私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! (9) (ガンガンコミックスONLINE)
- スクウェア・エニックス (2016年3月22日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (140ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757549111
感想・レビュー・書評
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一人というものを見つめ直す、ただし自然体で。
修学旅行編、完。
そして日常に戻っていくそんな九巻です。
とはいえ、京都の秋を散策した後は、スポーツの秋ということで次なるイベント「体育祭」がやってきます。
三人で京都を歩いたからこそ、ひとりの時間が身に染みて、感じ入ることができる。
孤独との付き合い方も、「集団」という新たな切り口を加えて今まで紹介したそれだけではない感覚を与えてくれると思います。
一人置いていかれたと思い、心のどこかで独りを望む気持ち、あきらめの気持ちで主人公「黒木智子(もこっち)」は京都・嵐山へ向かいました。
けれど幸運が味方した部分もあるとはいえ、ゆりちゃんと吉田さんと再び巡り合うことができました。
小宮山さん&伊藤さんっていう取っ掛かりもありましたが、主人公がここまでしてきたことが理由になって、本心では三人で歩くことを望んでたんだなとも解釈できます。
単に幸運で終わらせられない、必然と思わせる一幕でした。
もういい加減、誰とは言いませんがこの子をほっとけなくなったんでしょうね。
ところでギャグ方面でも新展開。
スクエニつながりか、野村哲也がデザインしてそうな私服着てる小宮山さんもヤバいですが。
修学旅行最後の一夜。これまで自分の友達グループに入り浸ってて黒木智子の班行動にはほとんど関わってこなかった最後の班員「内さん(うっちー)」が新境地を切り開きます。
とてもシンプルな顔立ちをしており、もこっちからの通称は「絵文字」。
基本は現実に即した『わたモテ』ですが、彼女の場合現実だとどんな顔をしてるのか気になります。
そういった意味ではとても漫画的なキャラですね。もっとも、あくまで個人的な印象に過ぎないので現実と地続きで一線は保っているように感じましたが。
そんな彼女、もこっちの毒牙にかかって(?)怒涛の勢いで、ギャグの応酬を繰り広げてきます。
「同性愛」ってわりとデリケートなネタだと思うんですが、今後のうっちーがどういう感情をもこっちに抱くかを思えば、王道の少女漫画に近い「恋のはじまり」なんですよね。
なぜか。
この時点から彼女の動きを追っていったのなら。
当然すぎる「気持ち悪い」といううっちーの感想がいつの間にか彼女の代名詞となる「キモイ」というセリフに変わっていくのか、その過程を楽しむことができると思います。
それと八巻からいましたが意外と目立つんですよ、うっちーの属する仲良し五人組。
彼女たちが主人公と直接のかかわりを持つまでにはいくつも巻をまたがなければいけませんが、ここで言いたい点があるとすれば。
『わたモテ』が主人公の一人称視点だけでなく、複数人が思惑を持って視線や言葉を交わし合う群像劇としての性質を持つ、そのきっかけなのかもしれません。
少なくとも主人公は自分が今まで見えていなかった、他グループについて意識するようになりました。
一人のターンと思いきや、修学旅行で得た人間関係は日常でも途切れずに続いて、特別な時間が日常でも続いていきました。
吉田さんへのラッキースケベしかり。ファンシー大好き吉田さんに余計なことを言う流れといい。
なので体育祭中はだいたい一人で行動してるんですが、この下敷きがあって別に寂しくはなかった感があります。
いや、それ以上に忙しかったので、今までのように倒れて途中退場して時間をすっ飛ばすでなく、しっかり描く方に推移したのかもしれません。
直前の回で前振りしてから、なぜかイケメンと二回密着することになったって流れが上手いんですよ。
頭が白くなって何も考えられず、安心できる女の子の方に走るのは臆病さの表れか。
それか、なんだかんだで本当に自分が求めていたものではないからか。この辺は四巻で「歌舞伎町」を怖がった流れも汲んでいたと思います。
それはそうと、主人公は意識せずにセクハラっぽい視線をチアリーディング中のうっちーと送るのに別に意識してない、うっちーは意識してしまうのにってズレとかもあって順調に自身の足跡を周囲に刻み込んでいきます。
さりげに以前の巻で登場した「井口朱里」も主人公の弟「黒木智貴」を巡る流れの中で、話に関わってきます。
そして、小宮山さんの奇行がとうとうはじまります、この辺は十巻の流れで一気に動き出すので、ついでにそちらで触れることにしますね。
そろそろ主人公が様々な登場人物を渦中に巻き込んでいくのだなと思うと、ここまでの準備期間は終わり本番はこれからという実は重要な巻だと思います。
ゲスな思考がバカな行動につながって、なんかよくわからないなりにボケツッコミの流れになってって、いい意味で吹っ切れたギャグ&青春漫画にシフトしたのはこの辺りですね。
人間関係も「間」の取り方という踏み込みつつ、そうそうミスとして取り上げづらい繊細なラインを突いてきたと思います。
二人以上の食事で、会話に入れず食べるペースを調整できず、手持ち無沙汰になるってわかります。
さて。
謎のポテンシャルを発揮する新キャラも登場しますが、ここからはますます背景も見逃せなくなってきます。
あの背景キャラは未来のレギュラーなのかもしれません。現に十五巻以降にロングパス越しの本格出演を果たすキャラもここ九巻には出ています。
繰り返すようですが、今後の新展開に向けて布石を置きつつも、今までも蔑ろにしない実に忙しい巻だったと思います。
次は十巻、今度は小宮山さん(たち)のターンですよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もこっちどんどんリア充に向かってないか?
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修学旅行を終えて学校生活に少し変化が、っていうところがリアル。
ヤンキー吉田さんみたいな容赦なくつっこんでくれる人ありがたいね!
もこっち本人は何も変わってないゲスなままでホッとするというか残念というか。 -
友達いない奴は借り物競争出ちゃ駄目だろ…
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八ッ橋のやわらかさは小学生のおっぱいと同じ…まじかよ、そうだ 京都、行こう。って僕の場合はなったの。
ぼっちネタは影を潜めたが、違う面白さが出て来た巻であった。
あと、LINEが学生生活に出て来るので、現代のぼっち学生はそういった面も大変だろうなぁ…っと。
もうぼっちネタで心を抉られることは無くなったが、「…………だがあのブックオブの客はどうだろうか?」「クリスマス一週間前の平日なのに立ち読みしているような連中……クリスマスなんて悲惨の一言だろう……」って見下す独白には、もうやめてよ、私のライフはゼロよ。 -
修学旅行の終わりと体育祭と弟のことを好きな後輩。
中学生のころの遠足…ゲーセンの思い出@ネズミ―はふつうにいい思い出だなあと思った。めっちゃ素敵じゃん…ロマンじゃん…え?違うのか…?
ヤンキーさんはわりと萌えキャラだなあと思いました。あと後輩ちゃんはかわいいけど今後どんどん壊れていくんじゃないかと心配です。