”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)

著者 :
  • エンターブレイン
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757729155

作品紹介・あらすじ

文芸部部長・天野遠子。物語を食べちゃうくらい愛しているこの自称"文学少女"に、後輩の井上心葉は振り回されっぱなしの毎日を送っている。そんなある日、文芸部の「恋の相談ポスト」に「憎い」「幽霊が」という文字や、謎の数字を書き連ねた紙片が投げ込まれる。文芸部への挑戦だわ!と、心葉を巻き込み調査をはじめる遠子だが、見つけた"犯人"は「わたし、もう死んでるの」と笑う少女で-!?コメディ風味のビターテイスト学園ミステリー、第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 最初読んだときはなかなか蛍の心情が分からない部分が多かったけど、今は前よりもわかる気がします。

    やっぱり章の始めにあるモノローグがいいですね。作品のミステリアス感をぐっと上げているようです。

  • 『嵐が丘』も、エミリー=ブロンテも知らなかったけれど、好きだった『人間失格』を題材にした前作よりも入り込めたし、へこんだ。悲しすぎたってのが大きいだろうけれど。

    ウェディング姿の雨宮蛍と蒼(黒崎保)の挿し絵は、すごく綺麗で滅茶苦茶いい絵なんだけど、悲しすぎた。こんな絵はなければいいのにって思ってしまうぐらいに。

    ここ最近で読んだ本で、一番悲しかった。

    「林檎をワインとレモンと蜂蜜で煮込んで、冷たく冷やした、コンポートみたい……とっても……甘くて、美味しいわ」

    ああ、甘かったのか……って思った。

  • 麻貴先輩、食えない人ですねぇ。

  • 重かったけど面白かった。作品の持つ力に引きずり回される悦び。
    基本はコメディ風味なのでしょうが、かなり重いものを扱っており、それで本当にいいのかと問い質したくなる。
    問いを投げかけたことにより、胸の中で重く響くものがある。その響きこそが、この作品の魅力なのかもしれない。
    しかしそれは余りにつらい。

  • 目次ページの辛がっている遠子さんは可愛い。でも表紙の彼女とは別の印象なんだよなあ。遠子さんと心葉のバディの他にサブキャラたちとの関係も深まって、また、心葉の過去も少しずつ分かってきて、今後の展開に期待。暗号はちょっと過剰な感じがしたけれど、物語的には必要な小道具だよね。内容には関係ないけれど、最近ToDoリストで「ToDo/Doing/Done」を使うようになったため、本書で出てきた「ウェルダン=焼きすぎ」の意味が把握できるようになっていることに気がついた。今までは、字面から「ウェスタン」みたいなイメージを持ってしまい、単語と意味がうまくリンク付けできていなかった。

  • 文芸部の相談ポストに意味深な暗号文が届けられ、怪現象が発生し、それを調査していく話。
    基本的に救いのないドロドロしたものだけど、最後の「お父さん」という言葉と真実は黒崎にとっては永遠の呪いとして残り続けるのだろうな。
    今回は「嵐ヶ丘」という作品がベース。
    読んだことはなし。

  • 「嵐が丘」をモチーフとした作品。

    呪いの言葉が書かれた手紙を受け取った遠子先輩。差出人を捕らえる為、心葉を道連れにポストを見張る。
    そこで出逢った九条夏夜乃は既に死んでいる存在で。
    しかし、彼女にそっくりな雨宮蛍が存在していて。

    遠子先輩の従兄弟である櫻井流人。
    彼は蛍に惚れかけていた。

    心葉は流人と夏夜乃について調べ、遠子先輩は心葉のクラスメイトである琴吹ななせと夏夜乃について調べ始める。

    夏夜乃と蛍の関係。そして、蒼の正体。
    流人の想いが真っ直ぐで心が痛かった。
    これは蛍の物語ではなく、流人の恋物語だと思う。

    「嵐が丘」読みたくなった。

  • あなたのことを愛している、それだけは真実。

    文芸部のポストに呪いの手紙? 遠子先輩には付き合っていられないと、捜査に非協力的だった心葉も、九条夏夜乃という別人の名を名乗る雨宮蛍に出会ってから、次第にこの事件に深くかかわり始めて――。

    モチーフの話を『オペラ座の怪人』だと思いながら読んでいて、途中で違うと気づいた。昔一回読んだことがあるのに、忘れていたおめでたい頭。心葉くんの過去も徐々に匂わせていく。心葉くんは消極的な態度なのに、どんどんこの事件に巻き込まれていく。遠子先輩の「弟」櫻井流人も登場。

    元ネタもといモチーフは『嵐が丘』で、現代日本の話と考えると現実的ではない気もする。『嵐が丘』を読んだことのない人には、あまりピンとこないかもしれないし、読んだことがあって、その物語の威力を知っている人にとっては、ちょっと物足りないかも。私は後者。

  • 前回ほどのうまさが感じられなかった/ 書くのしんどそうだなと/ 麻貴先輩のキャラクタ造形が邪魔/ 美人で金持ちで権力者で、とか物語上では害悪でしかない/ 

  • 「文学+ラノベ」の第2巻。著者があとがきで「難産だった」と言っていた感じが何となくわかる、重めの進行+展開に、悩みが透けて見えるような本でした。
    古典文学作品を題材にすると、どうしても暗めの展開になっちゃうのでしょうか。シリーズモノの2巻や3巻って、キャラの魅力を掘り下げるギャグパートのイメージがありましたが。まぁ人数少ないしなぁ。。

    今回の題材(予備知識として事前に知っておきました)を踏まえると、学園モノでドロドロした愛憎劇をどう扱うのか、と思っていましたが、その観点ではそうそう不自然なところは無かったように感じました。
    語り部役をどうするか、どうやって結論に導くか、あたりが難しいところだったと思うのですが、そこらへんは少し無理のある展開になってしまったんじゃないかと。どうにもゲストキャラの扱いが軽すぎやしないか。。

    まぁ、とは言えラノベ分の補給には十分でした。美人キャラとの距離感が想定線の動きで、実にラノベっぽい!

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著者プロフィール

合唱王国福島出身。春の夕暮れに生まれる。幼いころから読むこと、書くこと、眠ることが大好きで、作家を目指す。作品に「文学少女」シリーズ、「むすぶと本。」シリーズ、『ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件』(いずれもファミ通文庫)などがある。

「2021年 『世々と海くんの図書館デート(5) 春めくきつねは、つりばしにゆられて、あのこに会いにゆきます。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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