ささやくように恋を唄う(5) (百合姫コミックス)

著者 :
  • 一迅社
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・マンガ
  • / ISBN・EAN: 9784758022941

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  • 亜季を嘲笑うかのように圧倒的な演奏技術を披露した志穂。その誰もが目を向けざるを得ない存在感には物語そのものを彼女中心に回らせる程の力強さが有るね
    ただ、他を圧倒し時には亜季を罵倒する志穂も何かしらの痛みを懐き続けているようで。けれど亜季相手にはその痛みを見せないし、既にその痛みを知っているだろうバンドメンバーは改めて言及する事はない
    ここで彼女らの因縁を知らず無邪気に関わるひまりの存在が活きてくる構図になっているね

    でも、ひまりが彼女らの因縁を知らないという事は亜季は亜季で他人の力を借りずに志穂と向かい合わなければならないわけで
    志穂という友達を失った経験が、どうにかして友達としての関係を保てた依と重なってしまう描写は痛ましいね
    だからこそ、依の言葉によって志穂との向き合い方に指針が見いだされる展開はなんだか良いな。喧嘩別れしたなら、お互いの意志が擦れ違って終わってしまったなら、ちゃんと話し合ってそれらの絆を取り戻さないといけない

    ただ、その為の手法としてバンド対決を申し込んだのは果たして好手だったと言えるのだろうか……?
    SSGIRLSが悪いバンドだとは思わないが、今の状態で志穂達のバンドに勝てるとも思えないのだけど……


    徐々に険悪さを増していく志穂の周囲。そんな状態だからこそ無邪気に志穂を慕うひまりの姿に癒やされてしまう……。これ依が見たらちょっとした嫉妬心を覚えてしまうレベルなんじゃなかろうか?
    それ程に純粋なひまりの笑顔によって、亜季の前では難しい表情ばかりの志穂も豊かな表情を見せているね

    でも、幾ら何でも激しい対立をいつまでも知らぬ存ぜぬで居られるわけではないからひまりでも知ってしまうわけで
    因縁を知らないままに志穂に出逢ったから志穂の良い部分をたくさん知っているし、これまでに関わり有る亜季や依の良い部分を知っている。だから両者を仲直りさせようとしたのだろうけど……
    これは余計にこじれてしまった気がするし、ラストの発言は依との関係も危うくなりかねないものだね。果たして志穂は亜季との対決を通してひまりを奪い取る事で何を得ようとしているのだろうか?


    中盤では気になる志穂の過去の一端が描かれていたね
    過剰なまでにプロにこだわる姿勢は別分野で圧倒的な才能に打ち負けた経験から来るものだったのね。これ、特に親しくもない相手に負けたとかだったら志穂もここまで傷つくことはなかったんだろうけど、当たり前のように自分は世界一になると思い込んでいた状態で下に見ていた相手に完膚無きまで負けてしまったから、余計に心まで負けてしまったのだろうな……
    でも、ここで負けたままで終わらない辺り、志穂という人間は激情によって形作られているようで。負けたなら別の分野で勝てばいい。そして志穂にとって勝ちとは世界一になる事なのだろうね
    これは確かにSSGIRLSとは目指している分野が違いすぎる

    志穂にとってきっと向き合うことすら難しい過去。だからキョウとの関わりも全く無くなっているのだろうなと想像していただけにおまけ漫画には吃驚ですよ……
    ほんと、この作品って人間関係が複雑なのな!

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