愚愚れ! 信楽さん -繰繰れ! コックリさん 信楽おじさんスピンオフ-(4)(完) (ガンガンコミックスJOKER)

  • スクウェア・エニックス
4.31
  • (5)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 108
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757549159

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 繰繰れ! コックリさんの化け狸、信楽おじさんが主人公のスピンオフ最終巻。

    前巻からの続きで信楽の隠された過去の姿。警視総監非道いわ。そのあとは、スナックのママとの大人の悲しいラブストーリーに、女体化コックリさんとの小さな恋の物語、そしてスピンオフ登場人物総登場の大団円。

    さて、最後は多重の入れ子構造ともとれる書き方でしたが、どこからどこまでが本編につながる話で、どこまでが化かされたことになるのでしょうか。全部?

  • 酒も煙草も宵の友、煙に巻くのがおじさんさ、夢に酔うのもおじさんさ――。

    『愚愚れ! 信楽さん』、終いを飾る四巻目です。
    『繰繰れ!コックリさん』本編へ客層が流入したかについて自信はありませんが、あちら側も連載終了で店仕舞いの頃合いだったりしますんで。
    まぁ、そんな野暮なこと言わなくても、お客さんが道行く先は各々だけが知っていれば問題ないでしょう。

    信楽おじさんの過去なんですが、あの堅物がここまで化けるか、ってビフォーアフターがふっと納得できるようになるのが、まさに理想の過去編といった感じで好きです。
    黒幕の言い分が全く「情」を寄せない「理」一辺倒で「正義」を叫ぶのも虚しくなる。 
    あそこで暴発することも企図していただろう黒幕の挑発に対して、代わりにコックリさんがいち早く怒ってみせ、「そこにいただけ」の犠牲者に対して「そこにいさえしない」ことに信楽さんは気づく。

    で、そこであきらめて、悟ったと言えばそれまでなんでしょうが、ここからの一手が逆転でした。
    現実のややこさを嘘と忘却のベールで何重にも包み隠して、俺は自由さ、とあたかも楽しむかのようにこの先を生きてみせる。
    信楽さんが酔狂に生きてみせるほど、意趣返しにもなるという。

    このエピソードだけでもひとつの物語を締めくくるには十分すぎる出来なんですが、ここから『ググコク』本編に繋げてくるのも熱いですね。
    で、ここからの最終回も含む三本のエピソードなんですが、どれも珠玉の名品と思っています。
    ところで、信楽おじさんの顔の傷が描かれていないのはここだけだったりします。解釈はお任せしましょう。

    で、ここからは終わりに向けた小エピソード三本立て。

    一本目「田舎へ帰るスナックのママさんとデートする、二回目のお誘いはなかったさ」。
    騙し、騙される。騙されることを騙される。お互い知っているのにねぇ。
    列車の扉が隔てると、誰に届くまでもなく消えていく言葉が切ないさ。

    二本目「年を考えろジジイども、お嬢さんは幾つになってもお嬢さん」。
    こちらは本家でもあった年齢退行ネタ。
    めっさ都合のいい呪いによって、年相応のお二人さん。ショタがロリの頬を染め上げる。
    信楽さんはいくつになってもイケメンで、コックリさんは魂がヒロイン、狗神は自室では裸族。

    といった本家のネタも拾いつつなオマージュ回ですね。
    あくまで真面目にやってる分、素に返った時のギャップがえらいことになる……そんな回です。
    その裏で、駄菓子屋のおばあさんにフラグを立ててたりで、ラストシーンは熟年と少年では見え方が違うという意味なのか、生き方が若返ったのか、最終話も踏まえてか、色々考えが浮かんで趣深いです。

    三本目「夢も現も幻さ、おじさん騙りて語る」。
    二重三重に、ひょっとすればこの巻もこれまでの巻もすべて夢オチにしそうでそうでもなさそうな、信楽おじさんの真骨頂な最終回です。

    蝶が見たか、おじさんが蝶だったか、幸せな夢をここまでの登場人物総出演でお送りします、本当に贅沢な最後の騙り。
    化かす者、化かされ方も知る。てなものですが、ここまでのすべてのお話が嘘だったでもいいですし、逆に本当だったでもいい。
    好きなところだけ掻い摘んでもいいし、嘘も本当も夢も現実も同じものさと割り切ってもいい。

    結末はもちろん、過程すらもあなたの望む通り。
    ここで一巻一話と同じようにママさん相手の語りに構成を被らせて来るのもまた粋ですねえ。

    なにはともあれ最初から、最後まで。
    嘘で騙りつつ、本当を語り過ぎないダンディズム、惚れるしかないわけで。
    優しすぎのヤな人ですよね、信楽さん、大好きです。

  • 最終回。

    夢のまた夢。
    妄想の産物故にスピンオフっていうんだ!
    という作者様のニヤリ笑顔が浮かぶような結末だった。
    思わず1巻の冒頭を見直してしまった。

    やっぱり信楽は信楽だったし、まんまと化かされたようだ。
    けど本編より堪能できたので満足である。

  • 完結。パラレルではなく本編に繋がるのですね。
    切ない。

全5件中 1 - 5件を表示

遠藤ミドリの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×