“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

著者 :
制作 : 竹岡 美穂 
  • エンターブレイン
3.99
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本棚登録 : 1949
レビュー : 138
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757736856

作品紹介・あらすじ

もうすぐ遠子は卒業する。それを寂しく思う一方で、ななせとは初詣に行ったりと、ほんの少し距離を縮める心葉。だが、突然ななせが入院したと聞き、見舞いに行った心葉は、片時も忘れたことのなかったひとりの少女と再会する!過去と変わらず微笑む少女。しかし彼女を中心として、心葉と周囲の人達との絆は大きく軋み始める。一体何が真実なのか。彼女は何を願っているのか-。"文学少女"が"想像"する、少女の本当の想いとは!?待望の第5弾。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ本編第5弾。ついに朝倉美羽が登場することになります。

    心葉とななせの距離が、しだいに近づいていく中、ななせがケガをして入院することになります。彼女の見舞いに訪れた心葉は、そこで彼の中学時代の初恋の相手だった、美羽に再会します。

    美羽は、ななせや芥川、それに心葉の母親が、心葉と彼女の仲を引き裂こうとしていると訴えます。しかし心葉は、彼女が嘘をついているのではないかと疑うことを恐れ、さらに自分が夢を奪ってしまった相手の少女をまたしても傷つけることはできず、ななせや芥川ではなく、美羽を選びます。

    ところが、些細なほころびから、美羽の嘘が明らかになります。美羽は、心に隠してきた心葉への憎悪を彼にぶちまけます。井上ミウの小説に登場する羽鳥という少年は、美羽がモデルでした。しかし、そこに描かれていたのは、現実の朝倉美羽とは違う、心葉の理想化した美羽だったのです。そのことに美羽は追い詰められていき、さらに心葉が新人賞を受賞することで、彼女の心葉への憎しみは頂点に達したのでした。

    男子向けのライトノベルでは、当て馬役のサブヒロインはあっさり身を引くことが多く、エグい修羅場は珍しいので、新鮮に感じました。

  •  評価をするのが少し難しい──正確に言えば、書評を書くのが難しい作品だと思った。多分、良い意味で。
     もはやミステリでもなんでもないのは言うまでもないんだけれど、読んでいる最中、最後の方でまた泣きそうになった。
     やっぱり愛憎が絡むのは変わりなくて、五作目にもかかわらず毎回似たようなテーマにはなるんだけれど、言葉が丁寧に琴線にふれる。別に心に訴え掛けてくるような強い言葉があるわけじゃなくて、ただ、丁寧に言葉を操って描いている印象があって、その丁寧さに惹かれるのかもしれない。
     決して文章がうまいわけではない。文章をブロックとして見ればありきたりなんだけれど、短いセンテンスとして見れば、非常に丁寧な印象を受ける。ただ、物語の構成はありきたり。どこかで見たような構図と内容だ。それを少し派手にしているだけに過ぎない。
     作者は言葉を愛している人なんだな、と感じられる。何気なく文章に混じる言葉の一つ一つに重みようなものと、胸にすぅっと染み込む心地よさを感じる。
     ただ、この書き方は、弱点だと思う。読んでいる間は切なく苦しく、そして胸に染みるのに、言葉に対してそれを織り成す物語自体がありきたりで薄っぺらく感じるから、読んだ翌日には、内容をもう忘れてしまうような、そんな感じ。胸には残りづらいと思う。
     実際、これを読んだのは九月の二十九日で、およそ一ヶ月前なんだけれど、これを書いている時点で今思い返すと、あまり胸に飛び込んできたものは少ない。
     ただ、ラスト、プラネタリウムで登場人物達が、一人ずつ想いを語るシーンは秀逸だ。あそこだけでこれを読む価値があると思う。
     というか、そこしか覚えていないんだけれど。
     でも、良かったよ。うん。

  • 題材は「銀河鉄道の夜」でコノハのトラウマと朝倉美羽のお話。
    散々引っ張ってきたトラウマの直面と解決。
    Bの正体と動揺の仕方には少し驚いた。

    遠子先輩が語った初稿のラストは素敵なもので削るには惜しいと思うのは自分だけだろうか?

    トラウマも解消でき、このままななせとイチャイチャしつつ小説執筆を再開するのか。

    にしても芥川くんの学校での奇行が増えていく気がするのだけど、イケメンならば誰も気にしないのだろうか。

    銀河鉄道の夜は以前に読んだことあるのだけども、よく分からないまま終わってしまった印象だったのだよね。
    色んな作品で語られる銀河鉄道の夜はどれも綺麗でまた読んでみたくなる。

  • ほんとうのさいわいは、あなたのところにあるの。

    とうとう美羽が、心葉の前に現れる。琴吹や芥川と溝が出来てしまう心葉。流人の気持ち、竹田の目的、美羽の望んでいたもの。心葉は真実を見定められるのか。受験を控え毎日のようには会えない、でも肝心なところで必ずそこにいる“文学少女”の遠子先輩が、心葉に示した道は――。

    モチーフになっているのは宮澤賢治「銀河鉄道の夜」で、この作品以外にも、これを内包した物語は多い。でも、完成稿になる前の登場人物や、他に宮澤賢治の遺した詩も絡めて、ひとつの解釈を示したこの作品には、読ませる力があった。宮澤賢治論というよりは、ジョバンニやカムパネルラだけでなく、心葉や芥川や竹田などこの作品の登場人物たちそれぞれが、皆、本当の幸いを探して彷徨う巡礼者だということ。それは、読んでいる私も一緒だということ。その歩みを止めないために、物語が寄り添ってくれる。

    時にあまりにストレートに作者の想いが書かれすぎて、やや戸惑うこともあるが、“文学少女”シリーズは、物語を読むことの力の一つを伝えてくれる。

  • そろそろ厳しくなってきた/ 1巻から徐々に落ちてきている/ 主人公とか准ヒロインとかのヒステリックな内面との戦いとか本当にうんざり/ 銀河鉄道の夜をチョイスしたのは良いけれども/ 遠子先輩との絡み以外読むべき所はないと確信している/

  •  心葉、美羽編である。正直、尺が足りないなぁ、残念だなぁというのが第一印象。本心がむき出しになる展開、そして、そのグロい本音が改心していく、というか、少しだけ未来に目を向けられるようになるというのは、良い感じなのだが…。殊に、心葉は美羽の本音を知ることに意味があるのに対して、美羽はグロさが薄まる展開である。心葉のことを欲しいけど欲しくない、憎いけど愛しい、かけがえのないものとみている、こんなアンビバレントな感情が薄まっていく上で、中盤での美羽の逡巡が見れないと、やや置いてけぼりとなってしまう。
    正直、美羽の闇(心葉への愛憎・羨望・最大の理解者への依存)は、遠子の語りだけで改心するようなことはない。それほど軽くはなく浅くもない。謎解き展開は「文学少女」シリーズの基本プロットだが、今回は逆にそれが機能しなかったのではないかという気もする。しかし、文章は読ませるなぁ、引き込むなぁという印象は相変わらず。「文学少女」シリーズ第5弾。モチーフは「銀河鉄道の夜」。

  • げげげっ!俺とした事がこのシリーズの四冊目を読まずに飛ばしてしまっている事にあとがき読んでて気付いた(汗)
    なんてこったい・・・過ぎた事は仕方がない、次に4冊目を読む事としよう。 今回の話に繋がる部分があったとしたらあぁ、あの事ねってしたり顔でもしておこう。

    琴吹さんは健気でいいね。 3冊目まではものごっついツンデレさんだったのに、ここでは彼氏の為に体を張るは甘えるわでなんて出来たかわいらしい彼女だこと。

    銀河鉄道の夜が第三稿までと第四稿で一人登場人物がいなくなって結末が変わっているとはしらなんだ。

    にしても琉人は怖いねぇ、本心はどこにあるんだろう。
    竹田さんはそれこそ普通の女の子になれたらすぐ捨てられちゃいそうだな。

    遠子はやはり心葉に・・・けど、あのラストは何を意味するの? 気になるが、続きは飛ばしてしまった四冊目を読んでからだ

  • 美羽がむかつく!(笑)心葉のなよなよもむかつく!(笑)

  • 野村美月&竹岡美穂が2007年に発表した"文学少女"シリーズの第5巻です。文芸部の井上心葉と天野遠子を中心に学園で起こる事件や謎を(自ら首をつっこみ)解明していく学園モノです。文学作品をベースに、その作品内容に即した事件が起こるのですが、5作目は宮沢賢治の"銀河鉄道の夜"でした。ついに心葉の最大のトラウマとなった朝倉美羽の登場です。美羽を中心にした展開は、読むのがしんどかったです。しかし、あのラストを読んで、とても清々しい想いになりました。シリーズはもう少し続くようですが、遠子先輩の想いはどうなるのか。

  • シリーズ第5弾。宮沢賢治「銀河鉄道の夜」がモチーフ。
    主人公・心葉(コノハ)の小学生からの思い人である飛び降り自殺をした美羽が登場。
    美羽の真実の姿が明らかになってくる。
    青春もの・恋愛もの・ライトノベルなんだろうな。
    「銀河鉄道の夜」を読みたくなった。
    (図書館)

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著者プロフィール

【野村美月(のむら・みづき)】
2001年『赤城山卓球場に歌声は響く』で第3回ファミ通エンタテインメント大賞(現・えんため大賞)小説部門〈最優秀賞〉を受賞しデビュー。2006年より刊行された、「文学少女」シリーズが大人気となる。その他のシリーズに、「ヒカルが地球にいたころ……」「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件」などがある。

「2016年 『晴追町には、ひまりさんがいる。 恋と花火と図書館王子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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