- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757218369
作品紹介・あらすじ
それは、「神って、いったい何ですか?」という質問から始まった…。過激でキュートな対談集。
感想・レビュー・書評
-
オンライン参加:山内さん
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルを見ただけでは、さっぱり内容がわからない本。
ただサブタイトルが「神さまについての話」とあるので、(どの宗教かわからないけれど、宗教について語られた本だろう)と推測します。
絵本作家の五味太郎氏と宗教学者の山折哲雄氏の対談で、五味氏が山折氏に、宗教の疑問を投げかけている形式。
専門外の人が、読者を代表して質問をしているため、わかりやすく解説してもらえ、さらに五味氏が絵本作家らしくやさしい言葉で話をつなげていくため、内容の難しさに立ち止まることなくどんどん読んでいけます。
「宗教は風土と密接に関係する」ということを、山折氏がたとえを上げて明解に説明し、そこをベースとして話が発展していきます。
なぜ日本は一神教ではなく多神教なのか。
それは豊かな自然に満ちた場所だからです。
一神教の苛酷さは、そのまま風土の苛酷さにつながるということが語られます。
日本人には宗教を信じているという実感がないのは、自然を感じ、共存している感覚と日本の宗教が近いから。
これは一神教の人々とは違う感性です。
一神教の風土での無神論者は、相当変わった、過激で自覚的な人物だとみなされるとのこと。
つまりニーチェやサルトルの思想と日本人の無自覚さは全く違うというわけです。
神の存在を意識しなくても、なんとなくどこかにうっすらいるような気がする、そうした日本人の感覚は、自然との関わりによるものだと納得できます。
そうやって古来よりずっと、生活様式の一つになっていた神道ですが、明治期に国と結びついて国家神道になった時から軌道が変わったとのこと。
もはやアミニズムとはいえない、宗教という形を持つものとなり、それに対して抵抗を感じる人も出てきました。
神道を自分の宗教と言うことに抵抗を持つ人と持たない人がいる、その違いは、明治期以前と以後と、どちらのものを神道として捉えているかによるのかもしれません。
また、山折氏による宗教家と海についての考察が興味深いものでした。
キリストは地中海を見ていますが、ブッダは海を見ていないそうです。
親鸞など日本の宗教家は、海を知ることで精神的な成長を遂げたとのこと。
山岳修行はありますが、海での修行はあまりないもの。捨身の補陀落渡海くらいでしょうか。
「神様は、なぜ必要なのか」という五味氏の問いに「人は対話者が必要だから」と答える山折氏。
人間同士の話とは違う対話ができる相手を、人間は必要としているのだそうです。
ざっくばらんな対話なので、ざっくりした話の流れになっていますが、結局のところ定義付けしきれないテーマなので、話の流れを理解できれば十分。
最終対話で、山折氏が「神さまはやはり無神論者だと思う」と発言しているのが意外でした。
そして、読み進みながらずっと気になっていたタイトルの意味が最後にわかってスッキリしました。 -
五味太郎が山折哲雄に宗教について教えてもらうという感じの対談本。
宗教と風土は密接なつながりがあるんですね。
絵本的要素はこの本にはないです。 -
私の好きな絵本作家と私の好きな宗教学者の対談集。
宗教と風土の話が興味深かった、日本人であることを再確認
できる本。 -
面白い。
タイトルに引かれたまんまの面白さ。
もちろんその半分もきっと本当の意味で理解なんて出来てないだろうけど、軽いノリで軽く散歩をしながら神さまをズシリと突く。
なかなか痺れる。
恵まれた風土。
縦書き文明。
完全には失われなかった文化の連綿。
一神教と極楽の不必要性。
縄弥折衷。和漢折衷。和洋折衷。お手の物。
世界を知って初めて知る日本の本当の姿。
そしてそれがとんでもなく面白いという事を知る事。
最後まであんかけ蕎麦が気になっていたので提示されて良かったです。 -
対談だから軽~いノリなんだけど、
実は結構本質ついてたり、面白い事を教えてくれる。 -
「神さまってなんですか?」
という問いについて、いーい大人があー言ったりこー言ったり。
でも、なんか「宗教」とか「神さま」とかについて考えるには、この本は一つの目安になるのかも知れないと思った。
少なくとも自分にとっては。
うん、結局「そういうもん」なんだろなぁ。