- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757507029
作品紹介・あらすじ
かつて竜が思うままに飛翔するのみだった宙に、"銀の声持つ人"があらわれ、新たな世界を構築した。しかし、期待を裏切り続けた人の営みに絶望し、かれらがこの世界を去って、既に久しい。力あるその言葉で語られた世界のあるべき姿と、人の営みが作った世界の姿との差が、歪みとなって魔物を産む。世界の滅びは間近に迫っていた。-異世界ファンタジーの旗手妹尾ゆふ子が渾身を込めて書き下ろした1300枚の一大叙事詩。
感想・レビュー・書評
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読み慣れない新書タイプだからか、はたまた初妹尾ゆふ子さん作品だからだろうか。
読んでいるあいだも、なんとも引っかかりを覚えてしまった。
出てくる単語や表記が少し独特なことも手伝って、もう2,3度読まないと、この世界を理解するには至れないかもしれない。
主人公のウルバンの文中の印象と挿絵との差が埋められないせいか。
自分のイマジネーションの乏しさが恨めしい…くっ。
古の言葉が正しい世界を構築する世界。
長い年月を経て、人が営みを連綿と続けていくうちに、あらゆるものは変化していく。
それは古の言葉とて同じことだった。正しい言葉で守られていた世界にほころびが生じ、そのほころびから魔物が跋扈する世の中へと変わった時代。その未来には、もはや滅びしか残っていないのだろうか。
言葉を大事にする物語は好きだ。
下巻を読み終えたとき、この胸にわだかまるもやもや~んとしたものは晴れるかなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
金田榮路のイラストに一目惚れして買った本。
恐らく金田榮路との出会いの一冊。
はじめに言葉があった——じゃないけど、
言葉がとても重要な位置にある世界。
それを語ることは、世界を語ることに等しい……。
正しい言葉によって語られた世界と、
人々が生きていく上で作られた世界との違いが、歪みが、魔物を産み落としていた。
その綻びが広がり、世界が滅びを迎える前に
再び世界を語り直すことができるのは、真なる王の言葉だけ——。
自分は、「言葉」が扱われた話がけっこう好きなんだと思う。
言葉とか文字とか
語られた言葉が「真実」な話が・・・。
主人公ウルバンは、純真な心をもった、元は羊飼いの今は兵士。
世界中にはびこる魔物と戦うために兵となる。
彼は配属された領王の城で、領王に請われて「ラ」の発音を教えることになる。
領王は言う。自分は古い言葉で魔物と戦おうと思っているのだ、と——。
この世界で言葉はとても強い力を持っていて
例えば兵士の使う剣に言葉を書き込めば、彼の力は増幅され、また守護を与えたりもする。
古の言葉を正しい発音で口にすれば、それは竜の意識にも働きかける。
領王は古の言葉でもって、同じく太古から最強である竜を用い、魔物を一掃しようと考えているのだ。
とにかく素晴らしいファンタジーだと思う。
ずっと昔から歴史が連綿と紡がれてきている、そんな背景を感じられるしっかりとしたファンタジーだ -
上下巻、読了。
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辺境出身の剣士ウルバン、幼馴染で天才?秀才?特異技能をもつジェン、お姫様…なんだけど特異な育てられ方をしたエスタシア、インテリだけど現実的でああ言えばこう言う的な会話が冴える領主ソグヤム。キャラクターがどれも際立っている。もっとも、お姫様は半ば眠らされたような状態だけれど。ウルバンの素朴な優しさが良い。
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上下既読済み。
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言葉が力を持った世界。その力が弱まり世界がほころび始め魔物が跋扈し始める。世界を救いたい龍使いと、それぞれの思惑の王・領王。
世界を造った「銀の声持つ人」は、干渉することによってまた世界のバランスを崩す。
そして世界を救う者は孤独である。
音の紡ぐ美しさはまさに世界を構築するにふさわしい。
竜、騎士とくれば、もう!ツボツボです。 -
上下の全二巻
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物凄くすばらしい作家なのに、何故か作品が少なく、そして絶版になりやすい妹尾ゆふ子。
とりあえず物凄く風景描写がうまい。
今作は呪いを受けた姫とまっすぐな若き騎士の心の交流がどきどきもの。
世界の終焉と再生がテーマのこの物語は、現時点の彼女の最高傑作。 -
私にとってファンタジーの一つの基本。精密で地に足がついていながらもすごく幻想的。