造花の蜜

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 483
レビュー : 138
  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758411240

作品紹介・あらすじ

造花の蜜はどんな妖しい香りを放つのだろうか…その二月末日に発生した誘拐事件で、香奈子が一番大きな恐怖に駆られたのは、それより数十分前、八王子に向かう車の中で事件を察知した瞬間でもなければ、二時間後犯人からの最初の連絡を家の電話で受けとった時でもなく、幼稚園の玄関前で担任の高橋がこう言いだした瞬間だった。高橋は開き直ったような落ち着いた声で、「だって、私、お母さんに…あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか」。それは、この誘拐事件のほんの序幕にすぎなかった-。

感想・レビュー・書評

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  • 第一の誘拐事件。

    ・身代金は返された。
    ・圭太も無事に戻ってきた。
    ・真犯人は蘭という女性。

    第二の誘拐事件。

    ・身代金は三億円。
    ・父の対応次第では子供を殺すつもりだった。

    第三の誘拐事件。

    ・身代金は三億円。
    ・光輝は無事に戻ってきた。そして、康美の声も。
    ・犯人が手にしたのは五億円。

    途中、長いなぁとか、これどうやって終わるんだ?なんて思っていたけど、どんでん返しと言うか、なんと言うか。まんまと騙されたと言うか、騙されるべくして騙されたと言う感じでした。

    蘭は第一と第二の誘拐事件で、第三の誘拐事件の序章を演じていた。第三の事件の為に圭太は攫われた。
    蘭という女性を記憶に残させる為に。

    当事者と読者だけが知ってる第三の事件。
    連城三紀彦さん凄いわ。
    こんな手の込んだことしてる蘭も凄いとしか言えない。

    帯に書いてあった高橋先生の言葉が一番不気味だったな。

  • 誘拐事件のお話。悪役の筋書き通り進みます。

  • 誘拐したくせに身代金を要求せず、相手に金額を決めさせ、さらに減額したうえで、詐取後に全額を返却。
    まず、表の誘拐事件の突飛さが目を引く。
    さらに、裏の事件がどのように仕組まれているのか、謎のままで進行し、さらに興味を引き起こす。
    橋場警部が川田を訊問中に語った事柄には、びっくりした。
    作者らしい反転構造を持った真相であり、表の事件と裏の事件に類似性があるなど、斬新なアイデアには感心した。
    「罪な造花」の章までで物語としては成立しているが、さらに「最後で最大の事件」の章が付いている。
    仙台に舞台を代えて、同じように繰り返される誘拐事件。
    事件の発端のある出来事が普通では有りえないことなので、ひょっとしたらあれかなと予想していたことが真相だった。
    状況描写や心理描写がくどくて冗長に感じること、計画が大掛かりすぎてリアリティーに欠けること、共犯者のことが不明のままで終了していることなど、不満に感じる箇所もあった。

  • 途中途中ん?と思うところはあったのですが、この厚いページの本を一気に読みたいと思ってしまうほど、惹きつけられる内容の前にはそれは不粋と言うものでした。楽しい読書タイムをくれたことに感謝!

  • 二重三重の複層構造で計画された誘拐事件全貌の発想は凄いのだが、〝ラン〟なる人物の思考、動機が曖昧すぎるような・・・
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14611856.html

  • 幼稚園児の誘拐未遂に端を発する身代金誘拐ミステリー。身代金を要求しないように見せながらも脅迫相手から自主的に提供させるが、結果その金も人質とともに返却される新たなミステリー。犯人の目的は何か?人質宅の元従業員の独白から裏のストーリーが語られる。この元従業員は自身共犯者と思い行動していたのだが、警察に届けられていた新犯人「らん」からの手紙により真実を知ることになる。そして1年後、同じ展開の誘拐事件が発生する。当然、被害者の家族は昨年の事件を記憶しており困惑する。警視庁からは前回担当警部がリベンジに乗り込んでくるが・・・
    共犯→人質、警察→共犯、そして影で動く真犯人「らん」。
    久々に映像化を前提としないで書かれた小説らしい日本ミステリを読んだ。ただちょっと推理小説としてはルール違反だ。

  • 出だしから大きな事件の予感がしてどんどん引き込まれるのに、後半はちょっと期待はずれで残念な感じです!
    特に一番最後の章は要らない気がしました

    歯科医の夫と離婚し、一人息子の圭太くんと実家に戻った香奈子さん
    スーパーの駐車場で圭太くんが誘拐されそうになる
    簡単な誘拐事件と思いきや、いろいろ複雑に絡んだら事件でおもしろかった

  • ダ・ヴィンチで評価されてたのを想い出し、図書館で借りてきて読了。
    第一章は、これから先の物語に展開に期待を膨らませる内容でページをめくる手も速くなり、第二章ではワクワク感がさらに盛り上がったんだけど・・・。
    第三章で、アレレ?って感じになり、以降、最終章までアレレ?な感じだった。

    誘拐モノの場合、身代金の受け渡し方法をどうするかが作者の腕の見せ所の一つだと思うけど、この作品はいただけない・・・。

    一つの誘拐事件の裏で、もう一つの誘拐事件が展開されているというプロットや、共犯者がじつは被害者であったという発想は新鮮に感じて面白かったんだけど、いかんせん犯人側の動機が謎・・・。

    第一の誘拐事件の被害者と母親にしても、もう少し掘り下げて記述してあった方が好み。事件解決後の様子が分からないのも自分的には減点。いろいろと事情のある母親だけに、最後まで登場させて欲しかった。

    犯人グループの人間関係なんかも記述されてないので、この辺りが現実感を希薄にさせる要因か・・・。

    新しい発想の誘拐モノだとは思うけど、☆3個。

  • 冒頭はスーパーに向かうどこにでもいるような母子。息子を溺愛する母香奈子の一人称に最後までお付き合いすると思いきや、バトンタッチするのは意外な人物、意外なモノローグ、次第に明らかになる秘密。進行する誘拐事件から翻って物語は一人の男の過去と現在に反転。最後までドタンバタンとひっくり返されました。
    ただ前半勝手に伏線認定したアレはどこいった?というところが数点。どう見ても(読んでも)胡散臭い隣家の主婦とか、単に勘がよすぎたってだけだったのかという兄嫁はもっと何か絡んでくるのかと構えていた。

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著者プロフィール

1948年愛知県生まれ。1978年『変調二人羽織』で第3回〈幻影城〉新人賞に入選。1981年「戻り川心中」で第34回日本推理作家協会賞、1984年『宵待草夜情』で第5回吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で第91回直木賞、1996年『隠れ菊』で第9回柴田錬三郎賞を受賞。2013年10月19日に逝去。著書多数。日本の多くのミステリー作家に多大な影響を与え、他界後も多くの作品が再刊されている。2014年日本ミステリー文学大賞特別賞を受賞。

「2017年 『女王(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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