小説 スパイラル~推理の絆~ (4) (コミックノベルズ)
- スクウェア・エニックス (2004年3月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757511811
感想・レビュー・書評
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1〜4巻まで通読しての感想。
⚫︎個人的に面白かったのは「ソードマスターの犯罪」(本編)、「ワンダフル・ハート」「ハイスクール・デイズ」「近況報告」「幸福の終わり、終わりの幸福」(外伝)。自分は動機が捻くれているのが好きかもしれない。
⚫︎2巻「鋼鉄番長の密室」は今や死語の“番長”の歴史を辿るという、いい意味でふざけた内容だけど、(作中では本になっているレベルの歴史なので)推理すべき事件に辿り着くまでにちょっとダレるかな。ひねくれた性格のヒロイン・千影と歩のやりとりは面白い。
3巻「エリアス・ザウエル〜」はミステリとページ数的にはちょっと物足りないかな、と思った。
4巻「幸福の終わり、終わりの幸福」は小学生時代の歩も登場する外伝完結巻。表題作は簡単に見えるアリバイ崩しが折り紙と競馬からここまで複雑になるとは思わなかった!
漫画本編を読んだ人ならキャラクターの掛け合いや本編とリンクしている部分、本編にはないミステリらしい謎解きを十分楽しめると思う。
⚫︎くるみは漫画本編・アライヴにはいないタイプのキャラクターで、探偵役としても、読者寄りの登場人物(主人公兼語り手)としてもいい感じにバランスが取れているのが良い。くるみの語り口や4巻での鳴海兄弟・まどかへの関わり方が好き。
⚫︎4巻を読むと、歩が小学生時代から根っこは変わっていないのと、ここから数年後にまどかとあんな感じの義姉弟関係になるのか……と思うと微笑ましくもちょっと悲しい。
兄の清隆はアライヴでもだいぶふざけているのだが、こちらでもやっぱり清隆は清隆だった。仕事しないノンキャリア上司をボコボコにしつつ自分の仕事をちゃんとして、くるみにも付き合っているまどかはめちゃくちゃ優秀なのでは……。
それにしても兄弟揃っていろんな女性を引き寄せているのはやはり血なのか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小説 スパイラル~推理の絆~ (4) (コミックノベルズ)
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くるみお嬢様の戦い、ここに完結
小日向くるみは、スーパー小学生・鳴海歩の力を借り、憎っくき名探偵・鳴海清隆との最終決戦へ挑む。本編「幸福の終わり、終わりの幸福」は、ミステリマニアにも高く評価されること間違いなし。人は誰しも狂気を持っており、それは何ら特別なものではないと思い知らされる。異様なまでの人間心理への探究心が存分に発揮されたシリーズだ。 -
小説版スパイラル最終巻。当時子供の嘆願でガンガンを定期購入するようになり、長男がスパイラルのコミックスを集め始めているので借りて読み、外伝小説もあると知り購入した。本編のノリでノベライズされていて本編の重苦しさがない分気楽な内容。正直なところ小説版スパイラルを読んで城平京氏の著作を集めるに至った。
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「スパイラルシリーズ」の中でも、屈指の力作・名作といえると思います。
テーマは「折り紙と競馬」
この2つを使った展開・トリックは驚愕を通り越し、その先に見えてくる「犯人像」と、その内面に潜む狂気さえも推理してしまう主人公・鳴海歩の“異常性”と“悲しさ”は、言語を絶する。
全体を通して構成が優れており、読みやすいのも素晴らしい。あまりの面白さに、何十回と繰り返し読んでしまう名作。
入手は難しいかも知れませんが、手に入れることができるならぜひ読んで欲しい作品です。 -
くるみが主人公の話。
城平さんのミステリー大好き! -
小説スパイラル最終章。今回はくるみが中心だった話。しかも今回は論理からなる推理系がメインでとても読み応えのある作品であった。個人的にこっちの流れのほうが好きです。
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小説版完結編。てなことでどうもコミック版にも関連のある話になっている……かな? 外伝に鳴海弟も登場。しかしこれで十二歳とは、たしかに詐欺だ(笑)。
メインとなる表題作がイチオシ。なんといってもアヤツジストにはお馴染み?の、「悪魔」折り紙がアリバイトリックに使われているのだから! ……あ、もちろんそれだけではなく、ロジックも見事。そしてそれ以上に「論理的な狂気」の存在がばりばりインパクト。そうそう、私も途中までは考えられたのだけれど、あと一歩のところでどうしても「常識」から抜けられないところがあるんだなあ。そこから抜け出すブレイクスルー的発想はやはり見事。