”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)

著者 :
制作 : 竹岡 美穂 
  • エンターブレイン
3.77
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  • (22)
  • (3)
本棚登録 : 2511
レビュー : 231
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757729155

感想・レビュー・書評

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  • 切ない。

  • シリーズ本編第2弾。今回はエミリ・ブロンテの『嵐が丘』を題材にとった物語です。

    文芸部のポストに、連日怪しい数字が羅列されたメモが投函されるという事件が起こります。心葉と遠子が学校に泊り込みで、手紙を入れている犯人を探ったところ、一人の少女が現われます。彼女は「九條夏夜乃」(くじょう・かやの)と名乗って、心葉たちのもとを去ります。

    その後心葉は、文芸部に手紙を投函していた少女が、同じ学校に通う雨宮蛍(あまみや・ほたる)という1年生の女子であることを知ります。さらに、遠子の下宿先の息子で蛍と交際しているという櫻井流人(さくらい・りゅうと)蛍のことを調べて欲しいと頼まれることになります。

    やがて心葉と遠子は、先代から蛍の家で起こっている愛憎劇の内幕を知ることになります。蛍の母親である夏夜乃は、家に引き取られてきた国枝蒼(くにえだ・あおい)という少年に心を寄せていました。しかし、やがて夏夜乃は、彼を裏切って雨宮高志(あまみや・たかし)という男と結婚します。その後蒼は、黒崎保(くろさき・たもつ)と名前を変えて、復讐のため雨宮家をのっとります。彼は、夏夜乃と高志の間に生まれた蛍の後見人となることに成功し、その地位を利用して、彼女に夏夜乃のように振舞うことを命じていたのでした。

    しかし、復讐の鬼となった黒崎が気づかなかった一つの事実がありました。それは、蛍が彼の実の娘だったということです。夏夜乃は、自分と蒼の間に生まれた子どもを守るため、高志との結婚を選んだのでした。自分の娘を虐げていたと知らされた黒崎は動揺します。しかし、黒崎を恨みながらも、彼に母でなく自分を見て欲しいと願い続けてきた蛍には、もはや残された時間はほとんどありませんでした。

    今回もライトノベルらしく軽快に読める話ですが、ちょっと苦い結末でした。

  • 今回はエミリー・ブロンテの嵐が丘の話でした。この本を読むため先に嵐が丘を読んでおいて良かったです。前作(人間失格)同様、嵐が丘のオチにプラスしてオリジナルのオチがあり楽しめます。そしてこの話がさらに切ない。

  • 過去の名作をモチーフにするっていうのは、実際どこまでその作品に踏み込むかの線引きが、相当難しいのではないだろうか……読みながら、そんなことを考えさせられました。

    考えさせられた結果、なんだろう、このモヤッとした感じ……と、なんとも歯切れの悪い読後感に浸ってしまいました。面白くないワケじゃない、でも、なんか釈然としない。

    モチーフになっている「嵐が丘」という作品、それ自体は面白そうな気がするのですが、ちょっと、ワシの感覚からすると踏み込みすぎている気がします。なんというか、そこまで踏み込むなら、いっそ原作のリライトでも良いのではないか、そんなモヤッと感。

    それは、物語のルールは、一部を除いて現実に即しているのに、物語そのものが現実離れして感じてしまっているせいかもしれません。そこは、飲み込めるか否かの差でしかないのですが、ワシはまだ飲み込めていない気がします。

  •  文学少女は全て好きだけど、その中でもこの“飢え渇く幽霊”は特別な存在。テーマが自分の大好きな“嵐が丘”だから。読んでいて、時折、嵐が丘を読んでいる錯覚に陥ってしまい。ヒースクリフとキャサリンの幻が見えてしまう。文学少女の世界と嵐が丘の世界の溶け合う感じが絶妙。
     さらに、天野遠子が語ったセリフ「―嘘のないまっすぐな魂が―胸が張り裂けそうなほど愛おしくなってゆくの。こんな風に、むき出しの心をぶつけあって、極限まで求め合い、奪い合うような愛があってもいいんじゃないかって、ここまで愛し愛される相手がいるなら、他の人間なんて必要ないんじゃないか、そんな相手と出会えたら、もうそれ以上の幸福なんてなんじゃないかって思えてしまうのよ。この本は、そういう物語なの。」を読んだ時、思わず涙が出しまった。自分が嵐が丘を読んだ時に感じたものをこんなにも上手に表現してくれたから。嵐が丘をはじめて読み終えた時の辛く、せつなく、悲しい気持ちや、ヨークシャーの荒涼とした自然が蘇って来たから。そして、嵐が丘を読んでいた若かりし頃の自分が蘇ったから。
     天野遠子は、雨宮蛍や黒崎の思いと感情を全て理解し、共有し、それを静かに胸の内に抱えたまま堪えて、見守る。それは最終回で分かったけど、心を見せることすら出来ない遠子自身の辛い思いも複雑に絡んでいるのだろう。そう思うと、そんな遠子を抱きしめてあげたくなる。

  • 文学少女シリーズの2巻
    下敷きにしているのはエミリー=ブロンテの『嵐が丘』

    雨宮蛍という痩せ細った少女と,彼女を取り巻く愛憎に満ちた複雑な人間関係は,謎であるときには謎なりに,明らかになってもそれなりに苦しい
    最期の蛍の微笑みの描写が透明できれいだと思った

  • 初めて読んだ文学少女シリーズです。
    幽霊の女の子が切なすぎます。

  • ☆第一回プレビブリオバトル(テーマ:ドキドキする本)

    物語を食べちゃいたいほど大好きな天野遠子と、彼女に振り回される普通の男の子の井上心葉が登場する学園ミステリー。この一冊で文学知識とお料理知識が得られます。

    ※京都女子大学図書館に蔵書なし。

  • レビューは未定。

    評価は3.5つ星です☆

  • 1作目を事前知識なく読んで思ったよりも暗くて重い話だったので、そのつもりで臨んで、ああ、やっぱり…という感じです。
    心葉くんと遠子先輩のやりとりはコミカルなんですが、お話としては結構ドロドロでした。
    でも、1作目よりは救いのある最後だと思います。
    嵐が丘…読んでみたくなりました。
    文章を食べ物の味に例えるのは相変わらずステキです。

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著者プロフィール

【野村美月(のむら・みづき)】
2001年『赤城山卓球場に歌声は響く』で第3回ファミ通エンタテインメント大賞(現・えんため大賞)小説部門〈最優秀賞〉を受賞しデビュー。2006年より刊行された、「文学少女」シリーズが大人気となる。その他のシリーズに、「ヒカルが地球にいたころ……」「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件」などがある。

「2016年 『晴追町には、ひまりさんがいる。 恋と花火と図書館王子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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