氷室の天地 Fate/school life (10) 特装版 (4コマKINGSぱれっとコミックス)

著者 : 磨伸映一郎

• 一迅社 (2017年3月2日発売)

感想・レビュー・書評

[mura-bowさんの感想 · 2017年3月5日]

まぁ本当、奇妙な立ち位置の作品である。
スピンオフ作品ながらも"本編"とは全く関係のないギャグ漫画。しかし時系列は”本編”と共有しており、その影響は確実に本作を蝕むはずだった。しかし、あくまで日常系(？)ギャグ漫画の範疇を超えない範囲でちょっとずつ頑張った結果、なんとその影響を最小限にまで抑えてしまったのである。しかもここまで連載１０年！なんとも途方もない話。

しかしその１０年越しの展開が、たまたま本年公開された某超人気映画と似たシチュエーションだったってのは面白い偶然。

Fate自体、ああいう作品にしては「あまり人死にの出ない」「モブにやさしい」ほうだとは思ってましたが、それでも日常を穏やかに過ごす人間からしてみたら相当の災害だし、今までと同じように笑って過ごせるようになるには時間のかかる…あるいは相当に努力のいる…ものだったでしょう。「バトルで発生した物凄い地響き」に対して、恐怖し、それでも冷静さを保ち適格に丁寧に行動するキャラクター達の姿に作者の「災害等に対するものの見方」が大きく影響している気がしました。

とか言いつつもいつもの蘊蓄、肉ギャグも絶好調。

今まで思わせぶりに伏線を張ってきながらも真相は決して本作で語られることはない。それも本作の立ち位置だからこそ出来る仕掛けだよなぁ。