドゥー教の最底辺にいる「不可触民」を仏教徒に改宗させる百万人の大改宗式(2004年)の大導師を日本人の佐々井秀嶺という人物が取り仕切ったという。インドの仏教徒(アンベードカル)は人口の1〜2割いるが、保証欲しさに不可触民として登録している。

  • いやあ、これはすごい本というか、すごい人物の話。インドではヒンズー教の隆盛によってほぼ絶滅していた仏教がこのところ再興しつつあり、一説には1億人の信者となりつつあるらしい。このインド仏教再興の頂点に立つのが、日本ではほとんど知られていない日本人である佐々井秀嶺氏であり、この佐々井さんをふとしたことからTVのドキュメンタリー番組で取材することになった筆者が人間・佐々井とその背景となるインドの不可触民と仏教への改宗に迫っていく。

    とにかく、仏教の母国であるインドがそんなことになっていたとはまったく知らなかった。。改宗運動の祖であるアンベードカル(ガンジーの盟友で現代インド憲法の起草者。後にカーストを事実上温存するガンジーと仲違いし、カーストの概念のない仏教徒に改宗する)が、釈迦、龍樹とならび聖人扱いされていて、その龍樹の示唆を受けて、アンベードカルの正統な後継者となったのが佐々井秀嶺みたいな、御伽噺めいた系譜があるわけだが、実態として、毎年数十万人の不可触民を年に一度の改宗式で日本人がどんどこ改宗させていっているんだから、すごいことである。そのほか、龍樹寺等の聖地奪還運動等も先頭に立って指揮する佐々井氏は本の表紙にあるように僧侶というよりかは、やくざの大親分といった感じであり、日本の枠に収まらないそのスケールがこの本でもよく現れていると思った。

    インドの仏教は、抱えている苦悩や不正義も、救済する人の数もケタ違いであるなと思った。

    「へー、こんな人も現代にいるんだー」という意味では本当に稀有な本。

  • 旅は、善財童子の故郷インドへ。
    知らなかった。こんな生き方をしている日本人がいるんだ。
    かっこよすぎだよ!

    ◆学んだこと
    ○「汝、すみやかに南天竜宮城へ行け」ってなに?
    ○佐々井秀嶺は竜樹(アーリア・ナーガルジュナ) になったんだ?
    ○日本男児、大和魂、演歌?

  • インド仏教の頂点に立つ日本人、佐々井秀嶺氏に著者の小林氏が密着し、インタビューしたものをまとめた1冊。

    インドでは、カースト制度が廃止された現在でも依然として差別や制約は残っていて、職業や食べるものなどの最低限の選ぶ権利すらも下位カーストの人々には与えられていないらしい。
    しかし、カースト制度が適用されるのはヒンドゥー教徒のみであるので、ヒンドゥー教徒を改宗させると差別から解放させることができるという。

    佐々井氏はインドに渡ってから1度も日本に帰らず、何万人ものヒンドゥー教徒を仏教に改宗させてカーストを完全に根絶させることに力を尽くしている。
    文章や写真から伝わる人を惹きつける人柄や風貌は、チベット仏教のダライラマ14世とダブるところが多い。インドで苦しむ人達のためにたった一人で立ち向かっている姿勢に感動したし、同じ日本人であることに誇りを感じた。

    また、インドでの宗教のあり方、インド仏教のルーツなど初めて知ることが多く、大変勉強になった。

    ★心に響いた言葉

    仏教はインド北部で紀元前5世紀頃に誕生した宗教だが、4世紀以降のヒンドゥー教の発展や13世紀初頭にイスラム教などとの宗教的な争いに負け、インド国内の信者は絶滅同然の状況に追い込まれた

    佐々井秀嶺は日本の仏教界からは嫌われてきた。ずっと相手にされてこなかった。権威や学識がないと、日本じゃ立派な僧侶だとは思われないんです

    アウトカーストの人々は、ほかのヒンドゥー教徒たちから怒鳴られ、殴られ、蹴られ、などは日常茶飯事。彼らが上位カースト者の食べ物を目にしただけで、それらは不浄になったといって棄てられる

    先生が言うのです。―「神はアンタッチャブルとして創造したお前らに教育を認めなかった。不可触民は父親やおじいさんと同じ仕事を続けていた方がいい。アンベードガルのせいで世間を騒がす礼儀知らずの乱暴ものばかりが生まれたんだ」と

    インドの中で差別があるのはヒンドゥー教に限りません。イスラム教にもシーク教にもアンタッチャブルが存在します

  • 仏教が生まれた国、インドでの仏教会最高指導者が
    なんと日本人って知ってましたか!!

  • フジテレビ系列にて放送されたドキュメンタリー番組の書籍版。本書を読んでから破天を読むと理解が深まると思う。

  • 佐々井秀嶺は、アンベードカルの志を継いでインドの仏教徒の中心的な存在となっている日本人だ。この人物の伝記は、最近新書で復刊された『破天 (光文社新書)』に詳しい。佐々井秀嶺の活躍については、2004年にフジテレビ,NONFIXで放映された。本書はその時に取材されたデータをもとに文章化されたものだ。2004年時点での佐々井秀嶺が、実際にインド仏教のためにどのように働き、インド仏教徒にどのように信頼され、どのような健康状態で、どのようなことを考えているかが、つぶさに語れている。日本では語られることの少ない佐々井秀嶺についての貴重な資料である

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