“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)

著者 :
制作 : 竹岡 美穂 
  • エンターブレイン
4.19
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本棚登録 : 1801
レビュー : 143
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757743717

作品紹介・あらすじ

「書かなくてもいい。ずっと側にいる」-そう告げるななせに救われた心葉。だが、そんな彼を流人の言葉が脅かす。「琴吹さんのこと、壊しちゃうかもしれませんよ」…そんな時、突然、遠子が姿を消した。空っぽの家に残るのは切り裂かれた制服だけ。心葉は遠子を追えるのか?露わになってゆく真実に、彼が出す答えとは?遠子の祈り、叶子の憎しみ、流人の絶望-その果てに秘められた物語が今、明らかになる…!"文学少女"の物語、堂々終幕。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ完結。狭き門を通った遠子先輩は幸せになれるとよいな。

  • 遠子さんが最初から心葉=井上ミウだとわかって接触してきたことはわかってました。そしていつの間にか心葉を好きになっていたことも読者も登場人物もみんなわかっていた。でも改めて遠子さんの切ない思いを文章されると涙なくしては読めませんでした。自分の本当の気持ちに気がついたあとにこんな物読まされたら、普通は追っかけるものがだ、心葉は彼女の思いを大事にして、そして「作家」になった。途中遠子さん出生の秘密が明かされる過程で、どろどろとした物語になりましたが、最後は綺麗にまとまり、よい読後感になりました。二人の再会のシーンも読んでみたかったですが、蛇足になりますかねぇ。

  • "文学少女"シリーズ本編の最終巻。

    本シリーズは主人公井上心葉と
    先輩であり"文学少女"である天野遠子を中心に描かれたミステリー。

    1作目の『死にたがりの道化』を読んだときは衝撃を受けた。
    本シリーズでは1つの話ごとにモデルになる物語があり、
    その物語に登場人物をリンクさせながら話を進めていく。
    例えば『死にたがりの道化』では太宰治の『人間失格』、
    最終章となった本作ではジッドの『狭き門』である。

    モデルの著作以外にも様々な本とその内容について話がでることもあるが、
    その描写が幻想的だったりユーモア溢れたりして、
    「読んでるこちらもその著作を読んでみたい」と思わせるほどだ。

    また、作品の展開についても1作品で
    登場人物の誰かに必ず心境の変化が起こり、
    シリーズとしての物語の進行についてその変化が無駄になることが一切無い。
    (ただ、2巻と6巻は個人的に読みにくかった。)

    そして、そのシリーズの最終章となる『"文学少女"と神に望む作家』。
    「素晴らしい」の一言に尽きる。
    下巻の後半は読むのが止まらなくなり、
    本編の終わり方とその後のエピローグの終わり方、
    読み終えた際、それぞれ余韻が残り目頭が熱くなった。

    内容についてはここでは言及しないので是非手に取って欲しい。

  • 忘れません。いつか、また、会える日まで。

    とうとう終幕。今回はなんと心葉くんが、物語を読む。最初はファンタジー的に遠子先輩が消えてしまうのかと思ったけど、違いました。心葉くんの成長、もしくは決断。ラストは光にあふれている。しかし、竹田さんすごい人だ。琴吹さんはややかわいそうだけど、これは仕方なかったのか。エピローグで救われている感じだけど。

    遠子先輩と櫻井叶子の物語。そこにあったのは憎しみではなく、愛。天野文陽が何を思っていたのかは、わからない。『狭き門』に託された物語は、遠子先輩が読みといていくしかない。しかし、父と同じである遠子先輩は、心葉くんの書く糧になりたかった、と言った。心葉はその心を受け取った。彼らの先にあるのが、両親たちのような悲劇でないことを願いながら、しかし、それも、読者がどう読むかなのだろうとも思う。この終わり方は、ハッピーエンドだ。私はそう読んだ。エピローグがなかったら、それでも、私はハッピーエンドだというだろう。その未来を知らなくても、私はきっと光にあふれた未来を想像するから。

  • 最終巻か、と寂しくなりながら読み始めました。しかし、読み終えるとすごくスッキリした気分。最後まで期待を裏切りませんでした。流人君は神に臨む作家上でかなり性格が黒く描かれていたけれど、心はもろくて不安定だった。それはともかく、ハッピーエンドで終わって良かったです。

  •  作家の業・悲哀、その対極たる喜びをビビッドに描けるのは作家のみ。これを体現した本作、そして、予想以上の結末(些か語義矛盾だが、悪意のないピカレスクロマンのよう)と、作家としての矜持を表現に散りばめつつ、結末を解き明かした文章の冴え。エピローグ前の別離に開陳された、心を締め付けられるような別離の手紙(彼女は彼の最初のファンであるが、彼は自分一人のものではなく、成長を切々と願う愛に満ち溢れたもの)。さらに、2人の成長と新たな時間を紡ぎうることを十分予感させるエピローグ。小説のよさを堪能させてもらった作品。
    しかし、詮無いことではあるが、心葉との未来の時間を共有できそうな遠子と違い、ななせは不憫。そして、その不憫さを明らかにし、本作をただのきれいな物語に落とし込ませないために、森ちゃんの心葉への平手打ちシーンを挿入した著者の心映えに感服。選択は誰かを傷つけずにはおかない真理を赤裸々にできたのは、著者のリアリストの一面とキャラに対する深い愛を垣間見させたといえよう。エピローグでも、彼女の裏面に隠された一途な思いはバンバン伝わってくる、というのは深読みし過ぎかなぁ。

  • 遠子先輩が心葉くんの物語を見つけてくれた人だったことが、私も嬉しかった。真実は残酷なものもあって、でもそれがわかったからこそ今の彼らがいるのであって。ようやくみんな幸せになれるのかなと思う。長い時間を経て、それぞれの幸せに向かって歩んでいってほしい。

  • シリーズ最終話。
    上巻に引き続きアンドレ・ジッド「狭き門」がモチーフ
    「狭き門」に敢えて一人で入らなくてもいいのにと思うが。

    ここまでくると、誰が誰と親子で、誰が誰に毒を盛っていようと、もうどうでもよくなってきた。
    終わってみれば、へたれの心葉くんの成長物語。
    少女漫画のような現実離れした話だと思っていたら、ラストは妙に現実的というか俗物的だった。
    (図書館)

  • 上巻に引き続きジッドの「狭き門」をモチーフに書かれたお話でした。
    そうだったのかと驚く場面もあれば、こんなすれ違いがあったなんてと胸が痛くなる場面もあるお話でした。
    本当に心葉くんはいろんな人に愛されているんだなと感じる作品であり、心葉くんの成長がよくわかる作品に感じました。

  • 気持ち悪い。

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著者プロフィール

【野村美月(のむら・みづき)】
2001年『赤城山卓球場に歌声は響く』で第3回ファミ通エンタテインメント大賞(現・えんため大賞)小説部門〈最優秀賞〉を受賞しデビュー。2006年より刊行された、「文学少女」シリーズが大人気となる。その他のシリーズに、「ヒカルが地球にいたころ……」「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件」などがある。

「2016年 『晴追町には、ひまりさんがいる。 恋と花火と図書館王子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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