“文学少女“と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

  • エンターブレイン (2006年4月28日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784757728066

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、『本を食べる』でしょうか?

     ( ・o˙ )( ・o˙ )( ・o˙ )ポカーン

    この世にはさまざまなお菓子があります。その個性は、味や食感だけに限りません。形の工夫によって、人の興味を惹きつけるお菓子もあります。有名どころでは”きのこの山”や”たけのこの里”などでしょうか?あの形がなければ恐らくここまでは売れなかったのではないか?そんな風に思います。

    モノを模したお菓子には、『本』の形のケーキもあるようです。ちょっとした工夫ではありますが、『本』の形にすることで『本』好きな方の興味を一気に引いてもしまいます。しかし、あくまでそれは『本』の形をしたお菓子です。『本』自体を食べる人などいません。ヤギなら喜ぶかもしれませんが、人は『本』を食べたりはしません。では、『妖怪』はどうでしょうか?そもそも何を食糧とするのか判然としない『妖怪』なら『本』だって食べてしまうかもしれません!

    さてここに、『物語を食べる妖怪』が主人公を務める物語があります。『本』を『ぱくりと口にくわえ、ヤギのようにむしゃむしゃ食べ』てしまう主人公が登場するこの作品。そんな大胆な設定にも関わらず極めてシリアスな物語が展開するこの作品。そしてそれは、『本』を食べる『文学少女』が学園の過去に隠されたミステリを解き明かしていく物語です。

    『はじまりは中学三年生の春だった』と、『生まれてはじめて書いた小説を、ほんの気の迷いで文芸雑誌の新人賞に応募したら、どういうわけだか史上最年少で大賞に輝いてしまった』という中学時代を振り返るのは主人公の井上心葉(いのうえ このは)。『井上ミウなんて女の子の名前』をペンネームとして使った心葉。『このまま謎の美少女覆面作家で売り出しましょう!』と『編集部の人に力説されて』出版した受賞作は『百万部を突破。映画化もドラマ化もされて』しまいます。しかし、『正体を明かせない』日々の中で『登校拒否なんかも』する中に、『一冊の本を残して』『謎の天才覆面美少女作家井上ミウは』消滅しました。そして、高校生になった心葉は『本物の”文学少女”を ー 天野遠子先輩を知』り、『再び書きはじめ』ます。
    場面は変わり、『四階建ての校舎の三階の西の隅にあ』る、『聖条学園文芸部』で『パイプ椅子の上に、ちょこんと体育座り』する遠子先輩を見る心葉。そんな心葉の前で『おもむろに本のページを破くと』、『ぱくりと口にくわえ、ヤギのようにむしゃむしゃ食べはじめ』た遠子先輩。『何度見てもシュールだ』と『文芸部部長で、物語を食べる妖怪』である遠子先輩が『美味しそうに』『本のページや紙に書かれた文字を』『むしゃむしゃ食べる』のを見る心葉。『文芸部の部員は部長の遠子先輩とぼくの二人きり』という中に『今日のお題は、”初恋” ”苺大福” ”国会議事堂”』と『三題噺』のお題を渡された心葉は、『残り時間はあと五分よ。尊敬する先輩のために、とびきり美味しいおやつを書いてね』と急かされます。『ほらほら、あと二分よ』と言われ焦る心葉。そんなところに『失礼しまぁぁぁす!』と一人の女の子が入ってきました。『あたし、一年二組の竹田千愛(たけだ ちあ)っていいます…今日は、すっっっっっっごく大事なお願いがあって』と言う女の子は、『あなたの恋を叶えます』という『郵便ポスト』に書かれた案内を見てやってきたと説明します。そんなポストのことは知らないという心葉を無視して遠子先輩は、話を訊きます。『うちのエースの心葉くんが、千愛ちゃんの恋しい人のハートを打ち抜く名文を考えてくれるわ』と言う遠子先輩は、一方で『千愛ちゃんの恋が成就した暁には、経過をみっちりしっかり書き綴った愛のレポートを提出してほしいの』と交換条件を提示します。『ぼくは、ラブレターなんて…』と言いかけた心葉の『口をふさ』ぐ遠子先輩は『これまで何百通ものラブレターを書いてきた恋文専門作家の心葉くんも、ぼくに任せてくれと言ってるわ』と続けます。『お願いしますねぇ、心葉先輩!』と言う竹田にもう戻れなくなったことを思う心葉。そんな心葉が『女の子のふりをして、ラブレターを書く』先に、学園の過去に眠るまさかの事件が解き明かされていきます。

    “天野遠子・高3、文芸部部長。自称“文学少女”。彼女は、実は物語を食べる妖怪だ…彼女の後輩・井上心葉は、彼女に振り回され「おやつ」を書かされる毎日を送っていた。そんなある日、文芸部に持ち込まれた恋の相談が、思わぬ事件へと繋がって…”と内容紹介にうたわれるこの作品。「”文学少女”シリーズ」として、2011年4月時点で、なんとシリーズ累計250万部を売り上げたとされる野村美月さんの代表作です。そして、この作品が、長短、外伝まで合わせて全16冊が刊行されているというシリーズの紛れもない第一巻、ここから歴史が始まった…というメモリアルな一冊となっています。また、竹岡美穂さんのイラストが散りばめられた物語は、見事なくらいに雰囲気感が一つにまとまっています。

    では、そんな作品を見ていきたいと思いますが、まずは何を置いても”文学少女”を自称する天野遠子について触れないわけにはいかないでしょう。

     ● 天野遠子(あまの とおこ)について
      ・聖条学園文芸部・部長、3年生
      ・『一見落ち着いた雰囲気の美人なのに、ごはんやおやつを待っているときは食いしん坊光線全開で、思いきりガキっぽい』
      ・『猫の尻尾みたいな細くて長い三つ編み』
      ・『物語を食べる妖怪』、『水を飲みパンを食する代わりに、本のページや紙に書かれた文字を、美味しそうにむしゃむしゃ食べる』

    う〜ん、さらりと『物語を食べる妖怪』と言われてもさっぱり意味不明です。しかし、この前提を受け入れないことにはこの作品を読むこともレビューを書くこともできませんので、そういう物語だと思いましょう。では、そんな遠子が『物語を食べる』ということはどういうことか見てみましょう。

     ● アメリカの作家フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」を食べた遠子の感想

      『う〜ん、美味しいっ。フィッツジェラルドってすごく華やかな味。虚飾と栄光と情熱がワルツを踊っていて、パーティーで、きらきらのキャビアをシャンパンと一緒にいただいてる気分…主人公のギャツビーが、ものすご~~~く純情で応援したくなっちゃう』

    いかがでしょうか?残念ながら私は「グレート・ギャツビー」は全くの未読でどんな話かも知りません。このような感想になる物語なのでしょうか?ただ、この感想を聞いた心葉は、

     『華やかっていうより、哀愁漂っていたような…。まぁ、文学の解釈なんて人それぞれだから…』

    というような感想を心の中に抱きます。なんだかますます興味が沸きます。ただ、よくよく考えると、そんな感想に引っ張られている場合ではありません。これが、「グレート・ギャツビー」を読んだ人の感想だとしたらそれで良いと思いますが、主人公の遠子は『「グレート・ギャツビー」をぺりぺり破いて、ぱりぱり食べ』た上で、漏らしたのが上記の感想なのです。そうです。これこそが『物語を食べる妖怪』の姿なのです。

    そんな物語は、〈プロローグ〉と〈エピローグ〉に挟まれた六つの章から構成されています。用意された〈目次〉を見るとその構成を説明しやすいこともあり、ここに引用しておきましょう。

     ・〈恥の多い生涯を送ってきました〉
     ・〈プロローグ 自己紹介代わりの回想 ー 元・天才美少女作家です〉
     ・〈一章 遠子先輩は、美食家です〉
     ・〈二章 この世で一番美味しい物語〉
     ・〈三章 第一の手記~片岡愁二の告白〉
     ・〈四章 五月の晴れた日、彼は……。〉
     ・〈五章 “文学少女”の推理〉
     ・〈六章 “文学少女”の主張〉
     ・〈エピローグ 新しい物語〉

    物語は、その冒頭に謎の人物による〈恥の…〉という独白が〈プロローグ〉のさらに前に置かれています。物語を読み始める読者には全くもって意味不明、逆に読後に読み返したくなります。次の〈プロローグ〉では、上記したもう一人の主人公であり全体としての視点の主でもある井上心葉の中学時代の短い回想を踏まえた上で、〈一章〉以降の心葉=高校生の日常が描かれていきます。〈一章〉には、遠子がインパクト絶大に登場しますが、物語の核は、文芸部部室を訪れた竹田千愛が希望する『ラブレター』の代筆依頼です。そこに、『女の子の一人称』を使って書き、『文芸雑誌の新人賞』で『大賞に輝い』たという心葉の経歴が意味をもってきます。そんな心葉が竹田に代わって代筆した『ラブレター』の相手が『弓道部の三年生』である片岡愁二です。物語は、自分が代筆という形で意識する存在である愁二について調べていく心葉の視点でミステリのように展開していきます。これこそが、内容紹介に触れられている”文芸部に持ち込まれた恋の相談が、思わぬ事件へと繋がって…”という物語の核心です。作品前半の極めてライトな雰囲気感に溢れる物語は、後半にいくに従って一気にシリアスな雰囲気をまといます。もちろん、主人公の遠子が『物語を食べる妖怪』という位置付けである以上、シリアスに傾ききらないところはあるようにも思いますが、一方でそんな遠子の設定を忘れて作品世界に囚われていくような印象も持ちました。

    そして、そんな物語の核心部分に大きな意味をもって描かれていくのが太宰治さん「人間失格」です。ここに、冒頭の〈恥の多い生涯を送ってきました〉という言葉が意味をもって浮かび上がります。残念ながら、私は「人間失格」も読んでいませんのでそもそもこの言葉にピンときませんでしたが、これは、『「人間失格」の主人公の手紙の冒頭の引用』なのだそうです。物語には、そんな「人間失格」から、『自分は、人間を、殺しました。神様も、もう自分を助けてはくださらないでしょう』という下りも引用されていきます。そして、「人間失格」との関係性が物語をぐいぐいと引っ張ってもいきます。この作品は間違いなく、太宰治さん「人間失格」を読んでいるかいないかで特に後半部分の印象が変わってくるように思いました。もちろん、作者の野村さんは「人間失格」未読の人間を置いてけぼりにはされません。ただ、これから読まれる方には、先に「人間失格」を読まれた方が物語世界の重みが違ってくるのではないか?そんな風に思いました。まあ、「人間失格」を読んだことがないという方はそもそもブクログにユーザー登録もしていないような気もしますので余計なお世話かもしれませんが(汗)。

    そんな物語は、ミステリの全貌が明らかになる先、主人公としての『”文学少女”の主張』が肝となる中に終わりを告げます。そこには、”ビター&ミステリアス・学園コメディ”という内容紹介に納得する絶妙な味付けの物語の姿がありました。

     『波乱のない平和な毎日、それがぼくの一番の望みだ』。

    中学時代に『謎の美少女覆面作家』として栄光の先の苦難の日々を送った主人公の心葉。この作品では、高校生になった心葉が『物語を食べる妖怪』の遠子と出会った先に繰り広げられる”学園ミステリ”な物語が描かれていました。前半と後半の雰囲気感の違いに驚くこの作品。あまりにシリアスに展開する後半の物語に遠子の存在が絶妙な味を醸し出すこの作品。

    大人気シリーズとなったこの物語の人気の原点を見る中に、無性に太宰治さんの作品が読みたくなる、そんな作品でした。

    • さてさてさん
      私も全く知らなかった作品なのですが、シリーズ累計250万部は半端ないと思います。是非どうぞ!
      私も全く知らなかった作品なのですが、シリーズ累計250万部は半端ないと思います。是非どうぞ!
      2024/09/07
  • 久しぶりに"文学少女"シリーズを再読しています。
    "文学少女"シリーズはどれも思い入れ深く大切なお話ばかりなのですが、やはり死にたがりの道化が一番好きだなと思えます。
    私はこの作品をきっかけに太宰治作品に触れるようになり、葉桜と魔笛が大好きになりました。
    何度読んでも千愛の手紙に苦しくなりますし、遠子先輩の言葉に自分まで救われていくような感覚になります。
    私が"文学少女"に出会ったのは中学一年生の時でしたが、大人になっても私の心に寄り添ってくれる大切なお話です。

  • 純文学って難しいって思っている人。
    読んでみたいけど、何から読めばいいか分からない人。
    そういう人って割といるんじゃないかって思う。
    本作はライトノベルであり、一般文芸に比べても読みやすいと思う。
    しかし、内容は割と重ためのミステリーであり、そこまでラノベ感は強くないように感じる。
    加えて、本作のテーマの一つに太宰治の『人間失格』があり、これを読むだけでも太宰治への興味が湧いてくるのではないだろうか。
    文学への入門書としてもおすすめできるような作品のような気がした。

  • 【あらすじ】
    天野遠子・高3、文芸部部長。自称“文学少女”。彼女は、実は物語を食べる妖怪だ。水を飲みパンを食べる代わりに、本のページを引きちぎってむしゃむしゃ食べる。でもいちばんの好物は、肉筆で書かれた物語で、彼女の後輩・井上心葉は、彼女に振り回され、「おやつ」を書かされる毎日を送っていた。そんなある日、文芸部に持ち込まれた恋の相談が、思わぬ事件へと繋がって……。野村美月・新味、ビター&ミステリアス・学園コメディ、シリーズ第1弾!

    【感想】
    文学少女というのはただ本好きの女の子のことかとおもったら、それが予想を遥かに裏切る女の子だったことが衝撃だった。そしてこのストーリーは、ちょっと重たいテーマだったけれど、ひとつひとつの内容や言葉が心に響いてきた。初めてラノベを読んだけれど、ラノベってもっとオタクっぽいものをイメージしていたから、これはすごくハマりそうだと思った。すごく面白くて一気読みしてしまった。次の巻も早く読みたい。

  • 覆面作家としてブレイクしたが現在は活動していない高校2年生の男の子と、物語の書かれた紙を食べる自称「文学少女」のお話

    以下、公式のあらすじ
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    天野遠子・高3、文芸部部長。自称“文学少女”。彼女は、実は物語を食べる妖怪だ。水を飲みパンを食べる代わりに、本のページを引きちぎってむしゃむしゃ食べる。でもいちばんの好物は、肉筆で書かれた物語で、彼女の後輩・井上心葉は、彼女に振り回され、「おやつ」を書かされる毎日を送っていた。そんなある日、文芸部に持ち込まれた恋の相談が、思わぬ事件へと繋がって……。野村美月・新味、ビター&ミステリアス・学園コメディ、シリーズ第1弾!
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    千愛が恋する片岡愁二に渡すためのラブレターを書かされる羽目になる心葉くん
    渡す方と渡される方の情報が不確かな状態で書かされるラブレターって、大したこと書けないと思うんですけどね

    ってか、千愛の行動に無理がないか?
    いくらでも不審な点が序盤から散見される
    あと、OBOGの行動も不自然な点がいくつかある

    うーん、そこはまぁラノベだし割り切るべきなのか?

    あと、私は弓道について詳しくないんんだけど
    当たったり外れたりで一喜一憂する姿はありえないよなぁ
    この辺のツッコミは弓道警察に任せよう……

    琴吹さんは、古式ゆかしきツンデレ仕草なのだけれど
    もしかして本当に目の敵にされている可能性も無きにしも非ず?


    一番謎なのが遠子先輩
    紙を食べて栄養にしているという設定はどこまで本当なんだろう?

    リアル路線で考えるのであれば味覚障害の異食症だし
    ファンタジー路線だとしれば、そんな異種族の存在という事になる
    ヌードデッサンのモデルの妖艶さにしても、そんな設定の匂わせを感じる


    それと、続巻前提の伏線がいくつも未回収になっているのが気持ち悪い
    心葉くんが何故小説家を辞めたのかとか、屋上のトラウマとか
    前述の遠子先輩の存在とか
    うーん、気にはなるけど続きを読みたいかと聞かれると考え込んでしまう


    それはそうと、終盤の太宰推しラッシュの文言は凄かった

    太宰治と言えば「人間失格」を思い浮かべ
    徹底的にクズ野郎で軟弱な鬱人間という印象を抱きがちだけれども
    実はそんな作品ばかりではなく「これを読まずに死ぬなんてもったいない」と言い立てる様は圧巻

    私もこれらを読んでみたくなったし、太宰のイメージもちょっと変わった

    まぁ、それでも世間一般のイメージとしては、今やってるアニメ「異世界失格」みたいな感じなんですけどねー

  • これは、沢山読んでいる人が書いた文章なんだなぁ……というのが、第一印象でした。

    この話は太宰治の『人間失格』を中心に物語が進んでいきますが、太宰の他の作品や、物語中に出てくる遠子先輩の読んでいる小説にも興味がそそられます。

    添田さんの印象薄いところからの、突然の理不尽で意味不明なブチギレには面食らいましたが……(^_^;)OB3人組もうちょっとキャラ掘り下げて欲しかったかもです……

    でも、遠子先輩にあんなに太宰の魅力語られてしまったら、読みたくなるじゃないですか!
    そして、遠子先輩が食……いや読む小説の表現の美味しそ……いや面白そうなこと!

    文学の“味”が気になる作品ですね(*´∀`)♪それらを読んでいたら「あぁ、解る……」ってなるかもしれません。

    1巻の時点で謎も色々残されているので、続きが気になります!

  • 本を食べたいくらい愛してる(文字通り)文学少女こと遠子先輩と、中学生時代に大ベストセラーを記録した小説家でありながら、とある事をきっかけに平凡で普通な生活に憧れる主人公。
    ひょんなことから一人の少女の恋愛を応援するハズが、恋慕の相手は存在しない人間で、そこから10年前の事件と太宰治の「人間失格」が絡んでいき…
    高校を舞台にした、思春期に揺れる文学ミステリー。

    ◆久々に読みたくて再読しました。やはり最後のどんでん返しが良いですね。
    改めてミステリーとして読むと、ちょっと情報が少ないかなと思いました。

    シリーズごとに各文学作品を題材とし、それになぞらえて登場人物の心情を描いている部分がこのシリーズの面白い所。
    毎回身を切る様な独白に、これは誰の心情なのかとすごく惹き付けられます。
    ライトノベルである為文体は軽快ですが、登場人物の描写は丁寧で、重く、深く訴えかけてきます。

    遠子先輩の文学レビューは食べ物に例えられていて独特で、読んだ後には色んな本が思わず食べたく…いや読みたくなってしまいます。

  • ライトノベルを読む。

    基本的にはあまりライトノベルに興味は無いのだ。

    しかし、面白いという評判を聞くと気になる。

    隣のクラスの子が可愛らしいという評判を聞くと気になるのと同じだ。

    ただ、好みはそれぞれだというだけの事だ。

    ライトノベルというだけの事はあり非常に読み易くはある。

  • ライトな作風ながらそこにある青春の悩みや、苦しみにズドンと心を撃ち抜かれた。ミステリ的でもありつつ、コミカルさとシリアスさの緩急が程よく楽しめる作品だった。
    人の心、というよくわからないものに真正面から向き合った展開は不思議で、透明感があって悲しくも生きる喜びが描かれていて面白い。

  • 昨日読了。
    以前から何度か面白かったと評判を聞いており、最近職場の若い方に改めて話を聞いたため今更ながら手に取った。

    先輩の食事については前情報を得ていたので、それほど違和感なく読めた。
    平凡を求める主人公の姿や主人公たちの過去を最後まで明かさないのは、この時代の若者を描いた作品の特徴なのか、まま目にする。

    本作が太宰をモチーフにしているからか、存外重めの雰囲気だった。
    人と違う自分、生きていることと死ぬことはどちらがつらいのか。
    テーマにする作品によって、雰囲気は変わるのだろうか。

    文学に対する熱は嫌いではない。
    今まで全く興味はなかったが、太宰が読んでみたくなった。

    ただ、先輩の交渉シーンは若干あからさまか。
    ツンデレクラスメートは今後さらに関わりがあるのか。
    先輩にも何か過去が?
    機会があったら続きを。

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著者プロフィール

合唱王国福島出身。春の夕暮れに生まれる。幼いころから読むこと、書くこと、眠ることが大好きで、作家を目指す。作品に「文学少女」シリーズ、「むすぶと本。」シリーズ、『ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件』(いずれもファミ通文庫)などがある。

「2021年 『世々と海くんの図書館デート(5) 春めくきつねは、つりばしにゆられて、あのこに会いにゆきます。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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