“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

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  • エンターブレイン
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757730847

感想・レビュー・書評

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  • 友情の巻。
    一番身につまされた話かも。
    理想を掲げ、失敗を恐れず、行動し続ける愚か者でありたい。

  • もうすぐ文学少女見習いの二巻が出るそうなので、文学少女シリーズをまた最初から読もうと再読を始めました。
    しかし最初に手に取ったのはなぜか三巻・繋がれた愚者…。自分でも過去の自分に「なんで!?」と突っ込みたいです。

    …まあ、それはさておき。

    今回の繋がれた愚者のモチーフは武者小路実篤の『友情』。
    一巻、『死にたがりの道化』や二巻『飢え渇く幽霊』にもちょいちょい出ていた芥川君にスポットが当たります。
    主人公・井上心葉のクラスメイト、弓道部でレギュラー、眉目秀麗、寡黙で成績優秀とまー、まるで王子様の様な御仁ですね。
    しかし努力家の彼の影の部分、誰しもが持っている激情や狂気など、野村さんは相変わらず見事に描いています。
    名作はいつ見ても良いとヒロイン・遠子も言っていますが、本当にその通りですね。
    そして芥川君と関わることで心葉自身も自分の過去の事について向き合うことになる、と。
    このシリーズは全作品通して心葉の心の成長譚だと思っていますので、今回ですべてが解決するわけでは消してないけれど、彼が一つ一つ、積み重ねるようにして過去を乗り換えていく所が良いです。

    ラストシーンで文芸部一同で、武者小路実篤の『友情』を上演するのですが、その際の遠子の『想像』のシーンは最高ですね。
    本当に毎回、ああそういう読み解き方があったのか!と驚かされます。

    そして本当に最後の最後のシーンの一文は、読んだ当時相当衝撃でした…。ガチで「えええ!!!?」って言いましたもん。

    次回はちゃんと『死にたがりの道化』から再読を始めたいと思いますー。

  • 物語を食べちゃうくらい深く愛する"文学少女"とそのおやつ係のお話も、第三作目になりました。

    今回の題材は武者小路実篤の「友情」です。もう、武者小路実篤好きのアタシとしてはキャフウウウウウ!来たぜ!俺さまの時代がっ!!!状態です。武者小路実篤は名前からどうしても硬派な文章を書くと思われがちだけど現代に通ずる読みやすさと親しみやすさを持った作家さんなのでもうぜひ作品を読んで欲しいくらいには好きです。華族の生まれとかだけど、作風は本当に下町で愛されるような文章だから!
    えーっと、文化祭に乙女の恋、コスプレに演劇にミステリーといろんな要素が含まれているのですごく充実してるんだけど、根本のところで「友情」がとても生きていると思いました。
    三角関係を起こしてしまった大宮と芥川の妙な一致もそうだけど、よくこれだけ調べたな、と思う箇所が一体いくつあったのか…考えるのも恐ろしい。やっぱりそれが作家というものなのかな。

    シリーズで重要な役割を占めてくる【ミウ】の存在が明らかになってきてどうなるのかどきどきしてみたり、芥川君の従僕で真面目で危うい魅力に悶えてみたりと忙しいですが、ぜひ読んでみて欲しい一作でした。

  • 『俺は全世界を失ってもお前を失いたくない。
    だがお前と一緒に全世界を得れば、万歳、万歳だ。』
                (武者小路実篤『友情』)

    一層ドロドロしてきた。
    ななせのツンデレっぷりが好ましい巻。

  • 本当に良かった。一見普通だが、心に痛みを抱える登場人物達。今回は友情と愛情をベースとした哀しく、痛々しい物語。どんなに辛くても、前に進んでいこうと思わせる前向きな想いが伝わってきて、とても爽やかな気持ちになった。


  • 過去につながれて
    過去にとらわれて
    後悔しながら
    改めながら

    人と人との関係性
    勘違いとかすれ違いとか
    怖いなぁって思った。

    思いは言葉にしなくちゃ伝わらない。
    伝えるべきことは
    伝えなくては とも思った。

    最後の1ページが衝撃。

  • 図書館の本が何者かによって破られている事から始まる今度の騒動。
    今回は武者小路実篤の「友情」がモチーフです。

    文武両道で女子の人気も高い心葉のクラスメート、芥川一詩が此度の悩める人。
    誠実でありたいと云う気持ちは多くの人が抱く物と私は思います。
    ただそれがかえって大事な人を傷つけたり、裏目に出たり、
    周囲に認めて貰えなくて葛藤すると云うのもありますよね。
    彼は本当に真面目な人ですけれど、
    だからこそやり切れない気持ちに捕らわれるのでしょう。
    彼は平均点など簡単に取れてしまって、
    高得点さえきっとそんなに苦もなく取れてしまう
    だからこそ自分に課すものがどんどん重くなってしまうのだろうなと思います。
    簡単に出来てしまうからこそ、こんなもの誠実の内には入らないと
    ハードルを上げてしまうのですよね。
    最後まで躊躇い続けた決断が出来て、とても良かったと思います。
    この過程が無ければ、きっとこの後上手くいかなかったでしょう。
    一人一人が成長する事で、世界は変えられるのだなと思いました。

    私は「友情」は読んでは居ませんが、
    話を聞いた限りでは大宮派です。

  • 2009/05/29

  • 武者小路実篤『友情』をモチーフにした“文学少女”シリーズ第3作。
    前作同様、ドロッとした描写がある感じで、なかなか「友情」が芽生えません。笑
    まあ、後々読んでいく上で、大切な1冊になりそうな予感。

  • 「わたしの話を、“文学少女”の妄想だとお笑いになる?」

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著者プロフィール

合唱王国福島出身。春の夕暮れに生まれる。幼いころから読むこと、書くこと、眠ることが大好きで、作家を目指す。作品に「文学少女」シリーズ、「むすぶと本。」シリーズ、『ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件』(いずれもファミ通文庫)などがある。

「2021年 『世々と海くんの図書館デート(5) 春めくきつねは、つりばしにゆられて、あのこに会いにゆきます。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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