魔女の下僕と魔王のツノ(1) (ガンガンコミックス)

著者 :
  • スクウェア・エニックス
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757544543

感想・レビュー・書評

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  • 既存の価値観を疑いながらも、人の道は見失わない。これはそんな魔女に仕える生真面目な下僕の物語。

    登場した瞬間、この漫画の路線のひとつを理解できると思いますが、タイトルの後半を占める魔王「キングブル」が完全に出オチです。
    よくわからないブサカワマスコットが、普通に作品で大きな存在感を占めるのが、もち先生の作風なんだろうなってなんとなしに理解しました。

    マニアックなプレイをヒロインに強要する、セクハラなギャグを披露しつつもカンペキに引かれないのはマスコットゆえの特権か。
    言動は「花嫁を求める魔王」としての古くも妖しく感じられる「類型」そのものなんですが……。
    一応大物として扱われながら狩られる獲物としての本分を全うしてます、まぁ強キャラです……よね?

    で、その「魔王のツノ」を手に入れて万能魔女「ビビアン」の呪いを解くことを暫定的な作品のゴールとしつつも、主題は主人公「アルセニオ」とメインヒロインの「レイ」と彼らを巡る人間関係にひとまずはシフトしていきます。

    ちなみに本作はファンタジーではあるんですが、魔法が「ドルイド」などの古代信仰に基づいて現代も息づく「魔女術(ウィッチクラフト)」とファンタジーRPGとかでドッカンドッカンやるアレを折衷したものになっており、意外と背景はしっかりしてたりします。

    哲学というか「あり方」としては良き魔女(古い訳語としては仙女に近いか)と「白魔術」の文脈を汲んでいます。
    (ただし魔物関連はありがちなファンタジーというか、わりとアバウト、だがそれがいい。)

    人間社会から一定の距離を保ちつつ、薬を授ける幼い魔女「ベティ」とそれに仕える主人公アルセニオ。
    この辺の信頼関係が主従として恋愛を挟まず、作劇上の基盤になっているのが大きい。
    彼女公認の下でラブコメもしやすくなってるとか、そうでないとか。

    メインの舞台となる国が「スペイン」モデルっぽいんで、微妙にラテンな雰囲気を持ちつつ、宗教的にはお堅いお国柄のため「魔女狩り」のダークな気配が局地的に漂ってたりと、今後の話の見どころも多いです。

    で、「魔女」がタイトルを占めるということは「性愛」にも自由な印象があるのか、一線を引く主人公と積極的な女性陣(?)の対比も効いてますね。

    そもそもレイ自身、元男性の少女歴三年の現十五歳。
    特定の箇所の発育がやたらよいのと、辺境育ちの元少年という前提あっての天衣無縫な発言が魅力的です。
    さらには、距離感の近さと無防備さでいきなり主人公の心を鷲掴みにしてくる肉食系ヒロインです。

    ついでに言っておくと今後の巻でも男性→女性なパターンで性転換する人がなぜか多く登場するということもあって「TS漫画」として見る分にもかなり申し分なかったりします。
    それでいてバックグラウンドがしっかりした世界なので、既存の価値観が強固に語られる一方、縛られない自由な「生き方」の素晴らしさも提示されています。
    よって、単に一定の客層へのサービスに留まらない素敵さを放っているのです。

    既存の価値観と義務感にガッチガチに縛られた主人公がラブに関わっていく過程はストレートにいいものです。
    好意をストレートに隠さないヒロインもいいものです。

    だから性別に囚われず、縛られずに生きようとする「生き方」が映えるんです。

    どうしても魔王周りに茶番感がぬぐえないのが人によっては欠点と言えば欠点かもしれませんが、それはそれ。
    誰も彼も真っ正直に「好き」を隠さない展開は、早速ヒロインを追いかけてやってきた郷里の求愛者が証明しているのかもしれません。

    まだ、自分は男という意識、それ以上に幼さから抜け出せていないヒロインと、己の枠から抜け出ていない主人公。そしてやってきた第三の男。

    とは言え一、二巻時点では作品の方向性が定まっていなかったのか裏表紙のあらすじ紹介がおふざけ気味だと思います。
    けれど、私が思うに頬を緩ませる直接的な愛の叫びはこの時点からあったと感じますね。
    だってラブコメっていいものじゃないですか。

  • 最初ノリだけ見てやめないで!!!!

    作者のもちさんの漫画はキューティクル探偵因幡から知っており最初の怒涛のもちワールドが繰り広げられ、人によっては「ノリについていけない」と思うかもしれないです。
    私も歳を取りこのノリはちょっとサムめだなぁと思いつつ読み進めると...

    本当に本当に深いセリフが多い。
    男だから女だから魔物だから…と決めつけていた事に気が付きます。最終巻まで見て欲しい。伏線がすごい回収されて、気持ちよく終われます。
    また、その感想は巻ごとにのんびり書かせていただきます。

  • 原因不明の病気にかかったビビアンは、薬のレシピを弟子のベティに託して眠りにつく。その材料に書かれているのは魔王キングブルのツノ。ベティの笑顔のために魔王城へ行ったアルセニオが出会ったのは、自称元男の子の美少女レイ。ゆるギャグファンタジーがどこまでいけるのか!(いろんな意味で)
    この時点で設定盛りだくさんですが、全然シリアスなんてない。一応みんなカッコイイし、戦うし、強いし、大変なんだけど、それどころじゃない。下ネタ耐性がない人はまわれ右。
    あと、装丁とか綺麗だし可愛いので、紙で入手できる人はそちらがオススメ。

  • 女体化してるとBLにはならないのか?ヒロインはベティではなく男の子なのか?そこはかとなくイケナイ関係性にドキドキする直前でギャグで寸止めさるジレジレ萌えって、今までにない感覚だわ~~。おもろ。

  • 性転換ならどんな設定でも許されるのか?

  • TSF

  • 絵は稚拙だけれども、中学生にちょうどいい作品。

  • 下僕

  • 設定は変態なのに、全くいやらしさがなく、さらっと面白く読めました。

  • お試し読んでなんとなく。
    オナノコよりオナノコらしい男の娘。
    今こういうのが流行なのかしらん?
    それにしてもキングブル様はたくさん妾が居るんですね~
    皆ウシ型なのかな~

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著者プロフィール

インスタグラムフォロワー11万人超。千切りができないゆとりOL(26)による、激せまコンロなしキッチンからスタートした、誰でもマネできる自炊研究が人気。現在一人暮らしメディア『とりぐら』で連載中。インスタグラム:もち おえかきレシピ@__mo_chi

「2021年 『ゆとりOLの毎日はなまるひとり暮らしルール コンロなし激せまキッチンでも幸せ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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